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退職後の手続きでやるべきこととは?年金・保険・税金などチェックリストで確認!

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退職後の手続きでやるべきこととは?年金・保険・税金などチェックリストで確認!

目次

会社を退職することが決まったものの、「退職願は必要?」「必要な手続きは?」など、やるべきことがわからないといった人もいるでしょう。後任者への引き継ぎ業務に追われてしまい、「必要な手続きを忘れてしまった」なんてことにもなりかねません。

本記事では、退職までの流れや退職後に行うさまざまな手続きなどについて紹介します。職場に迷惑をかけたり、手続きミスがあって、あとで困ったりしないように、チェックリストを確認しながらしっかり進めていきましょう。

退職までの流れ

退職までの流れ

職場の人に迷惑をかけることなく、スムーズに退職するためには、どのような段取りで退職すればよいのでしょうか。以下では、一般的な退職までの流れについて、解説します。

退職することを決意したら

退職を決意したら、まずは職場の人に退職の意向を伝え、退職日を決めます。そのあと、必要に応じて職場に「退職願」を提出し、退職日を迎えるまでにきっちりと仕事の引き継ぎを行っていきましょう。

●できるだけ早く退職の意向を伝える・退職日を決める

まずは、退職の意向を伝えます。一般的には、「退職希望日の1ヵ月~2ヵ月前までに退職の意向を伝えるのがベスト」とされています。

ただし、民法627条では、以下のように記載されています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

(引用:民法627条1項

かんたんにいうと、「正社員やアルバイト・パートを含む雇用期間に定めのない労働者が退職を申し出る際には、退職希望日の2週間前(14日前)までに、勤め先に伝えれば退職することができる」ということです。

ただし、これに当てはまるのは、「雇用期間に定めのない労働者」である場合のみです。契約社員のように、「何年」「何ヵ月」といった雇用期間が決まっている労働者の場合は、「契約期間が満了するまでは原則退職できない」と法律で定められているので、注意しましょう。

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  • 雇用期間に定めがない場合:退職希望日の2週間前までに伝えれば退職できる
  • 雇用期間が決まっている場合:契約期間が満了するまでは原則退職できない

また、企業によっては、就業規則に「退職の意向は〇ヵ月前までに申し出ること」と記載しているケースもあります。就業規則に沿った行動を取るのが望ましいです。

さらに、業務の引き継ぎには、およそ1ヵ月~1ヵ月半かかることが多いです。場合によっては、人員を補充する必要も出てくるでしょう。そのため、やむを得ない事情がない限りは、できるだけ余裕を持って、 退職希望日の1ヵ月~2ヵ月前に伝えておくのがマナーであるといえます。

退職の意向を伝える相手は、よほどの理由がない限り、直属の上司になります。そのほか、店長や自分が所属している部署・チームの責任者やリーダーといった人に伝えるようにしましょう。伝える際には、いきなり退職する旨を伝えるのではなく、業務状況や引き継ぎのスケジュールなどを上司と相談しながら、退職日を決めるようにしましょう。

退職願の提出

退職の意向を伝えたら、「退職願」を提出します。退職願とは、会社に対して退職することを願い出るための書類です。退職願に似たものとしては、「退職届」があります。退職届とは、退職が確定したのちに会社に提出する書類です。それぞれ提出するタイミングが異なるので、注意しましょう。

また、退職願と退職届は、どちらも提出の義務はありません。ただし、こちらも就業規則で「提出することが必要である」と明記してある会社もあるので、その場合は用意して提出するようにしましょう。

退職願や退職届の書き方についてくわしく知りたい人は、「退職届(退職願)の書き方|アルバイト・パートも必要?例文や提出方法を紹介」を参考にしてください。


退職届(退職願)の書き方|アルバイト・パートも必要?例文や提出方法を紹介 | タイミーラボ - スキマで働く、世界が広がる。

会社を辞めるときに提出する退職届。アルバイトやパートでも求められたら提出する必要があります。退職願や辞表とは何が違うのか、どのような内容を書けばいいのか、縦書き・横書きどちらにすればいいのか、手書きなのか、いつ渡すのかー? 本記事では退職届に関する疑問点について、解説していきます。

