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働き方が多様化している近年、副業を始める会社員が増えています。企業としても副業解禁の動きがあり、多くの方がタイミーなどさまざまな副業に取り組んでいるようです。
しかし、副業するには「会社への申請を必須」としている企業もあり、正しく手続きを行っていないと問題になるケースも。
この記事では、会社に副業していることがわかってしまう理由および、それを怠った場合/禁止されているのにも関わらず副業をしてしまった場合のリスクについて解説します。
「副業はばれたらダメ?」と思っている方もいるかもしれませんが、原則副業は自由です。しかし本記事を読んだ上で、会社のルールを守り、本業に影響がないように気をつけるようにしましょう。
副業とは?
副業とは、主とする職業以外の仕事で副収入を得ることを指します。本業の所定労働時間外や休みの日を活用して他の仕事を行うものです。副業は法律で明確に定義されているわけではなく、その内容はお小遣い稼ぎを目的とした単発のアルバイトから資産運用までさまざまです。
2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定したことを受け、従業員のスキルアップを目的に副業を認める企業が増えてきました。
2022年度就業構造基本調査によると副業者数は305万人に増加しており、本業以外に仕事をする会社員は年々増加傾向にあります。タイミーの調査によると、副業をする理由として「生活費の足しにするため」「趣味や娯楽に使うため」「本業では経験がない仕事の経験ができるため」など、さまざまな声が挙がっています。
法律では「副業は自由」とされている
法律においては公務員を除いて副業することは問題ではありません。副業をすることは個人の自由とされており、本業の勤務時間外であれば副業をしても法律上は何の罰則もありません。
そのため、副業をしていることを隠す必要はなく、定められたフローに沿って正しく申請していれば会社としても問題はないのです。
しかし、本業の会社が副業を禁止している場合は注意が必要です。就業規則に副業禁止の記載があるにも関わらず違反をしてしまうと、減給や降格などのペナルティを課されることもあります。
実際、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の中でも、企業の判断によって副業を禁止・制限することを可能にしています。
(副業・兼業) 第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。 ① 労務提供上の支障がある場合② 企業秘密が漏洩する場合 ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 ④ 競業により、企業の利益を害する場合 |
副業は、自己判断で始めるのではなく、きちんと就業規則を確認し、ルールを守って始めるようにしましょう。
従業員の副業が判明してしまう理由
「副業をしていることを本業企業に知られたくない」「副業がばれてしまうのは避けたい」と考える方もいるかもしれません。しかし、副業していることを隠すことは原則できません。理由を解説していきます。
住民税の額で副業が判明
本業の給料から住民税が天引きされている場合は、副業していることが判明してしまう可能性が高いです。住民税として納税する額は、前年度の所得によって決まるため、副業で収入が増えている場合は、その分の税額が増加するからです。
本業の会社に副業をしていることを知られたくない場合は、住民税を会社の給料から天引きして納付する「特別徴収」ではなく、自分で納付する「普通徴収」に切り替えなければなりません。
社会保険料で副業が判明
副業先で社会保険に加入すると、会社に副業していることがわかってしまうでしょう。たとえパートやアルバイトの場合であっても、以下で記した条件をすべて満たす場合は、社会保険に加入する義務があります。
週の所定労働時間が20時間以上である
賃金が月額8.8万円以上(年間106万円以上)である
2ヵ月以上の雇用が見込まれている
学生ではない
従業員101名以上の企業で働いている(※)
※令和6年10月以降は「従業員数51人以上」に改定されます(参照:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」)
上記の条件を満たしている場合は、給与所得の合計から社会保険料が算出され、決定通知書が本業の会社宛に送付されるため、副業をしていることが判明してしまいます。もし、本業企業に副業をしていることがばれたくない場合は、労働時間や賃金額に気をつけながら社会保険の適用範囲外で働く必要があります。
年末調整の「給与所得者の基礎控除申告書」で副業が判明
本業企業で行う、年末調整によって副業していることがばれてしまうこともあります。年末調整の中「給与所得者の基礎控除申告書」において、給与所得を記載する欄があります。ここに記載する金額は副業で得た収入を合算して記載しなければなりません。
また、副業で得た収入が給与所得でない場合でも、「給与所得以外の所得の合計額」欄に記載する必要があります。
SNSを通じて副業が判明
SNS上で仕事の募集、経歴、実績など副業についての情報を発信することで、社内の人に副業をしていることを知られる場合もあります。
SNSで副業に関する情報を発信したいものの、個人が判明することを懸念する場合は、副業専用のアカウントを用意することをおすすめします。
副業禁止の会社で副業がばれるとどうなる?
