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60歳を迎えて定年退職を経験されたり、子育てが一段落したりして、パートやアルバイトを探している方も多いのではないでしょうか。しかし、久しぶりに履歴書を書くとなると、「何を書けばいいのか」「志望動機をどう表現すればいいのか」と戸惑う方も少なくありません。
本記事では、60代からのパート・アルバイト応募に特化した履歴書の書き方、とくに採用を左右する重要な項目である「志望動機」について、具体的な例文を交えながら詳しく解説します。採用担当者が注目するポイントを理解し、シニアならではの強みを効果的にアピールする方法を身につければ、定年後の新しいキャリアへの第一歩を踏み出すことができるでしょう。
60歳からのパート応募で採用担当者は履歴書のどこを見るのか

まずは、60歳からのパート・アルバイト応募において、採用担当者が履歴書のどの点に注目しているかについて解説します。シニア層の採用で重視されるポイントを理解することで、効果的なアピールが可能になるでしょう。
60歳からの働き方については、実際の体験談や具体的な仕事内容について詳しく解説している記事もありますので、ぜひ参考にしてください

「過去の実績」より「現在の貢献意欲」を示す重要性
採用担当者は、応募者の過去の華々しい経歴よりも「今、何ができて、自社でどのように貢献してくれるか」という点を重視しています。定年退職前の役職や実績を長々と書くのではなく、応募先の仕事内容に関連するスキルや経験に絞ってアピールすることが重要です。
たとえば、大手企業で部長職を務めていたという経歴よりも、「チームワークを大切にし、年齢の異なるスタッフとも協力して働ける」「細かい作業を丁寧にこなすことが得意」といった、具体的な職場での貢献可能性を示すことが効果的です。
これまでの経験を、新しい職場でどのように活かせるのかという未来志向の視点で記述することで、採用担当者に「この人なら即戦力として活躍してくれそうだ」という印象を与えることができます。
「人柄と健康状態」から読み取る長期就業の可能性
採用担当者は、丁寧な文字や清潔感のある写真から、応募者の真面目さや誠実さといった人柄を読み取ろうとしています。履歴書全体から伝わる印象は、その人の仕事に対する姿勢を表すものとして重要視されます。
健康状態欄の記述や自己PRでの言及を通じて、業務に支障なく、長く安定して働ける健康状態であることをアピールすることも欠かせません。「毎朝のウォーキングを10年続けている」「年に一度の健康診断ではとくに問題なし」といった具体的な健康維持の取り組みを記載することで、体力面での不安を払拭できます。
企業側がシニア層の採用で抱きがちな体力面での懸念を、具体的なアピールによって払拭することは、採用への大きな一歩となるでしょう。
「応募先への理解度」で測る働くことへの熱意
志望動機の内容から、応募者がその企業や仕事内容についてどれだけ理解しているかが、入社意欲を測る指標となります。実際に店舗を訪れた感想や、企業のホームページで確認した情報を盛り込むことで、真剣に応募先を検討していることが伝わります。
他社への応募書類の使い回しは避け、一社ごとに内容を見直し、その企業ならではの志望理由を記述することが大切です。「貴社の〇〇というサービスに感銘を受けた」「スタッフの方々の明るい対応に好感を持った」など、具体的なエピソードを交えることで説得力が増します。
「なぜほかの企業ではなく、この企業で働きたいのか」という問いに、自身の言葉で具体的に答えられるように準備しておくことが大切です。
【項目別】60歳からの履歴書の基本的な作成手順