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業務の引き継ぎ

仕事内容にもよりますが、まずは引き継ぎ資料の作成から始めます。自分が行っている業務内容のリスト化、担当顧客の詳細のリスト化、必要に応じて過去に担当した案件の資料など、次に誰が担当になってもわかるように整理しながらまとめていきます。

作成した引継ぎ資料を後任者(もしくは上司)に渡し、場合によっては一緒に業務を進めながら引き継ぎを行います。営業職の場合は、後任者とともに顧客や取引先へのあいさつ回りをすることもあります。

退職日(最終出勤日)にやること

退職日(最終出勤日)にも、やるべきことはあります。返却物の引き渡し、受領物の受けとりなど、何を返して何を受けとるのかについて、しっかり確認しておきましょう。

社内へのあいさつ

退職日には、自分が所属する部署の上司や同僚へのあいさつはもちろん、お世話になった他部署・支店などにも顔を出し、一言あいさつしておくとよいでしょう。

ただし、時勢によって直接顔を合わせて伝えることができないケースもあるため、その場合はオンラインやメール・チャットツールを使ってあいさつをするなど、状況に合わせて伝えるようにしましょう。

「立つ鳥跡を濁さず」ということわざがありますが、退職理由が何であれ、最後に職場に悪印象をのこしたり、不遜な態度を取ってしまったりしないように心がけましょう。

返却物の引き渡し

最終日には、会社から借りている備品などを返却します。主な返却物は、以下のとおりです。

□健康保険被保険者証(健康保険証)

健康保険被保険者証(健康保険証)は、会社を通じて社会保険に加入しているため、退職すると無効になります。ただし、退職日までは使用できるため、最終出勤日から正式な退職日までを有休消化として期間が空くような場合は、退職日以降に郵送で返却しましょう。また、扶養している家族がいる場合は、家族の保険証も一緒に返却します。

□社員証・セキュリティカード

社員証、セキュリティカードと併せて、従業員用カードキー、社章バッジなども忘れずに返却しましょう。

□余った名刺

会社の経費でつくった名刺は、持ち帰らず、会社に返却します。

□通勤定期代

退職日以降も通勤定期券の有効期限がのこっている場合は、事前に経理に確認し、必要に応じて清算(返金)してもらいましょう。

□制服

会社から制服を支給されている場合は、返却が必要です。その際には、クリーニングをしてから返却しましょう。

□そのほか

パソコンやスマートフォンなど会社支給の備品のほか、業務上のデータ、書類、経費で購入した文房具類などについても返却が必要です。


 受領物の受けとり

会社から受けとる書類には、以下のようなものがあります。退職日以降に郵送されてくるものもあるため、どのような書類をいつどのような形でもらえるのか、あらかじめ会社に確認しておくとよいでしょう。また、万が一退職後に書類が届かなかった場合に備えて、担当部署や担当者名の連絡先を聞いておきましょう。

□離職票1と2

離職票1と2は、失業保険の給付を申請する際に必要となる書類です。退職日から10日程度で、ハローワークから退職した会社に届き、会社から退職者に郵送されます。離職票は、退職者の希望がなければ発行されないため、必要に応じて請求しましょう。
(参照:ハローワーク『雇用保険の具体的な手続き』) 

□雇用保険被保険証

雇用保険被保険証は、雇用保険に加入していることを証明するものです。会社が社員の保険証を保管していることが多いため、退職時に手渡しもしくは郵送で手元に届きます。雇用保険の再加入手続きをするために必要となります。

□年金手帳

年金手帳は、公的年金に加入していることを証明するものです。会社が年金手帳を保管している場合は、退職時に手渡しもしくは郵送で手元に届きます(※)。転職先に提出する必要があるほか、国民年金への加入に切り替える際にも必要となります。

□源泉徴収票

源泉徴収票は、1年間の給与・賞与、納めた所得税が記載された書類です。転職先が決まっている場合、所得税の年末調整のため、転職先への提出が必要となります。退職後、1ヵ月前後で郵送されます。

