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タイミーは、2025年7月に「スキマエール」プロジェクトを実施しました。ワーカーのみなさんが1回稼働するごとに、タイミーが支援金を拠出し、提携団体を通じて社会的に困難な状況にある方々への支援に繋げる取り組みです。
第1回目となる今回は、「ひとり親支援編」として、シングルマザーを中心とした女性たちの経済的・精神的自立を支援する「一般社団法人グラミン日本」と連携。集まった支援金は、ひとり親の自立支援に活用されました。
支援の輪を広げた「スキマエール~ひとり親支援編~」プロジェクト
“タイミーでの稼働を通じて社会課題にエールを届けたい”——その想いに共感いただいた1,374名のワーカーが本プロジェクトに参加し、総額75,470円の支援金に繋がりました。
支援に参加したワーカーの過半数以上の方からは「『スキマエール』プロジェクトが、期間中に働くきっかけになった」という意見が寄せられ、働くモチベーションの向上や社会課題への意識の高まりに繋がったことがうかがえます。
「自分の働きがわずかでも社会貢献に繋がっていると感じられて嬉しかったです」「タイミーを通じて社会問題を考えるきっかけがあることは、ワーカーとしての誇りを持てました」という前向きな感想もいただきました。
この支援金は、グラミン日本を通じて、ひとり親の自立支援に活用されています 。今回は、支援の受け手であり、シングルマザーとして仕事と子育てに奮闘されている上村あかねさんと、グラミン日本 理事・COOの中川理恵さんのお二人にインタビューを実施。今回の支援の輪が、どんな未来に繋がったか、そこから広がる可能性を探ります。

- 一般社会法人グラミン日本
2018年に設立。バングラデシュのグラミン銀行をモデルに、「マイクロファイナンス」や「就労支援」を提供。生活困窮リスクのあるシングルマザーを中心とした女性の自立支援を行い、「貧困のない、誰もが活き活きと暮らせる社会」の実現を目指す。
- 上村あかねさん プロフィール
大阪府出身。高校一年生の息子を持つシングルマザー。グラミン日本のリスキリングプログラムでITスキルを習得後、BPO事業から委託を受け、セミナー事務局運営に従事。
グラミン日本・中川理恵さんへインタビュー「小さな積み重ねが大きな可能性に」
一般社団法人グラミン日本 理事・COO 中川理恵さん―― まずはグラミン日本の事業について詳しく教えていただけますか?
私たちは主に2つの事業を柱として、シングルマザーを中心とした女性の自立支援を行っています。
1つめは、生活困窮者リスクを抱える方々に対して、無担保・低金利で少額の融資を提供する「マイクロファイナンス事業」です。起業や就労の準備資金として活用いただき、借り手が自ら事業を立ち上げ、売上を上げて、お金を返済する。自立するための基盤を築くことを目的としています。
2つめの「デジタル就労支援事業」では、自治体事業や助成金を活用し、シングルマザーなどを対象にデジタルスキル研修を行い、在宅ワークや就労・起業を支援しています。昨年(2024年)はある基金を活用し、複数の企業・自治体との共同プロジェクトで65名がリスキリングを完了し、50%以上の方の所得が向上しました。
またリスキリング修了後、希望者には実務経験を積む場として、さまざまな企業からの業務委託によるBPO事業を運営しています。

