私のタイミー生活

第二の人生を見据えて〜カヌー・国内トップアスリート當銘孝仁選手の挑戦〜

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第二の人生を見据えて〜カヌー・国内トップアスリート當銘孝仁選手の挑戦〜

目次

ひとつの道に注ぎ続けてきた情熱を、違う進路へ━━「セカンドキャリア」という人生の大きな転換点。これまで培ってきた経験という"羅針盤"を手に、新たな"海図"を切り拓く航海のようなものとも言えるでしょう。

「セカンドキャリア」は、特別な誰かのものではありません。新たな挑戦を始めるとき、人生を立て直すとき。すべての「働く人」が、いつか向き合うかもしれないテーマです。

そんな"普遍的な問い"に向き合う一人のアスリートがいます。
水しぶきを上げ、コンマ1秒を争うカヌー競技で、世界大会にも出場した當銘孝仁(とうめたかのり)選手です。



9年間拠点にしていた新潟を離れ、2025年4月からは、家族のいる沖縄県へ。これまで通り競技生活を続けながら、「まずは生活基盤の確立を目指す」と、自身のホームページで決意を表明しました。その胸の内を、當銘選手はこう語ります。

「これまでは、ほとんどの時間をカヌーに捧げてきた人生でした。だからこそ、いろんな仕事に挑戦して、"はたらく"ってどういうことなのか、知ってみたいと思うようになったんです。」

そんな當銘選手が、アスリートとして、そして一人の社会人としての新たな一歩を踏み出すために選んだのが、「タイミー」を通じた仕事への挑戦でした。競技生活の合間に、「タイミー」でマッチングしたさまざまな現場ではたらく、はじめの一歩に密着しました。

「競技の先に、何があるのか」━━国内トップアスリートが故郷で探す"はたらく"の意味

當銘孝仁選手


━━こちらにあるカヌーは、観光アクティビティなどで使うものとは少し形が違いますね。

當銘選手: そうですね。僕が取り組んできたのは、「カナディアン」というスタイルで、片膝をついて乗る、少し珍しいタイプのカヌーです。片方のパドルだけで漕ぐので、方向転換が難しいのですが、それで直線の速さを競い合います。

観光地のアクティビティなどでお馴染みのものは、「カヤック」と呼ばれるもので、座って両方のブレードで漕ぐタイプですね。

━━どんな点が「カナディアン」の魅力なのでしょうか?

當銘選手: 戦略的なせめぎ合いやゴール間際の緊張感ですね。そのハラハラ感は、自分でプレーしても、観客としても面白いなと感じます。

また、どんなスポーツも極めることは難しいですが、「カナディアン」はスタートラインにつくことすら難しいスポーツでもあります。だからこそ、プレーヤーとしては、乗りこなせるようになった時の喜びも大きいです。

━━競技はどのくらい続けられてきたのですか?

當銘選手: カヌーを本格的にはじめたのは、高校1年生の時です。海が身近にある環境だったこともあり、パドルスポーツには小学生の頃から親しんでいました。大学卒業後は、新潟県のスポーツ協会に所属し、三条市スポーツ協会に出向してセミプロのような形で競技を続けていました。その後プロ契約のお話をいただき、現在に至ります。

競技歴で言えば、もう18年ほどになります。

"水上のF1"と称されるカヌースプリントにおいて、當銘選手が専門とする「カナディアン」は、高度なバランス感覚と技術が要求される



━━セカンドキャリアについて考えたきっかけは、何だったのでしょうか?

當銘選手: 年齢的なこともありますが、一番はふと競技に疲れを感じた瞬間があったんです。その時に、「自分は競技しかやってこなかったな」と改めて思って。
社会的なことを身につけるためにも、はたらくことを経験したいという気持ちが強くなりました。


「はたらくならば、故郷で。」
パドルを握り続けてきた人生に一区切りをつけ、第二の人生を模索する當銘選手。
2025年4月、長年拠点としていた新潟を離れ、故郷・沖縄へUターン。競技を続けながら、未来のアスリートにカヌーを教え、家族のいる地元ではたらくことを決めました。

はたらくことで、どんな気づきが生まれるのでしょうか。




取材ご協力先
ユインチホテル南城

医療・福祉などのウェルネス事業を展開するタピックグループに所属する、タピック沖縄株式会社の運営するウェルネス・ケアリングリゾート。35,000坪の広大な敷地の中で、地産地消の食材を活かした料理、県内では珍しい天然温泉、レジャープールや各種アクティビティ施設、沖縄各地で古来より生息してきた在来馬「ヨナグニウマ」とのふれあい体験を楽しむことができる。

https://www.yuinchi.jp/

ホテルの前では、在来馬「ヨナグニウマ」がお出迎え。彼らも"社員"として、お客様におもてなしをしている







ユインチホテル南城の客室清掃業務で勤務する際は、まずはフロントへお声かけください。お客様がいらっしゃる場合は、お客様を優先し、「タイミーから申し込みました」とお伝えください



※なお、「ユインチホテル南城 猿人の湯」で勤務される場合は、集合場所が異なります。募集原稿を確認し、お間違えのないようお気をつけください。

今回當銘選手がマッチングしたお仕事は、客室清掃業務。フロントで客室清掃スタッフの方を呼んでいただきます。

受け入れを担当してくださった、客室清掃のスペシャリスト・大田さん


大田さん: おはようございます。本日担当する大田です。よろしくお願いいたします。こちらが名札と、お部屋の電気をつけるためのカードです。今日は1日頑張りましょうね。

當銘選手: おはようございます。當銘と申します。よろしくお願いいたします。この名札は今日のために作ってくださったんですか?