※2022年4月年金手帳の交付が廃止され、基礎年金番号の通知書が本人へ郵送で届く形式になりました。(参照:日本年金機構

退職後にやるべき5つの手続き

ここからは、会社を退職したらやるべき5つの手続きについて、解説します。

退職後にやること① 国民年金への切り替え手続き

20歳〜60歳までのすべての国民は、「国民年金」に加入する義務があります。加入期間中の被保険者は、以下の3つに分類されます。

  • 第1号被保険者……自営業者、農業・漁業などの従事者、学生など。保険料を自分で直接納めます。
  • 第2号被保険者……会社員・公務員など。職場の厚生年金・共済組合に加入し、保険料は給料から天引きして支払われます。
  • 第3号被保険者……会社員・公務員などに扶養される配偶者。保険料は、配偶者の厚生年金・共済組合が一括して負担します。

会社に勤めており、かつ会社で厚生年金等に加入していた際には、保険料は「第2号被保険者」として給料から天引きされていました。しかし会社を退職すると、自分で保険料を納めるか、配偶者の扶養家族になるか、どちらかの手続きをする必要が出てくるのです。

●国民年金に加入する場合(第1号被保険者に切り替える)

「第1号被保険者」に切り替え、自分で保険料を支払っていく場合は、以下のような手続きが必要です。

国民年金に加入する場合(第1号被保険者に切り替える)
手続きの期限退職日の翌日から14日以内
申請場所住民登録している役所の国民年金担当窓口
必要なもの

・年金手帳
・退職日が確認できる離職票や退職証明書など
・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑

●配偶者の被扶養配偶者になる場合(第3号被保険者に切り替える)

会社員や公務員として働いている配偶者の扶養家族になる場合は、「第3号被保険者」に切り替える手続きが必要です。なお、退職後にアルバイトやパートなどで「年収130万円以内」になるように働いている場合も、扶養に入ることができます。手続き方法は、以下のとおりです。

配偶者の被扶養配偶者になる場合(第3号被保険者に切り替える)
手続きの期限退職後できるだけ早く
申請場所扶養者の勤務先
必要なもの

・健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
・世帯全員の住民票(被保険者と別姓の場合)
・源泉徴収票
・離職票や退職証明書のコピー
・失業保険や年金受給などを受領している場合は、金額がわかるもののコピー

退職後にやること② 失業手当(雇用保険)の受給手続き

会社を退職してから次の仕事が決まるまでの期間が空く場合、失業手当(雇用保険)を受けとることができます。ただし、失業手当を受けとれるのは、在職中に雇用保険に加入していた人が対象です。

雇用保険に加入していた人が、退職後に失業保険を受けとるためには、離職票が必要になります。離職票は、退職日から10日程度で会社から郵送されます。この離職票を居住地の管轄するハローワークに提出すれば、失業手当の受給手順等を教えてもらえます。なお、失業手当の受給期間は、「退職翌日から1年間」と限られているため、できるだけ早く手続きを行うことが大切です。

失業手当の受給条件などについてくわしく知りたい人は、「雇用保険とは?アルバイトやパートで失業保険を受給できる条件も解説」をご確認ください。

●失業手当(失業給付金)を受給するまでの流れ

失業手当を受けとるまでのおおよその流れは、以下のとおりです。

  1. 退職日から10日程度で「離職票」が郵送されてくる
  2. 居住地の管轄するハローワークで求職の申し込みを行う(離職票と求職票を提出する)
  3. 7日間の待機期間
  4. 雇用保険受給説明会と、1回目の失業認定日に出席する
  5. 以降、4週に1回の失業認定日にハローワークへ来所する
  6. 待機期間7日+給付制限期間2ヵ月を経て、失業手当が振り込まれる

会社都合で退職した場合は、7日間の待機期間後すぐに失業手当が支給されます。ただし、一身上の都合などの自己都合退職の場合は、7日間の待機期間と、さらに2ヵ月の給付制限期間を経てから支給されることになります。