―― 今回の支援金を活用いただいた上村さんもシングルマザーであり、グラミン日本のデジタル就労支援を通じて働き方の可能性を広げた方と伺っています。デジタル就労支援では、実際にどのようにスキルを身につけるのでしょうか?
企業側も女性側もリスキリング修了直後の直接雇用に不安を感じるケースがあり、それを解消するために、グラミン日本が在宅・リモートで働くための環境づくりやコミュニケーションを双方で構築できるよう、経験豊富なリーダーの下で彼女たちがさまざまな業務(オンラインセミナー運営やツール改善、データ入力、カスタマーサポートなど)を通じて、実務経験を積む機会を提供しています。経験の少ないシングルマザーの方は社会からミスに対して厳しい目で見られることが多く、未経験の仕事に対して躊躇する傾向がありますが、ここでは万一失敗しても必ずフォローするから大丈夫、挑戦してほしい、と伝え、心理的安全性を保つ環境にしています。
小さな成功の積み重ねで実務の向上と自信が生まれ、就労だけではなく、自ら起業したり、支援を受ける側から支援する側への転換という好循環を促進しています。
デジタル就労支援では、企業側にも雇用のあり方・考え方を変え、働き方に創意工夫をいただくよう啓蒙活動を行っています。私たちは一般的な採用条件で働くことが難しい方々に対して、最適な環境を整えて雇用し自立を促す「インパクト雇用」というモデルを促進しています。障がいや難病、育児、介護などで移動が困難な方々に対し、それぞれに合った在宅ワークの機会を提唱しています。特にシングルマザーがワンオペ育児(一人で全てを担う育児)でも働ける柔軟な環境を整え、将来のキャリア形成を支援していただきたく、企業の方々への啓蒙や対話を行っています。
―― 今回の支援金は上村さんのどのような活動に活用いただいたのでしょう?
支援金は、7月に東京で開催された「移動困難者のインパクト雇用」をテーマにしたセミナー(オリィ研究所共催、東京日本橋)において、パネラーとして登壇した上村さんの活動費として活用させていただきました。
シングルマザーをはじめ、障害、難病当事者など、様々な事情で移動困難な人材が、彼らが持つ可能性を最大限に生かして雇用をどう創出していくのか、参加いただいたのはそんな課題意識を持つ企業や自治体の方たちです。
上村さん(左)が登壇したセミナーの模様上村さんは、出会った当時はパソコン未経験からスタートされましたが、ガッツと考える力が強く、吸収力も抜群な方。諦めない姿勢が印象的で、周囲を温かく巻き込む素晴らしいコミュニケーション力もお持ちです。現在はBPO事業でリーダー格として後輩を育て、起業を目指しています。
セミナーでは、上村さんご自身の経験をお話しいただき、参加した企業や自治体の方とのディスカッションを通して生の声を届けていただきました。イベント後には、参加者から具体的なインパクト雇用の創出の手法に関するご相談も多く、新たな雇用創出のきっかけに繋がったと感じています。

―― 今回ご一緒させていただいた「スキマエール~ひとり親支援編~」プロジェクトの意義についてどのように感じられていますか?
1ヶ月で1,374名もの方にご参加いただいたのは、素晴らしいスケール感です。小さな積み重ねでこれだけの支援が集まるのは、タイミーならではの力だと感じます。
ワーカーさんがスキマ時間で参加し、社会貢献に繋がる仕組みは、一人ひとりの負担も少なく、持続可能な点が魅力的ですし、何より社会課題への意識が、ワーカーのみなさんの働くモチベーションとなっているのが素晴らしいですね。
また、タイミーを通じた働き方と、インパクト雇用のあり方は、潜在能力を持つ“未活用人材”を活かす点で共通しており、連携次第でまだまだ大きな可能性が広がると感じました。ぜひ「スキマエール」を全国規模で展開していただき、支援の幅を広げていただきたいです。
支援を受けたシングルマザー・上村さん「生きるために働く」から「前向きで明るく生きるために働く」に変わった仕事との向き合い方

―― まずは、上村さんのこれまでのご経歴をお聞かせいただけますか?
大阪出身で、20代の頃は物づくりに携わる仕事をしていました。30歳で結婚してからは専業主婦だったのですが、息子が5歳の頃に離婚し、家族が住んでいた沖縄へ移住しました。
まずは生活のために働かないとということで、コールセンター、飲食店など様々な仕事を掛け持ちして働いていましたが、時給は低いですし、沖縄は車社会のため通勤時間も含めるとかなりの長時間拘束。残業のある仕事や体力のいる仕事もあって、毎日12時間ほど仕事に時間を割いていました。当時は、生きるために必死という感じで。心に余裕がない状態だったので、子育てと仕事の両立には大変な苦労がありました。
―― そのような状況から、どのようにして自分らしい働き方を見つけていったのでしょう?
このままではいけない、働き方を根本的に考え直そうと、糸満市が開催していたIT人材育成のための無料デジタルスキル講座に参加したんです。そこでグラミン日本の「伴走支援(継続的なサポート)」というものを知り、サポートいただきながらITスキルを学んでいきました。
―― どのような支援だったのでしょうか?
全くの未経験だったので、パソコンの触り方からスタートするような形でした。研修や課題を通して4ヶ月で在宅ワークに必要なスキルを学び終えることができました。
スキル習得支援はもちろんですが、一番大きかったのは、メンタル面でもサポートをいただけたこと。子育てをして、仕事をして、その合間を縫って学習するという生活は、本当に継続が難しいんです。一人でパソコンに向き合って黙々と勉強していると、これで正しいのか、間違っているのかもわからず孤独を感じがち。そんな状況でしたが、グラミン日本の伴走メンバーがサポートしてくださいました。
研修終了後、グラミン日本のBPO事業のお仕事をいただき、経験を積んでいます。チームで仕事をさせていただける環境を整えていただいており、一人で抱え込まずに落ち込んだ時はミーティングをして相談させてもらったり、「私はこれが苦手なんです」ということを正直に伝え、助けてもらいます。一人だったら乗り越えられなかったと思うので、仲間がいるということが大きな支えになっています。
理事の中川さんに「失敗していいよ」と言っていただけることで、安心して挑戦できるのがありがたいです。チームリーダーが相談に乗ってくれる環境の中で失敗を学びに変えながら成長でき、社会貢献したいという気持ちがより強くなりました。

