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退職の際に有給休暇がまだ残っていることについて、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。とくに、アルバイト・パートの場合は、有給休暇の取得が難しいと感じることもあるでしょう。そこで本記事では、アルバイトやパートの有給消化について解説するとともに、有給休暇が残っている場合の退職方法、有給消化できないときの対処法について紹介します。
有給休暇が残ったまま退職すると、残りの休暇は消滅する
有給休暇が残ったままの状態で退職した場合、その休暇は消滅してしまいます。これは、雇用関係の終了とともに労働者の有給休暇を取得する権利が失われるためです。
また、有給休暇は、付与されてから2年間有効であり、この期間を過ぎると消滅してしまいます(労働基準法第115条)。有給休暇を消化できなかった場合、企業が金銭で補償する義務などもないため(労働基準法第39条)、在職中に計画的に消化することが推奨されています。
そもそも有給休暇とは
有給休暇とは、労働者が健康を維持し、リフレッシュするために与えられる権利です。労働基準法第39条によると、雇用開始から6か月間、連続して勤務し、その期間中の出勤率が8割以上の労働者には、最低10日間の有給休暇を付与されることが定められています。
休暇日数は、勤続年数が増えるごとに段階的に増加し、最大日数は20日間となっています。
2019年4月からは、労働者が年に最低5日の有給休暇を取得することを雇用主に義務づける規定も施行されています。
アルバイト・パートでも有給休暇はある?
短時間勤務のアルバイト・パートであっても、条件を満たせば、正社員と同様に年次有給休暇を取得できます。付与される有給休暇の日数は、勤務日数、勤務時間、勤務形態によって異なります。勤務日数が少ない場合は、それに比例して少なくなりますが、労働基準法によって保証された権利です。
残っている有給休暇の日数を確認する方法
残っている有給休暇の日数を確認するには、自社の人事部門や労務担当者に問い合わせるのがもっとも確実な方法です。問い合わせる際には、自分の有給休暇の正確な残日数だけでなく、有給休暇の取得ルールや期限についても確認しておきましょう。
また、有給休暇の残日数は、従業員の勤怠管理システムや給与明細、タイムカードなどに記載されている場合もあります。
残った有給休暇を消化して退職したい場合は1か月前には伝えること
有給休暇を残したままにせず、消化して退職するにはどのようにすれば良いでしょうか。
退職の意思を最低でも1か月前に上司や責任者に伝え、有給消化の希望も合わせて相談しましょう。退職までの十分な期間を設けることができれば、後任の人員配置や業務の引き継ぎをスムーズに行えるため、勤務先企業の負担を軽減できます。また、業務の進行状況に配慮しながら余裕を持って有給休暇を消化できるでしょう。
残った有給休暇を消化して退職する方法
ここでは、残った有給休暇を消化して退職する方法について紹介します。上司や責任者と相談しながら、最適な退職方法を決定しましょう。
最終出社日の前に有給休暇を消化する
最終出社日の前に有給休暇を消化する場合は、退職日までのあいだに未使用の休暇をまとめて取得する、あるいは少しずつ取得してつかい切る方法があります。消化計画を立てる際は、業務の引き継ぎや同僚への影響が最小限になるよう配慮したうえで、最終出社日となる退職日を設定してください。
最終出社日のあとに有給休暇を消化する
最終出社日のあとに有給休暇を消化する場合は、最後に勤務した日の翌日から未消化の休暇を取得し、その期間を経て退職の手続きを行います。たとえば、最終出社日を3月10日とし、そのあと10日間の有給休暇を消化する場合の退職日は、3月20日となります。この方法で有給休暇を消化する際には、職場での引き継ぎを完了させておくことが大切です。
アルバイト・パートが有給休暇の消化を拒否されたときの対処法
アルバイト・パート先の業務の繁忙期や人手不足などが原因で急な申し出に対応できない場合は、有給休暇の消化を拒否されるケースもしばしばあります。しかし、自己都合であっても、有給休暇を消化する権利はあるため、適切に対処し、休暇が残ったまま退職することを避けましょう。
退職日の変更を相談する
アルバイト・パートが有給休暇の消化を拒否された場合、まずは直属の上司に退職日の変更を相談してみましょう。退職日を後ろ倒しにして調整することで、企業側も人員計画を立てやすくなり、有給休暇の消化に応じやすくなる可能性があります。相談の際には、自分の有給休暇の残日数、希望する退職日を明確に伝え、可能であれば消化したい具体的な日程も提案しましょう。
労務担当者に相談する
直属の上司に有給休暇の消化を拒否された場合は、会社の労務担当者に相談するとよいでしょう。相談の際には、まず自分が取得したい有給休暇の日数と理由を明確に説明し、そのうえで労務担当者と日程を調整しましょう。また、労務担当者に有給休暇の買い取りについて相談するのも一つの方法です。労働基準法では、有給休暇の買い取りは原則として禁止されていますが、一部の企業では特例として許可していることがあります。
労働基準監督署に相談する
有給休暇の消化を会社に相談しても拒否される場合は、労働基準監督署に相談することを検討しましょう。労働基準監督署は、労働関連の法律遵守を監督し、労働者の権利保護を目的としている政府機関です。相談する際は、有給休暇の申請書や勤務記録などの証拠資料を準備し、自分が属する地域の監督署に連絡します。連絡方法は、電話・メールのほか、直接訪問することも可能です。
ただし、労働基準監督署は、法律にもとづいたうえで会社に対して指導を行う役割を担っているため、トラブルの仲介や直接的な解決をしてくれるわけではありません。大きなトラブルがある場合は、法的な支援を行う弁護士への相談を検討するとよいでしょう。
まとめ
アルバイト・パートの場合であっても、有給休暇を取得することができます。退職時に未消化の有給休暇がある場合は、適切に処理したうえで、労働者としての権利を守りましょう。また、日頃から自分の有給休暇の残日数を把握し、計画的に消化していくことも大切です
- タイミーラボ編集部
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