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パートとアルバイトの違いとは?社会保険や待遇についてくわしく解説

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パートとアルバイトの違いとは?社会保険や待遇についてくわしく解説

目次

仕事探しをしていると、「パート」と「アルバイト」が使い分けられている募集を目にすることがあると思います。しかし、その違いについて説明できる人はそう多くないのではないでしょうか。

そもそも、パートとアルバイトで何か異なる点はあるのでしょうか。また、そのほかの雇用形態とパート・アルバイトの違いも気になるところです。

この記事ではパートとアルバイトの相違点や、そのほかの雇用形態と異なるポイントについても解説していきます。

パート・アルバイトの定義とは?違いは何?

パート・アルバイトの定義とは?違いは何?_01

結論から言うと、パートとアルバイトに法律的な違いはありません。

そもそもパートとアルバイトは、厚生労働省の『パートタイム・有期雇用労働法のあらまし(令和3年7月版)』において、どちらも「パートタイム労働者」に分類されています。

1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者をいいます。

(中略)

例えば、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者であれば、パートタイム・有期雇用労働法の対象となります。 

(引用元:厚生労働省『パートタイム・有期雇用労働法のあらまし(令和3年7月版)』)

つまり、パート・アルバイトだけではなく、嘱託や契約社員なども、通常労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い時間で働いている労働者であれば、すべて「パートタイム労働者」となるのです。

パート・アルバイトに法的な違いはない

パートとアルバイトに法的な違いはありません。

そのため、記載されている応募要件をクリアしていれば、パートとアルバイトのどちらの求人に申し込んでも問題はありません。

「応募したい求人がパートだから、学生の自分は応募できない」ということはないため、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。

パート・アルバイトが区別される理由

ではなぜ求人票にはパート・アルバイトの区別がされているのでしょうか。この2つには語源や慣習的な部分に違いがあるとされています。

●語源の違い

「パート」は「パートタイマー」を省略した言葉で、語源は英語の「Part timer」です。フルタイマーの対義語として、通常の労働時間勤務者よりも短い時間で働く人のことを指します。

1950年代頃に、主婦をターゲットにした短時間勤務販売員を百貨店が相次いで募集しはじめたことで、「パートタイマー」という言葉が世の中に定着したといわれています。

一方、「アルバイト」は、ドイツ語で労働や仕事を意味する「Arbeit」が語源です。かつての旧制高等学校時代の学生が、学業の合間にする仕事を「アルバイト」と呼んでいたことに由来しているといわれています。

●慣習・イメージによる違い

前述の語源の違いから、世の中に「アルバイト=学生」「パート=主婦(主夫)」というイメージが浸透し、広く知れ渡っていきました。

このように、異なるものであるようなイメージが浸透したことで、企業によってはこのイメージに沿って、パートとアルバイトを区分しているところもあります。

しかし実際には、パートとアルバイトに法律上の違いはないため、あくまでも習慣的な違いによる呼び方でしかありません。採用にあたって、企業が性別や年齢・身分によって差をつけているわけではないことを覚えておきましょう。

フリーター・派遣社員との違い

フリーター・派遣社員との違い_01

パートやアルバイトと呼ばれる働き方に近いものに、「フリーター」と「派遣社員」があります。この2つの働き方は、パート・アルバイトとどのような部分がちがうのでしょうか。

フリーターとの違い

フリーターは、パートやアルバイトと同様に「パートタイム労働者」に該当します。正式には「フリーアルバイター」と呼ぶことからもわかるとおり、アルバイトの一種です。

厚生労働省では、フリーターを次の条件で定義づけています。

年齢は15〜34歳、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうち、以下3つのいずれかに当てはまる者。

  1. 勤務先での呼称が「パート」「アルバイト」である者
  2. 完全失業者もしくは非労働力人口のうち、探している勤務形態が「パート・アルバイト」である者
  3. 非労働力人口でない場合は、家事・通学・就業内定をしていない者

(引用元:厚生労働省『若年者雇用に関する資料』)

簡単に言い換えれば、15〜34歳までの人で、パートやアルバイトをメインにして生活をしている人となります。とはいえ、フリーターもパートタイム労働者になるので、パート・アルバイトと雇用形態における法律上の違いはありません。

派遣社員との違い

パート・アルバイトと比べた時に、派遣社員は定義や賃金相場の点で異なります。

派遣社員は、勤務先と直接契約を結ばない、間接契約と呼ばれる雇用形態になります。派遣会社を介して勤務先に就労する形態です。また、派遣社員に対する給与の支払いや福利厚生は派遣会社が行います。こうした点で、勤務先から直接給与をもらうパートやアルバイトとは異なるのです。

その他の違う点として、派遣社員は雇用期間や待遇などの労働条件を直接企業と交渉することができません。ほぼすべてのやり取りにおいて派遣会社が仲介します。パートやアルバイトよりも自由が利きにくい反面、第三者のサポートが受けられるのは、パート・アルバイトにはないメリットといえるでしょう。