―― 働き方を変え、在宅ワークを実現したことで、生活や子育ての面でどのような変化がありましたか?
まず、通勤時間がなくなったことで、子どもとコミュニケーションを取る時間が増えたのは大きな変化です。特に息子が中学生の頃、反抗期・受験期という一番大事な時期に在宅でいられたのは、本当に助けになりました。
何より心に余裕が生まれたことで、以前のように「生きるために必死に働く」状態から解放され、明るく前向きに働けるようになりました。今はセミナーなどでシングルマザーとしての実体験をお話させてもらう機会もあり、社会貢献に意欲的な素晴らしい方々と関わることができ、本当に世界が変わったと感じています。
「社会は思っている以上に優しい」シングルマザーにエール
―― 今回は「スキマエール」での支援をセミナーでの活動費としてご活用いただきました。上村さんにとってどんな時間になりましたか?
セミナーでは私自身のシングルマザーとしての体験談もお話しさせていただき、企業や自治体の方々と直接意見交換をする有意義な時間となりました。参加いただいた方たちからは、仕事と私生活の時間の切り分け方や落ち込んだ時の乗り越え方、どのような支援が望ましいかなど様々なご質問もいただき、シングルマザーの自立について向き合っている方たちが多くいらっしゃることを実感できました。
私は今、「支援を受ける側」から「支援をする側」に立ち、同じような境遇の方の支援を行っています。様々な理由で「在宅で働きたい」という方がたくさんいると日々感じています。そういった方に対して社会も優しくなってきているなと感じることができ、嬉しいです。社会が取りこぼしているエネルギーを活かせる可能性を実感し、一緒に働ける環境を整えたいと考えるようになりました。
―― 今後の具体的な目標についてお聞かせください。
私自身、シングルマザーとして「弱音を吐くことができない」と、ずっと孤独を感じていました。ですが、日々の仕事を通して、私たちのために頑張ってくれる人がいることを知り、温かい繋がりを感じられるようになりました。
だからこそ、将来に不安を抱える同じような立場の方たちと、お互いが助け合いながら起業できるコミュニティを作りたいと思っています。具体的には、シニア世代のシェアハウスで、老後を楽しく稼ぎながら暮らすようなシステムを実現したいと構想しています。
―― 素敵な目標ですね。最後に、かつての上村さんと同じような悩みに向き合っている方へ伝えたい思いはありますか?
社会は思っている以上に優しくなっているということです。 今回の「スキマエール」のように、助けてくれる方や企業がたくさんいて、支援の機会も増えています。孤独だと感じてしまうかもしれませんが、たった一つのきっかけを見つけて一歩踏み出せば、道は開けるんじゃないかと思います。ぜひ、周りの助けを信じて、前向きに進んでみていただきたいです。
―― ありがとうございました。
「スキマエール〜ひとり親支援編〜」では、みなさんの「はたらく」から生まれた支援の輪が、ひとり親の方々の活動を支える確かな力となりました。本プロジェクトでは、これからも社会貢献の機会を提供してまいります。たくさんのご参加と温かいご支援をありがとうございました。