ユインチホテル南城では、マッチングしたワーカーさん用の名前入りの名札を用意している



大田さん: はい。お仕事は、マニュアルもありますので安心してくださいね。慣れるまでは時間がかかると思いますが、1室65分を目標に仕上げていきます。

當銘選手: (マニュアルに目を通しながら)かなり細かくマニュアルを作られていますね。お客様のチェックインの時間があるから、時間を守って進めていくのか…。

大田さん: そうですね。それでは、清掃用のバケツを持っていきましょう。後は、拭き掃除で使用するクロスも持っていきましょうね。

當銘選手: はい!なんだか大会の時よりも緊張しますね。

末広がりで、縁起がいい」と迷わず8番のバケツを選んだ當銘選手



やる気と緊張がまじった表情で、清掃を行う6階の客室に向かいます。

當銘選手: 客室についたら、どんな作業からはじめていくのですか。

大田さん: はじめてマッチングしたワーカーさんには、「アウト処理」という、シーツ類のはぎ取りやゴミの回収をお願いしています。

このホテルは客室数が多いので、チェックインが始まる時間帯までにお客様を迎え入れる準備を終えるには効率よく客室を整えていく必要があります。「アウト処理」は、コツを掴めば簡単にできる作業ですが、必要不可欠な仕事です。


6階に到着すると、ベテランの先輩スタッフさんたちが「アウト処理」をテキパキとこなしています。

1台5分以内━━素早く、丁寧に お客様の快適をつくるプロの技術

ベテランの先輩スタッフさんは、ベッド1台あたり3〜4分でシーツ交換・固定・掛け布団および枕のセッティングまで完了させるという。



大田さん: 次は実際に「ベッドメイク」をしていきます。まずは一緒にやっていきましょう。

ベッドメイクの手順を先輩スタッフさんから教わります。「どうしてそんなに早くできるんですか?」と先輩スタッフさんの手さばきに興味津々の當銘選手

少し苦戦しながらも、先輩スタッフさんに教わりながら、シーツの固定を進めていく當銘選手




當銘選手: 1台のセッティングに何分かかっているんだろう…。圧倒的な技術を見た後なので、(うまく進められなくて)凹んでしまいますね…。時間を意識しながら、お客様にご満足いただけるお部屋に仕上げていくのは、本当にすごいです。競技の遠征などでホテルに泊まる機会も多かったのですが、プロの仕事が裏側にあったんですね。勉強になります。

大田さん: 慣れるまではどうしても時間がかかりますし、大変ですよね。ただ、シーツを広げる時は1回で出来ていて、すごいです。

掛け布団を専用カバーで覆い、足元をマットレスの下に巻き込む"デュベスタイル"にも挑戦。



大田さん:  掛け布団をカバーで覆う工程には、掛け布団を三つ折りにして転がす"コロコロ"というやり方もあるので、それでやってみましょうか。

當銘選手: (先輩スタッフさんのレクチャーを受けながら)なるほど、そういうことか。"コロコロ"も、思った以上に技術がいりますね。


教わったことをひとつずつ確かめながら、"コロコロ"に挑戦。

三つ折りにした布団を丸めてセットし、シーツの端を掴み、一気に空気を入れて素早く丸めた布団を転がす當銘選手。

すると、なんと大成功!
大田さんや先輩スタッフさんも思わず「おおお!」と歓声をあげるほどの見事な仕上がりに、この日一番の一体感が生まれます。

喜びを分かち合ったあとも、當銘選手は気を抜かず次の作業へ。シャワールームやトイレなどの水回りの清掃・拭きあげ、掃除機掛け、そしてベランダまで━━
お客様が快適に過ごせる空間をつくるため、丁寧に清掃を進めていきます。

見事な仕上がりのお部屋になりました

「このお部屋にお客様が宿泊するんですね」と當銘選手も感慨ひとしおの様子。


職場の雰囲気の秘訣は「うちなんちゅ」の気質と「ゆいまーる」の精神

和室・洋室合わせて全147室を有するユインチホテル南城。
特に週末は、宿泊客が集中するため、客室清掃はまさに”時間との戦い”です。

そんな中でも、當銘選手の"コロコロ"成功を一緒に喜んでくれるような、温かな雰囲気がこの現場にはありました。

いったい、この空気感は、どのように生まれているのでしょうか。
その秘訣を探るべく、タピック沖縄株式会社サポートチーム人財開発課 次長の高橋俊博さん、そしてオペレーションチーム宿泊マネージャーの宮里さんに、お話を伺いました。

左から宮里さん、高橋さん



━━ユインチホテル南城は、どんなホテルなのでしょうか?