パートタイム労働者と正社員の労働条件・待遇の違い

パートタイム労働者と正社員の労働条件・待遇の違い_01

パートタイム労働者と正社員には、いくつかの違いがあります。具体的には、次のようなものが挙げられます。

  • 仕事内容・業務内容
  • 勤務時間
  • 賃金
  • 有給休暇・育休・産休
  • 各種社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金保険)

なお、パートタイム労働者と正社員に多少の違いはあるにしても、不条理な待遇差は法律で次のように禁止されています。

【パートタイム・有期労働契約法 第8条】

事業主は、その雇用するパートタイム・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、その待遇に対応する通常の労働者との待遇の間において、パートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者の職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲(人材活用の仕組みや運用など)、その他の事情のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

(引用元:e-GOV『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』)

パートタイムだから、アルバイトだからというだけで、賃金や福利厚生などの待遇において、正社員との格差を設けることは法律違反となります。仕事選びの際には、労働条件や業務内容をしっかりと確認しておきましょう。

仕事内容・業務内容

雇用形態による仕事内・業務内容の差はありません。業務内容は、一人ひとりの雇用条件によって異なるものです。

ただし、正社員の業務には専門性や経験が求められることが多く、反対にパートやアルバイトの業務には未経験でもこなせる仕事が多い傾向があります。

勤務時間

勤務時間も雇用形態による違いはありません。勤務時間は、雇用条件次第で変わります。たとえば、正社員と同じように週40時間働く「フルタイムパート」と呼ばれる労働者がいるように、パート・アルバイトであっても正社員と同じ時間勤務する働き方もあるのです。

さらには、フルタイムで働いてくれるパートやアルバイトを募集しているところもあるため、一概に「勤務時間が短い労働者=パート・アルバイト」であるとも言い切れません。

フルタイムに関しての詳細は「フルタイム勤務とは?パートタイム勤務とのちがいや働く際の注意点を解説」を参考にしてください。


フルタイム勤務とは?パートタイム勤務とのちがいや働く際の注意点を解説 | タイミーラボ - スキマで働く、世界が広がる。

仕事を探していると目にする「フルタイム」という勤務形態。フルタイム=正社員とは限りません。フルタイム勤務とは勤務先で決められた正規の労働時間を、始業から終業までフルで働く人、またはその働き方のことを指します。この記事では、フルタイム勤務とパートタイム勤務のちがいや、フルタイムからパートタイムを切り替える際の注意点について解説します。

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賃金

賃金も雇用形態による違いはなく、業務内容や労働時間によって異なります。

厚生労働省は、「同一労働同一賃金」の考え方を取り入れたパートタイム・有期雇用労働法の改正法を2020年4月1日より施行しました。

この「同一労働同一賃金」とは、同一企業における正規雇用労働者(いわゆる正社員) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指す考え方です。

同じ仕事をしていれば、雇用形態にかかわらず同じ賃金を支払うことが定められているのです。

ただ、給与形態については、正社員が月給制・年俸制、パート・アルバイトが時給制・日給制であることが多いという違いがあります。

また、パート・アルバイトは勤務時間を比較的自由に調整できるため、収入の増減を自分でコントロールしやすいという面もあります。

さらに、雇用契約の内容次第にはなりますが、ボーナスや昇給が認められている勤務先もあります。ボーナス・昇給に関して気になる場合は、事前に勤務先に確認しておくとよいでしょう。

(参照:厚生労働省『同一労働同一賃金特集ページ』)

有給休暇・育休・産休

有給休暇や育児休暇、産前・産後休暇は、正社員でもパート・アルバイトでも一定の条件を満たすことで取得できます。たとえば有給休暇の場合は、次の条件に該当すれば、下欄の日数で取得することができます。

<有給休暇の取得条件>

  • 連続して6ヵ月以上勤務している
  • 全労働日の8割以上働いている

<条件を満たす人が取得できる有給休暇の日数>


週の所定労働日数1年間の所定労働日数勤続年数
6ヵ月目1年6ヵ月目2年6ヵ月目3年6ヵ月目4年6ヵ月目5年6ヵ月目
正社員
10日11日12日14日16日18日
パート・アルバイト4日169~216日7日8日9日10日11日13日
3日121~168日5日6日6日8日9日10日
2日73~120日3日4日4日5日6日6日
1日48〜72日1日2日2日2日3日3日

週5日間フルタイムで勤務しているパート・アルバイトは、正社員と同じ条件で有給休暇を取得できます。

各種社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)