退職後にやること③ 健康保険への加入

日本では、「すべての国民が、国が定める医療保険に加入しなければならない」という義務があります。

会社員や公務員は、所属する会社・組織で社会保険や共済組合などに加入しているため、給与から保険料を天引きする形で保険料を支払っています。しかし、会社を退職すると、必然的に社会保険や共済組合からも脱退することになるので、代わりとなる保険に加入する必要が出てきます。その際の選択肢としては、以下の3つの方法があります。

なお、退職後に健康保険に加入していない時期が生じると、そのあいだに万が一病気や怪我をしてしまった場合に、保険が適用されなくなります。そうなると、医療費控除を受けられなくなってしまうため、未加入期間が生じないように注意しましょう。

●国民健康保険に加入する場合

1つめの選択肢は、国民健康保険に加入する方法です。国民健康保険は、各市区町村が運営する健康保険制度です。こちらに加入する場合は、住民登録している役所で加入手続きを行います。

国民健康保険に加入する場合
手続きの期限退職日の翌日から14日以内
申請場所住民登録している役所の国民健康保険担当窓口
必要なもの

・健康保険の資格喪失日がわかる証明書(離職票や退職証明書など)
・各市町村で定められた届出書
・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑

●これまで加入していた健康保険の任意継続制度を利用する場合

2つめは、任意継続制度を利用する方法です。任意継続制度とは、会社を退職後から最長で2年間、今までの健康保険に加入し続けることができるという制度です。この期間は、扶養する家族も一緒に継続加入することができます。

任意継続制度を利用する場合
手続きの期限退職日の翌日から20日以内
申請場所加入していた健康保険組合や退職した会社
必要なもの

・健康保険任意継続被保険者資格取得申請書
・住民票
・1ヵ月(または2ヵ月)分の保険料
・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑

●被保険者である家族の扶養に入る場合

3つめは、保険に加入している家族の扶養に入る方法です。親・配偶者といった家族が職場で健康保険に加入している場合、その家族の被扶養者となって一緒にその保険に加入することができます。扶養に入るための条件は、無職の人のほか、アルバイトやパートで年収130万以下の人も入ることができます。なお、家族が加入している健康保険によっては、扶養家族の加入条件が細かく設けられていることもあります。加入条件をクリアしているかどうかについては、家族の勤める会社に確認してみましょう。

被保険者である家族の扶養に入る場合
手続きの期限退職日の翌日から20日以内
申請場所家族の勤務先
必要なもの

・離職票や退職証明書のコピー
・家族全員の住民票(被保険者と別姓の場合)
・源泉徴収票
・失業保険や年金を受給している場合は、受領金額がわかるコピー (扶養者が勤める会社が求める書類があれば、一緒に準備する)

退職後にやること④ 住民税の支払い

住民税は、前年の1月から12月までの1年間の所得に対して課せられる税金を、翌年の6月から翌々年の5月にあと払いで納税する仕組みです。

在職中の住民税は、基本的には給与から差し引かれる形(天引き)で支払っています。しかし、退職後は自分で納税することになります。ただし、以下のように、退職した月によって支払い方法が異なるため、注意しましょう。

●1月~5月に退職した場合

基本的には、退職した月から5月までの住民税が、退職月の給与から一括で天引きされます。そのため、自分で何か手続きをするものはありません。

●6月~12月に退職した場合

退職月の住民税は、天引きで支払われますが、退職月の翌月からは自分で納税することになります。自治体から納税通知書が送られてくるので、金融機関やコンビニエンスストアで支払いましょう。ただし、翌年の5月分までの住民税を、退職月の天引きの際に一括で天引きしてもらうこともできます。その場合は、会社の担当者に相談するようにしましょう。

退職後にやること⑤ 所得税の支払い

会社勤めをしている人の場合、所得税は毎月の給与から天引きする形で会社が支払っています。その際に天引きされている税額は、前年の所得をもとに算出された概算額です。そのため、その年の給与支払額が決まったあとに、所得税額を正しく計算し直す必要があり、その作業を年末調整といいます。