ここからは、定年後の再就職やシニア層のパート応募で必須となる履歴書について、各項目の具体的な書き方を解説します。基本的なルールを押さえ、採用担当者に好印象を与える書類を作成しましょう。
履歴書作成の準備と基本フォーマットの選択
履歴書を手書きで作成する場合とパソコンで作成する場合、それぞれにメリットと注意点があります。手書きの場合は、丁寧さや人柄が伝わりやすいというメリットがある一方、修正が大変というデメリットも。パソコンで作成する場合は、効率的で修正が容易ですが、使い回しの印象を与えないよう、応募先ごとに内容を調整する工夫が必要です。
応募先から指定がない場合、厚生労働省が推奨する履歴書様式例の使用が安心です。この形式は一般的に広く受け入れられており、必要な項目が過不足なく含まれています。
履歴書のサイズは、一般的に見開きA3サイズですが、プリンターの都合でA4・2枚での印刷でも問題ありません。重要なのは、読みやすく丁寧に作成されていることです。
基本情報(日付・氏名・写真など)の正しい記載方法
日付は「提出日」または「作成日」を記入し、履歴書全体で西暦か和暦かの表記を統一します。混在させると、不注意な印象を与えてしまう可能性があります。
氏名や住所は省略せず、戸籍や住民票の通りに正確に記入します。「渡邊」と「渡辺」、「齋藤」と「斎藤」など、漢字の違いにも注意が必要です。電話番号は、日中確実に連絡が取れる番号を記載しましょう。
履歴書の写真は、採用担当者の第一印象を左右する重要な要素です。スピード写真機でも撮影可能ですが、できれば写真館でプロによる撮影をおすすめします。明るい表情で、清潔感のある服装を心がけることで、好印象を与えることができます。
学歴・職歴欄の適切な書き方
学歴は、義務教育(中学校卒業)以前は省略し、高校以降から記載するのが一般的です。学校名は正式名称で記入し、「〇〇高校」ではなく「〇〇高等学校」と書きます。
職歴は、正社員経験だけでなくパートやアルバイト経験もできるだけ省略せずに記載しましょう。配属部署や簡単な業務内容も添えると、採用担当者がイメージしやすくなります。「株式会社〇〇 営業部にて法人営業を担当」「〇〇スーパー レジ・品出し業務」といった具合に、具体的に記載しましょう。
定年退職した場合は、「〇〇株式会社 定年退職」のように明記し、最後に右端に「以上」と記入します。この「以上」の記載を忘れる方が多いので、注意してください。
免許・資格、健康状態、本人希望欄の記載ポイント
免許・資格は、応募する仕事に関連性の高いものから順に、すべて正式名称で記載します。「普通自動車第一種運転免許」「日本商工会議所簿記検定2級」など、省略せずに書くことが大切です。
健康状態欄は、業務に支障がなければ「良好」と記載します。持病がある場合でも、「高血圧症で服薬中ですが、医師の指示に従い管理しており、業務に支障はありません」など、業務への影響がないことや自己管理できていることを具体的に補足します。
本人希望記入欄には、勤務日数や時間帯、扶養内勤務など譲れない条件がある場合に具体的に記載します。「週3日、1日4時間程度の勤務を希望」「扶養控除の範囲内での勤務を希望」など、明確に記載しましょう。とくに希望がなければ「貴社の規定に従います」と記入します。
採用担当者に響く!60代・シニアの志望動機の作成術
60代からの仕事探しにおいて、志望動機は採用を左右する最も重要な項目の一つです。ここでは、採用担当者の心に響く、説得力のある志望動機の作成方法を解説します。
自身の強みと応募先の業務内容を結びつけてアピールする
まずは、これまでの職務経験や人生経験から得た自身の強みを洗い出すことから始めましょう。丁寧さ、正確性、コミュニケーション能力、忍耐力など、シニアならではの強みは数多くあります。