健康保険・厚生年金保険・雇用保険は、パート・アルバイトでも一定の条件を満たすことで加入できます。

●健康保険・厚生年金保険の加入条件

パート・アルバイトが健康保険と厚生年金保険に加入する際の条件は、以下のとおりです。

以下の条件にすべて当てはまる場合は、健康保険と厚生年金保険に加入することができます。

  1. 所定労働時間が週20時間以上である
  2. 1ヵ月の賃金が8.8万円以上である(賞与・残業代・通勤手当は除く)
  3. 雇用期間の見込みが1年以上ある
  4. 勤務先の従業員が501人以上(厚生年金の被保険者数)の企業であるか、500人以下の企業で労使協定により社会保険加入が合意されている場合
  5. 学生は対象外である(夜間・定時制・通信制の学生は対象)


「従業員の数」は、フルタイム労働者に加えて、週の労働時間がフルタイムの3/4以上となるパートタイム労働者も含まれます。

また、この従業員数については、今後段階的に引き下げていくことが決定しています。2022年(令和4年)10月からは、対象企業の従業員数が「101人以上」へと引き下がり、2024年(令和6年)10月以降には、「51人以上」へと変更され、対象となる企業の数が拡大していくことが決まっています。

社会保険の適用条件の拡大についてくわしく知りたい方は、厚生労働省『社会保険適用拡大特設サイト』を確認してください。

●雇用保険の加入条件

以下の条件にすべて当てはまる場合は、雇用保険に加入することができます。

  1. 31日以上継続して雇用される見込みがある
  2. 所定労働時間が週20時間以上である
  3. 学生以外

雇用保険の詳細については、以下の記事「雇用保険とは?アルバイトやパートで失業保険を受給できる条件も解説」を参考にしてください。


雇用保険とは?アルバイトやパートで失業保険を受給できる条件も解説 | タイミーラボ - スキマで働く、世界が広がる。

雇用保険とは国が用意している社会保険制度の一つで、働き手の生活を、経済的な面で支える制度です。しかし、加入・受給には条件がありアルバイトやパートの場合申請のステップが異なります。この記事で雇用保険・失業手当について解説していきます。

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パート・アルバイトの扶養控除

年収103万円以内に収まる範囲でパート・アルバイトとして働いた場合は、扶養控除を受けることができます。

控除が受けられると、支払う税金額をゼロにできたり、少なくできたりするため、収入面で大きなメリットとなります。ぜひ活用していきましょう。

詳細は以下『扶養内で働く」とはいくらまで?103万円・130万円の壁や損しないための注意点』を参考にしてください。


「扶養内で働く」とはいくらまで?103万円・130万円の壁や損しないための注意点 | タイミーラボ - スキマで働く、世界が広がる。

【社労士監修】扶養控除とは、納税者本人に扶養親族がいる場合に受けられる、一定額の所得控除のことです。収入によっては税や社会保険が支払い対象になるのでしっかり理解しておかなければなりません。よく聞く「103万円の壁」「130万円の壁」などについても解説していきます。

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パート・アルバイトで働くメリット・デメリット

パート・アルバイトで働くメリット・デメリット_01

正社員と比較して、パート・アルバイトとして働くことのメリット・デメリットをみていきます。

パート・アルバイトとして働くメリット

パート・アルバイトとして働くことのメリットは、次のとおりです。

  • 求人の種類が多い
  • 勤務日数や時間帯を調整できる
  • 未経験歓迎の仕事が多い

パート・アルバイトでは未経験者を歓迎する求人数が多いのが特徴です。

また、勤務時間もフルタイムとしてしっかり働くこともできれば、パートタイマーとして時間を区切って短時間で働くことも可能です。自身の趣味や子育て、介護にあてる時間などと調整し、ライフスタイルに合わせて柔軟に対応できるでしょう。

パート・アルバイトとして働くデメリット

パート・アルバイトとして働くデメリットには、次のようなものがあります。

  • 昇給・昇進の機会が少ない
  • ボーナス・賞与の機会が少ない
  • 実績になるような仕事を任されにくい

とくに、単発や短期のアルバイトの場合は、昇進やボーナスを得られる機会が少ない傾向にあります。企業によっては昇進やボーナスの機会を制度として整えているところもありますが、正社員と比較するとあまり多くないというのが欠点です。

また、パート・アルバイトで募集している仕事内容は、未経験者でも担当できる業務が多いです。そのため、実績となるような大きな仕事を任されるまでには時間がかかることもあります。

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ライフスタイルに合わせてさまざまな働き方がありますが、パートとアルバイトに法的な違いはありません。仕事内容や労働条件に多少の差はあれど、仕事の選び方は人それぞれなので、雇用形態にこだわらず、自分に合った働き方を探してみましょう。

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/media/社会保険労務士法人スマイング 特定社会保険労務士 成澤 紀美
監修者
社会保険労務士法人スマイング 特定社会保険労務士 成澤 紀美

社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保健労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT企業関連。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生®️(商標登録済み)」を展開。

https://www.it-jinji.net/

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