年末調整では、納める税額の過不足を清算します。税金を払い過ぎていた場合は、払い戻し(還付)が受けられ、逆に天引きされていた税金が足りていなかった場合は、追加で納付する必要があります。

退職後は、次の職場に就職するタイミングによって年末調整の方法が異なるため、しっかりと確認しておきましょう。

●退職した年に再就職した場合

退職した年に再就職した場合、再就職先で年末調整が行われます。再就職先には、記入した年末調整書類のほか、退職した会社から受けとった源泉徴収票と、生命保険・医療費などの控除証明書を提出するようにしましょう。

年末調整書類の書き方についてくわしく知りたい人は、国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和3年分)」を確認してください。年末調整の書類は毎年更新されるので、最新のものを確認するようにしましょう。

●退職した年に再就職しなかった場合

退職した年に再就職しなかった場合、確定申告を行う必要があります。確定申告は、退職した翌年の2月16日から3月15日までの確定申告期間中に、住居地を管轄する税務署で行います。

また、「退職した年の12月に再就職が決まったけれど、会社の年末調整に間に合わなかった」という場合でも、自分で確定申告する必要があるため、覚えておきましょう。

確定申告についての詳細は、「【税理士監修】単発バイトでも確定申告は必要なの?契約形態と年収を確認しよう」を確認してください。


【税理士監修】単発バイトでも確定申告は必要なの?契約形態と年収を確認しよう | タイミーラボ - スキマで働く、世界が広がる。

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退職後すぐ次の仕事に就く場合

「退職した翌日には、もう次の職場で働くことが決まっている」という場合は、以下の書類を転職先に提出する必要があります。とはいえ、転職先から必要書類に関する案内があるので、その指示に従いましょう。

□雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証は、転職先で雇用保険の再加入手続きをするために必要です。

□年金手帳

年金手帳は、転職先に提出すれば、手続きを代行してくれます。

□マイナンバーカード

マイナンバーカードは、転職先での各種手続きに必要です。 

□源泉徴収票

源泉徴収票は、転職先で年末調整をする際に必要です。

□健康保険被扶養者異動届

健康保険被扶養者異動届は、転職先の健康保険に扶養する家族も一緒に加入する場合に必要です。

提出が必要な書類のなかには、源泉徴収票など退職後に前の会社から郵送されるものもあります。「書類が届かない」「内容について確認したい」など、退職した会社に問い合わせする可能性があるため、退職時には関係部署や担当者名を確認しておきましょう。

なお、転職が決まり、新しい職場への初出勤日を迎える心構えとして、「バイト初日のマナーや気持ちのよい挨拶とは?入り方や声のかけ方のポイントも」の記事を参考にしてみてください。


退職日から再就職時までにやることチェックリスト

退職日から再就職時までにやることチェックリスト

ここまで紹介してきた「退職日当日から再就職時までにやること」のチェックリストです。こちらを参考に、漏れがないよう、手続きを進めていきましょう。

☑︎退職日にやること

チェック項目チェック
職場への返却物はすべて返却しているか?

■健康保険被保険者証(健康保険証)

■社員証・セキュリティカード(従業員用のカードキー・社章バッジなど含む)

■余った名刺

■通勤定期代

■制服

■そのほか…PCなどの備品・業務上の書類・経費で購入した文房具類
職場からの受領物はすべて受けとっているか?

■離職票1と2

■雇用保険被保険証

■年金手帳

■源泉徴収票

☑︎退職後にやること

チェック項目提出・申請期日チェック
国民年金への切り替えは済んだか?(1か2を選択)


(1)国民年金に加入したか?(第1号被保険者に切り替え)退職日の翌日から14日以内

(2)配偶者の被扶養配偶者になったか?(第3号被保険者に切り替え)退職後、できるだけ早く
失業手当(雇用保険)の受給手続きは済んだか?離職票が郵送されてきたらすぐ
健康保険への加入は済んだか?(1〜3いずれか選択)


(1)国民健康保険に加入したか?退職日の翌日から14日以内

(2)任意継続制度の利用申し込みをしたか?退職日の翌日から20日以内

(3)被保険者である家族の扶養に入ったか?退職後、できるだけ早く
住民税の支払いは済んだか?