洗い出した強みを、応募先の業務内容と具体的に結びつけることが重要です。たとえば、軽作業の求人なら「長年の事務職で培った正確性と集中力を活かし、ミスのない丁寧な作業を心がけます」、接客業なら「営業職で培った傾聴力を活かし、お客様の気持ちに寄り添った対応をいたします」といった具合に、具体的な貢献方法を示します。
未経験の職種に応募する場合でも、これまでの経験で培った汎用的なスキルを活かせる点をアピールできます。「異なる業界ですが、チームで協力して目標を達成する経験は豊富にあります」など、転用可能なスキルを見つけて記載しましょう。
「なぜこの企業で働きたいのか」という熱意を伝える
「家が近いから」「時給がいいから」といった条件面だけでなく、その企業や店舗、仕事内容そのものに魅力を感じた点を具体的に記述することが大切です。表面的な理由だけでは、採用担当者の心を動かすことはできません。
企業のホームページを確認したり、実際に店舗を利用したりして感じた魅力を志望動機に盛り込むと、熱意が伝わりやすくなります。「貴社の店舗を利用した際、スタッフの方が高齢のお客様に優しく対応されている姿に感動しました」「貴社の『地域に根ざしたサービス』という理念に共感しました」など、具体的なエピソードを交えることが効果的です。
自分を雇うことで、企業側にどのようなメリットがあるのかを伝える視点も重要です。「土日祝日も勤務可能で、シフトの穴を埋められます」「長期間安定して勤務できます」など、採用側のニーズに応える姿勢を示しましょう。
健康面や体力面で長く働けることを具体的に示す
シニア層の採用で企業側が抱きやすい体力面の不安を払拭するため、健康維持のために日頃から取り組んでいることを具体的に記述します。抽象的な「健康です」という表現では説得力に欠けます。
「毎朝5kmのウォーキングを10年間続けており、体力には自信があります」「週2回のテニスで体を動かし、同年代の中では体力がある方だと自負しています」など、具体的なエピソードを交えることで説得力が増します。
健康状態欄だけでなく、志望動機や自己PR欄でも健康面をアピールすることが有効です。「定年後も元気に働き続けたいという思いから、日頃から健康管理に気を配っています」といった前向きな姿勢を示すことで、長期就業への意欲が伝わります。
経験・状況別!60代・シニアのパート向け志望動機例文集
これまでの経験や応募する職種によって、アピールすべきポイントは異なります。ここでは、具体的な状況に応じた志望動機の例文を紹介し、定年後・60歳からの履歴書作成をサポートします。
経験のある職種に応募する場合の例文(軽作業・事務)
これまでの経験を即戦力としてアピールする場合は、具体的な業務内容と成果を盛り込むことが重要です。
軽作業の例文
| 前職では物流センターで5年間、商品の梱包・仕分け作業に従事していました。正確性とスピードを両立させることを心がけ、ミス率0.1%以下を維持していました。また、新人スタッフの指導も担当し、作業効率向上のための改善提案も積極的に行ってきました。貴社でもこれまでの経験を活かし、丁寧かつ効率的な作業で貢献したいと考えています。体力維持のため毎日1時間のウォーキングを続けており、立ち仕事にも対応できます。 |
事務職の例文
| 30年以上にわたり経理事務を担当してきました。Excel、Wordは日常的に使用しており、データ入力の正確性には自信があります。また、電話応対や来客対応も含めた総務的な業務も経験があり、幅広く対応可能です。貴社の事務職募集を拝見し、これまでの経験を活かして即戦力として働けると確信しました。細かい数字を扱う仕事ですが、老眼鏡を使用すれば問題なく業務遂行できます。 |