高橋さん: もともとは保養所として使われていた建物をリニューアルし、「ユインチホテル南城」としてスタートしてから、今年で16年目(25年7月現在)になります。

県内では珍しい天然温泉や、地産地消にこだわったお食事、敷地内のプールや、希少な在来馬「ヨナグニウマ」とのふれあい体験など、さまざまなアクティビティを楽しめるのが魅力です。

━━どんな経緯で、タイミーを導入されたのでしょうか?

高橋さん: 導入のきっかけは、やはり人手不足です。全体で240名以上の従業員が在籍していますが、客室清掃に携わるのは20人〜30人ほど。人員が不足すると、チェックインまでにお部屋の準備が間に合わず、お客様のご案内に支障が出てしまいます。

宮里さん: 客室数は、和室・洋室合わせて147室あります。當銘さんにも見ていただいたマニュアルにも書いてある通り、「ベッド1台5分以内」「1室65分以内」という目標があるのですが、ご予約が多い日は、どうしても人手が足りないことがあります。そこで、「アウト処理」などの業務を切り出して、ワーカーさんにお任せするようにしました。

━━効率化を図られたのですね。ただ、當銘選手の成功を一緒に喜んでくださるような温かな雰囲気が印象的でした。

高橋さん: まさに、ユインチホテルではたらく魅力は、"人"にあります。
スタッフの95%以上が「うちなんちゅ(沖縄の人)」で、「ゆいまーる(助け合い)」の精神がしっかり根付いているんです。

だからこそ、當銘さんのようにスポットでマッチングされた方にも、自然とウェルカムな姿勢で接する文化があります。それを感じ取っていただけたのかもしれませんね。

実際、タイミー経由でマッチングしたワーカーさんのうち、4名の方が現在は長期雇用のスタッフとして、はたらいてくださっています。

━━今回當銘選手の働きぶりをご覧になっていかがでしたか。

高橋さん: 慣れない作業でも明るく前向きに取り組む、素敵な好青年でしたね。

一緒にはたらくことで親近感が湧いて、今まで以上に応援したくなりました。これからも競技生活の合間にはたらいてもらえたら、もっと僕たちとの距離も近くなっていくと思いますし、観光とスポーツの間でシナジーを生み出せるような取り組みにもつながるんじゃないかなと感じています。

ユインチホテル南城(タピック沖縄株式会社)求人一覧

「自分は、こういうこともできるんだ」はたらいて得た気づき



━━実際に、はたらいてみていかがでしたか?

當銘選手: 楽しかったです。地元感のあるアットホームな雰囲気の中で、優しく教えていただき、とてもはたらきやすかったですね。
競技生活の中で、細かな点に気を配りながら反復練習してきたからか、コツコツと進める仕事は自分に合っているかもしれないと感じました。

━━お仕事の中で、特に印象深かったことはありますか?

當銘選手: ベッドメイキングの工程で、"コロコロ"というやり方を教わったのですが、それが上手く出来た瞬間です。ご指導いただいた大田さんや先輩スタッフさんとの一体感が生まれ、本当に嬉しかったですね。

いろいろな仕事に興味はあったものの、「自分にできるだろうか」と不安な気持ちもありました。でも、「タイミー」を通じて、自分の好きな仕事を選べること、そして実際に飛び込んでみて「自分はこういうこともできるんだ」と思えたことは、大きな自信になりました。すごくいい経験になったと思います。

━━今後の目標や夢を教えてください。

當銘選手: まずは、もっといろいろな仕事に携わってみたいです。
その中で、はたらきながら競技を続けていく方法を、自分なりに模索していきたいと思っています。

そしてこの経験を今後のキャリアに活かして、将来的には、アスリートが"はたらきながら競技を続けられる"ような会社を自分でつくっていきたいと思っています。

編集後記

今回の取材を通して、私たちは"はたらく"ことが持つ多面的な価値を、改めて実感させられました。それは、収入を得るためだけではなく、自分の新たな一面に気づき、人との関わりの中で自己肯定感を得る━━そんな大切なプロセスでもあるのだと。

「コツコツと進めていく仕事は、向いているかもしれない」と語った當銘選手。
一つの道を究めてきたトップアスリートの経験は、競技以外のフィールドでも生かされうることを、今回の當銘選手の奮闘の様子から垣間見ることができました。彼がはたらくことを通じて得た気づきは、セカンドキャリアを考える多くの人にとって、大きな勇気になるのではないでしょうか。

今回の記事では伝えきれなかった當銘選手の勇姿や、客室清掃スタッフのみなさんとの温かい交流は、近日公開予定の密着動画でご覧いただけます。
YouTubeチャンネル「たいりあ」にて、"コロコロ"成功の瞬間もお見逃しなく!

タイミーラボでは、今後もアスリートとして、そして新たな道を切り拓くひとりの"働き手"として、當銘選手の挑戦を継続的に追いかけてまいります。

次なる挑戦の舞台は、いったいどこになるのか━━。
どうぞご期待ください。

/media/タイミーラボ編集部
タイミーラボ編集部

タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。

https://lab.timee.co.jp/

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