所得税の支払いは済んだか?再就職していない場合、確定申告後に発生

☑︎再就職時にやること

チェック項目チェック
新しい勤務先に提出する書類は準備できているか?

■雇用保険被保険者証

■年金手帳

■マイナンバーカード(コピーなど)

■源泉徴収票

■健康保険被扶養者異動届(扶養家族がいる場合のみ)


【FAQ】退職後の手続きでよくある質問

最後に、退職後の手続きにおいて、よくある質問をまとめて紹介します。

Q.国民年金への切り替え期限である14日を過ぎてしまったら?

A.国民年金への切り替えは、万が一期日を過ぎてしまっても手続きが可能です。未納分は、さかのぼって支払うことができます。手続きをしないままで退職後数ヵ月過ぎてしまうと、年金機構から未納分の納付書がおくられてきます。納付書が届いたら、期日までに保険料を支払いましょう。

Q.失業手当で支給される金額はいくら?

A.失業手当の金額は、およそ退職前の給与の5割〜8割といわれています。計算式は、以下のとおりです。

離職日直前6ヵ月間の給与合計額÷180日=賃金日額(A)

賃金日額(A)×所定の給付率(50%~80%)=基本手当日額(B)

基本手当日額(B)×給付日数(90日~150日)=支給総額

賃金日額(A)と基本手当日額(B)には、上限と下限が設けられており、金額は毎年8月に改定されます。2021年8月1日改定では、たとえば29歳以下の場合、以下のようになります。


上限下限
賃金日額(A)1万3,520円2,577円
基本手当日額(B)6,760円2,061円

なお、所定の給付率は、賃金日額(A)が4,970円未満は80%、4,970円~1万2,240円以下は50%~80%、1万2,240円以上は50%となります。

Q.健康保険への加入・切り替えはどの制度を利用するのがベスト?

退職後に加入する健康保険は、「国民健康保険に加入する」「これまで加入していた健康保険の任意継続制度を利用する」「被保険者である家族の扶養に入る」の3つから選択できます。

以下、それぞれのメリット・デメリットについてまとめましたので、選択する際の参考にしてください。


メリットデメリット
国民健康保険
  • 自治体により減税や支払い猶予などの制度がある
  • 居住地の役所に行くだけでかんたんに手続きできる
  • 保険料の支払いは全額自己負担
  • 病気や出産の際などの休業補償はない
  • 被扶養者制度がなく、家族は個々に国民健康保険に加入する
任意継続保険
  • 保険組合によって、休業補償や人間ドックの受診補助などを、これまで同様に受けられる
  • 保険料に限度額が設けられており、在職中の月収が高かった人は保険料を安くおさえられる
  • 「被扶養者制度」を利用すれば、扶養する家族の保険給付も
  • これまで会社と折半していた保険料支払いが解消され、退職後は全額自己負担に
  • 2年間の有効期限が定められているため、期限を過ぎると自動的に脱退となる

被保険者である家族の扶養に入る
  • 扶養する家族は、被扶養者として保険給付を受けられる
  • 加入する健康保険によって、休業補償や人間ドックの受診補助などを受けられる
  • パートやアルバイトで年収が130万円をこえる人は、扶養に入れない

まとめ

退職に伴う手続きは、面倒ではあるものの、あと回しにしたり放置していたりすると、あとあと困ることになりかねません。早め早めに手続きを進めていくことが大切です。本記事で紹介したチェックリストの項目を参考にしながら、抜け漏れのないように手続きを進めていきましょう。

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/media/社会保険労務士法人スマイング 特定社会保険労務士 成澤 紀美
監修者
社会保険労務士法人スマイング 特定社会保険労務士 成澤 紀美

社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保健労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT企業関連。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生®️(商標登録済み)」を展開。

https://www.it-jinji.net/

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