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求人に応募するため、求人票や履歴書を確認していると、「希望年収」や「平均年収」と書かれている項目があります。耳にする機会の多い、この「年収」という言葉ですが、正しく意味を知っているでしょうか?
本記事では、年収の定義や「手取り」との違い、年収の確認方法などについて解説します。
▼給料はいつ振り込まれるの?
年収とは—額面や手取りの違いは?—
「年収」とは、1年間に支給された収入(総支給額)のことをいい、社会保険料、源泉所得税、そのほかの控除が引かれる前の金額を指します。なお、年収は、「額面年収」や「給与収入」と呼ばれることもありますが、どれも同義として扱われます。
年収に含まれるもの
年収に含まれるもの、含まれないものについては、以下のとおりです。
年収に含まれるもの | 年収に含まれないもの |
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年収は、12ヵ月分の基本給に加えて、「賞与」「時間外手当」「住宅手当」なども含まれます。一方、年収に含まれないものは、「祝い金」「見舞金」「通勤手当(交通費)」などです。
「通勤手当(交通費)」に関しては、通勤にかかる交通費のほか、業務上必要な交通費、出張にかかる交通費(立て替え)があります。通勤にかかる交通費は、上限をこえない限り、非課税分であるため、基本的に年収には含まれません。しかし、社会保険料を計算する際に使用する年収は、交通費も含めて計算するので、覚えておきましょう。
「額面」「収入」「手取り」との違い
「額面」「収入」「手取り」の違いについて、解説します。
●額面とは
「額面」とは、基本給のほか、残業代などの各種手当を含み、税金などが差し引かれる前の金額のことを指します。「月給の額面×12ヵ月分=年収」となります。
●収入とは
「収入」とは、会社から受けとる給与や賞与などを含めた年間の合計収入のことです。なお、「収入」は、「年収」と同じ意味ではあるものの、税法上では「年収」でなく「収入」をつかいます。
●手取りとは
会社員の場合は、「額面」から所得税、住民税、社会保険料などが差し引かれます。「手取り」とは、これらの税金が差し引かれたあと、実際に受けとれる金額のことを指します。給与の受けとりが振込であれば、振り込まれた金額が「手取り」額となります。
▼給料明細の見方はこちら
「年収の壁」とは?
アルバイトやパートで働いている人のなかには、「年収103万の壁」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。これは、扶養控除に影響する年収額のことを指し、自身の年収が103万をこえると、超えた分に対して所得税がかかる仕組みになっています。
▼年収の壁についてくわしく知りたい人は
この年収の壁についてくわしく知りたい人は、「「扶養内で働く」とはいくらまで?103万円・130万円の壁や損しないための注意点」の記事も参考にしてみてください。
年収を確認・計算する方法
年収を確認するには、源泉徴収票をチェック
自分の正確な年収を確認する方法としては、「源泉徴収票を見る」という方法があります。源泉徴収票とは、1年間の収入、納めた社会保険料、所得税額を記載した書類のことです。この源泉徴収票の「支払金額」の箇所に書かれた金額が、年収に当たります。
年収の計算方法
年収は、給与明細書を利用して計算することも可能です。年収は、直近12ヵ月分の給与明細と賞与明細の総支給額に記載されている金額を合計することで求められます。ただし、給与明細の総支給額には、本来年収に含まれない通勤手当、見舞金、祝い金なども記載されています。そのため、正確な年収を知りたい場合は、通勤手当、見舞金、祝い金を差し引いたうえで計算しましょう。
書類が見当たらない場合
源泉徴収票や給与明細といった書類が見当たらない場合は、下記の方法でおおよその年収を計算するとよいでしょう。
- (直近の月給×12ヵ月)+賞与
- (手取りの金額÷0.8)×12ヵ月+賞与
年収に関するよくある疑問
年収に関するよくある質問についてまとめたので、確認してきましょう。
Q.「◯◯年収」の言葉の意味・使い方は?
「年収」とよく似た言葉には、さまざまなものがありますが、それぞれ意味が異なります。
●平均年収
「平均収入」とは、総労働者の年収をすべて足し、総労働人口数で割った数値のことです。日本の平均年収については、後述する国税庁の「民間給与実態統計調査」で知ることができます。
●世帯年収
「世帯年収」とは、同一の生計を立てる世帯全員の年間収入を合計したものです。たとえば、共働きの両親と小学生の子ども1人の3人家族の「世帯年収」は、両親2人の年収を合わせた額になります。
●想定年収
「想定年収」とは、通勤交通費と残業代を除くすべての手当を含んだ月額給与12ヵ月分と賞与を合計した金額のことです。
●生涯年収
「生涯年収」とは、就職してから定年にいたるまでの労働で得る賃金・賞与の総額のことです。これには、退職金なども含まれます。
●申告年収
「申告年収」とは、クレジットカードを作成するときや金融機関を利用するときに申告する、おおまかな年収のことです。
Q.日本人の平均年収はどれぐらい?
国税庁の「民間給与実態調査-調査結果報告-」によると、2020年の日本人の平均年収は、約433万円です。また、正規雇用の場合は約496万円、非正規雇用の場合は約176万円と、働き方によって年収に大きな開きがあることがわかります。
さらに、給与階級別の分布でみると、年収300万円~400万円の層がもっとも多く、給与所得者5,245万人のうち、913万人(構成比17.4%)を占めています。
(出典:国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」)
Q.世帯年収の計算方法は?
世帯年収は、家族一人一人の年収ではなく、子どもを含む世帯全体の年収を指します。同一の生計を立てる世帯とは、同居や別居は関係なく、同じ収入源で生活を共有している家族のことを指しています。
そのため、共働きの両親のほか、アルバイトをしている大学生の子どもがいる場合は、両親の年収と大学生の子どもの年収を合わせたものが世帯年収になります。
Q.個人事業主の年収は?
自営業や個人事業主の年収は、基本的に1年間の売上や報酬から経費を引いた金額のことを指します。自営業や個人事業主は、1月1日~12月31日までの期間を「1年間」として確定申告を行うことで、正確な年収の計算をします。
Q.バイト面接や就職活動、転職活動で希望の年収を聞かれたら?
年収は、時間外手当や休日出勤手当などの残業代、各種手当を含んだ総支給額のことです。就職・転職する際の面接などで希望年収を聞かれた場合は、各種手当を含めた金額を答えましょう。金額がわからない場合は、前述した年収を確認する方法を参考にしてください。
まとめ
「年収」とは、1年間に支給された収入(総支給額)のことを指します。また、同じように給与を表す言葉には、「手取り」や「額面」などさまざまなものがあるので、それぞれのちがいをよく理解しておきましょう。
ほかにも、就職や転職時の面接では、「希望年収」や「希望月収」を聞かれたり、クレジットカードを作成するときは「申告年収」を聞かれたりすることがあります。知っておいて損はない知識なので、それぞれの言葉のちがいを理解し、つかい分けられるようにしておきましょう。
- タイミーラボ編集部
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