副業は、法律で禁止されているわけではありませんが、対応はあくまで会社によって異なります。就業規則に「副業禁止」や「届け出制」の記載がある場合は、違反すると懲戒処分や解雇になる可能性もあるため、始める際には必ず就業規則を確認してください。
この章では、本業企業に副業がばれてしまった際に、会社から懲戒処分を受ける可能性が高い3つのケースについて紹介します。
ただし、就業規則で「副業禁止」と書かれている場合は、ばれる・ばれないという問題以前に、「副業はできない」ということを覚えておきましょう。
本業の業務に支障が出た場合
副業を始めると、労働時間が増えるため、本業に悪影響を及ぼす恐れがあります。長時間労働による寝不足や蓄積された疲労は、仕事のパフォーマンス低下や体調不良を招く原因です。
副業による過重労働が原因で本業の業務に支障が出た場合は、懲戒処分の対象となる可能性が高いでしょう。また、本業の業務時間中に副業の仕事を行うこともNGです。
会社の信用に影響を与えた場合
副業先などに本業の機密情報や個人情報が流出した場合は、懲戒処分の対象となります。
たとえば、本業と関わりのある会社から個人的に仕事を請け負うような場合は、とくに注意しなければなりません(実際に、副業自体はOKでも、本業と同じ職種・同じ業種で副業するのはNGとしている会社も多いです)。また、意図せずとも本業の顧客情報や業務データが漏れてしまう可能性もあるため、本業と副業では別のパソコンを使用する、明確にデータの管理をわけてセキュリティを徹底するなどといった工夫が必要です。
会社に不利益をもたらした場合
会社に不利益をもたらした場合も、懲戒処分を受ける可能性があります。本業のノウハウを他社へ流出させたり、競合先で副業したりすると、自社の競争力が低下するためです。
本業と副業でまったく異なる仕事をすれば、こうしたリスクを抑えられます。たとえば、プログラマとして働いている人なら副業でWEBライティングを行う、食品メーカーの営業として働いている人なら副業で動画編集を請け負うなど、仕事の受発注先が本業とかぶらないようにするともおすすめです。
自社に不利な状況を自らつくり出すことのないよう、副業で行う仕事を選択しましょう。
副業を行う際の注意点
割増賃金の意識を持つ
会社は、従業員が自社と他社いずれでも雇用契約を結んで従業員として働いている場合は、労働時間を通算して計算しなければなりません。
割増賃金とは、会社が従業員に時間外労働や休日・深夜労働をさせたときに支払う賃金のことです。労働基準法第38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」としているため、 労働時間がオーバーしてしまうと会社はその分の割増料金を支払わなければならなくなるのです。
そのため、所属している会社は従業員が副業をしているのかどうかを把握する必要があり、「ばれないようにしよう」という考え方は適していないと言えるでしょう。
体調管理をしっかり行う
株式会社パーソル総合研究所による「副業の実態・意識調査」の中で、副業で生じたデメリットは何か調査したところ、副業をしている人の13.5%が「過重労働になり、体調を崩した」と回答。次いで、「過重労働になり、本業に支障をきたした(13.0%)」、「本業がおろそかになった(11.3%)」が続きました。
副業は本業の業務時間外で行わなければならないため、過重労働にならないように自分自身でコントロールしなければなりません。少しでも体調不良を感じたら無理をせずに休息を取るようにしましょう。
確定申告を行う
副業で得た所得が年間20万円以上ある場合は、確定申告をしなければなりません。確定申告をしなければ、延滞税や無申告加算税などの処罰が課せられるほか、場合によっては刑事罰に科せられることもあります。
ただし、確定申告をすることで、本業企業に副業をしていることがわかってしまう可能性があります。もし、副業を会社に知られたくない場合は、確定申告の際に、住民税を特別徴収から普通徴収へと切り替えておくか、年間20万円以内の所得となるよう副業収入を調整するようにしましょう。
なお、副業で得た所得が年間20万円以下となる場合でも、住民税の申告は必要です。住民税の申告を忘れると、延滞税が科せられる恐れがあるため、わずかでも副業収入のある方は必ず申告するようにしましょう。申告方法は、居住地のある自治体のホームページなどで確認できます。
まとめ
副業は、住民税の増額や社会保険の加入などによって、会社に知られてしまう可能性があります。副業を禁止する法律はありませんが、会社によって規定が異なる点に注意してください。会社の規定に違反すると、解雇などの懲戒処分の対象となってしまいます。副業を始める際には、必ず就業規則を確認してから行いましょう。
- タイミーラボ編集部
タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。
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