未経験の職種に挑戦する場合の例文(接客業)
未経験であっても、これまでの社会人経験で培ったポータブルスキルや、仕事への意欲をアピールすることで、採用の可能性は十分にあります。
未経験の職種に挑戦する際の例文(接客業)
| これまで製造業一筋でしたが、定年を機に人と接する仕事に挑戦したいと考えました。貴店には買い物客として何度も訪れており、スタッフの方々の温かい対応にいつも感心していました。とくに、高齢のお客様に対する丁寧な説明や、重い荷物を運ぶお手伝いなど、心のこもったサービスに感動しました。私も同世代として、お客様の気持ちに寄り添った接客ができると考えています。人と話すことが好きで、町内会の役員も務めており、さまざまな年代の方とのコミュニケーションには慣れています。 |

コミュニケーション能力を強みとする場合の例文
現役時代の経験だけでなく、PTA役員や地域活動など、プライベートでの経験も強みとしてアピールできます。
コミュニケーション能力を強みとする例文(接客業)
| 営業職として35年間、多様なお客様と接してきました。退職後は地域の自治会長を務め、幅広い年代の方々との調整役を担っています。人の話をじっくり聞き、相手の立場に立って考えることを大切にしており、この姿勢は貴社での接客業務にも活かせると考えています。また、孫の世話を通じて若い世代とも自然に接することができ、年下のスタッフとも良好な関係を築けると確信しています。明るく前向きな性格で、職場の雰囲気づくりにも貢献できます。週4日程度の勤務を希望しており、土日も対応可能です。 |
履歴書の最終確認と提出時のマナー

丁寧に作成した履歴書も、最後のチェックや提出時のマナーで印象を損ねてしまうことがあります。応募の最終段階で失敗しないための注意点を解説します。
提出前に確認すべき最終チェックリスト
提出前には、以下の点を必ず確認しましょう。
- 誤字脱字はないか
- 空欄は残っていないか
- 日付は最新のものになっているか
- 写真はしっかり貼付されているか
- 全体的に読みやすい文字で書かれているか
また、面接に備えるため、提出する履歴書は必ずコピーを取り、手元に保管しておくことも重要です。面接では履歴書の内容について詳しく質問されることが多いため、どのような内容を記載したか正確に把握しておく必要があります。
履歴書に記載した内容と面接での発言に相違がないよう、事前に内容をしっかり頭に入れておきましょう。とくに志望動機については、より詳しく説明できるよう準備しておくことをおすすめします。
郵送・手渡し時の封筒に関する注意点
郵送する場合のマナーとして、以下の点に注意が必要です。
- 封筒は白色でA4サイズの書類が入るもの(角形2号)を選ぶ
- 履歴書はクリアファイルに入れてから封筒に入れる
- 表面に宛名を、裏面に自分の住所・氏名を記入し、表面左下に「履歴書在中」と朱書きする
手渡しする場合は、封筒に入れますが糊付けはせず、面接官に直接渡せるように準備しておきます。封筒の表面には「履歴書」と記載し、裏面に自分の氏名を記入しておくと丁寧な印象を与えられます。
履歴書や面接不要!スキマ時間で働きたいなら「タイミー」

履歴書の作成や志望動機を考えるのが難しい、もっと気軽に仕事を試してみたい、というシニア層の方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、スキマバイトサービスの「タイミー」です。
「タイミー」なら、履歴書・面接不要で、空いた時間に働ける単発・短時間の仕事が探せます。アプリから簡単に申し込みができ、すぐに働き始めることが可能です。
軽作業や試験監督など、シニア層が活躍しやすい職種も多数掲載されています。まずは1日だけ働き、いろいろな職場を経験することで、自分に合った仕事を見つけることもできるでしょう。


まとめ
60歳からの履歴書作成、特に志望動機の書き方について詳しく解説してきました。採用担当者は、過去の実績よりも「現在の貢献意欲」を重視し、人柄や健康状態から長期就業の可能性を判断しています。また、応募先への理解度から働くことへの熱意を測っています。
履歴書作成では基本的なルールを守りつつ、シニアならではの強みを効果的にアピールすることが大切です。志望動機では、自身の強みと応募先の業務内容を結びつけ、「なぜこの企業で働きたいのか」という熱意を具体的に伝えましょう。健康面や体力面で長く働けることも、具体的なエピソードを交えて示すことが重要です。
タイミーでは60歳以上のワーカーも多く活躍しています。退職後も社会とのつながりを持ち続けるための手段として、また夢を叶えるための挑戦として、さまざまな目的でタイミーを活用するシニアワーカーがいます。
60歳からの新しい働き方について、実際のワーカーの声を聞いてみたい方は、以下のインタビュー記事もぜひご覧ください。
定年後も前向きに、自分らしく働き続けることで、充実したセカンドライフを送ることができはずです。