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【税理士監修】扶養内で働けるのはいくら?103万円・130万円の壁や気をつけたい点を解説(2024年最新版)

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【税理士監修】扶養内で働けるのはいくら?103万円・130万円の壁や気をつけたい点を解説(2024年最新版)

目次

扶養とは、自分の収入だけでは生計が成り立たない方を、家族や親族が自身の収入により生活をサポートすることを指します。家族を扶養している方や家族に扶養されている方は、税制上などで一定の優遇を受けることができます。

扶養者(扶養をしている人)

自身の収入により家族の生活をサポートしている方

被扶養者(扶養されている人)

家族の収入のサポートを得て生活を営んでいる方

また、扶養から外れるかどうかは主に被扶養者の年収によって決まります。このような制度がある背景から、アルバイトやパートなどの勤務形態で、家族の扶養から外れないことを目的として自身の年収を調整する働き方をする方がいます。その基準となる年収のことを一般的に「年収の壁」と呼んでいます。

本記事では、税理士・社労士監修のもと、税制上における「扶養内」の意味やさまざまな年収の壁について説明します。また、扶養内で働くために気をつけたいポイントもわかりやすく解説します。

■講師プロフィール
株式会社タイミー
スポットワーク研究所 / 公共政策G 税理士  渡邊 亮

大手税理士法人に入所後、大手日系企業や外資系企業を中心に税務申告業務及び税務相談業務に3年間従事。2019年7月よりM&A部門にて、上場企業やファンド等を対象にM&A税務関連業務やクロスボーダー取引等に関する税務アドバイザリー業務を担当。 2023年8月に株式会社タイミーに入社。サービス面における税務の取り扱い検討や企業の税務オペレーション業務の平準化提案などを担当。併せて、新しい働き方における税制面の課題解決に向けた調査研究を行っている。

「扶養内で働く」とは

「扶養内で働く」とは

「扶養内で働く」とは、税制上や社会保険上において扶養されている立場であることで、一定の優遇を受けている状態を指します。例えば、税制上の扶養内で働くことにより、税制上の扶養控除を受けられる範囲内を維持するという意味です。扶養控除の適用を受けると、扶養者の納めるべき所得税が減少します。

この記事で述べる扶養には、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」という意味がありますので混同しないように注意しましょう。

「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の特徴は、以下の通りです。

税制上の扶養
(主語は扶養者)
  • 納税者には、所得税および住民税の控除を受けられる制度がある
  • 控除を受けることにより、納税者の本来の納付税額を抑えられる
社会保険上の扶養
(主語は被扶養者)
  • 扶養者の勤務先の健康保険や被扶養者用の特別な国民年金制度に加入できる
  • 自身は健康保険料及び国民年金保険料(いわゆる社会保険料)の納付が不要になる

税制上の扶養とは

税制上の扶養は、主に扶養者の所得税や住民税などを減額する優遇措置に関するものを差します。一般的に言われる「103万円の壁」とは、税制上の扶養のことです。

税制上の扶養の対象となる要件は以下の通りです。

  • 納税者と生計が同一の親族であること(一緒に生活している、仕送りをもらっているなど)
  • 年間所得金額の合計が48万円以下であること(給与所得者の場合は、年収103万円以下)
  • 納税者が本業の勤務先に年末調整の際に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出すること

被扶養者が税制上の扶養の範囲内(年収103万円)で働くことで、以下のような税制上の恩恵を受けることができます。

  1. 被扶養者本人に所得税の納税額が生じない(確定申告の手続きが不要となる)
  2. 扶養者である納税者において扶養控除の適用を受けることができる
  3. 扶養者である納税者において配偶者控除の適用を受けることができる

詳細については後述いたします。

社会保険上の扶養

社会保険上の扶養とは、主に健康保険や厚生年金に関するものを指します。

こちらは「106万円の壁」「130万円の壁」と呼ばれており、税制上の扶養と同じく、基準の年収を超えると扶養から外れることで自身に社会保険料等の支払義務が生じます。

控除の壁とは

控除の壁とは

一般的に103万円の壁や130万円の壁と呼ばれているものを総称して「年収の壁」といいます。

扶養から外れるかどうかを規定した年収のラインのことで、より経済的に働くためにはこの壁について理解しておかなければなりません。2024年6月現在の具体的な年収の壁の内容を以下にまとめました。

年収 税制上の控除 社会保険上の控除
103万円の壁
  • 自身に所得税が発生する(学生以外)
  • 税制上の扶養から外れる
なし
106万円の壁
なし
  • 自身の勤務先で社会保険への加入義務が発生する※なお、従業員数・勤務日数なども判定基準となる

130万円の壁
  • 自身に所得税が発生する(学生)
  • 自身で国民年金や国民健康保険への加入義務が発生する
150万円の壁
  • 配偶者特別控除が満額で受けられる上限
なし

103万円の壁

ご自身の給与所得としての収入が年収103万円未満であることで、以下のような税制上の恩恵を受けることが可能です。

自身に納めるべき所得税が発生しない(学生以外)

給与所得として年収103万円以上の収入がある場合、所得税の支払いが発生します。103万円の内訳は基礎控除(38万円)と給与所得控除の最低額(55万円)の総額です。

つまり、アルバイトやパートで収入が103万円以内の場合は、所得税の支払いが発生しません。

なお、学生の場合には、勤労学生控除という制度があるため、年収130万円までは所得税が発生しません。

税制上の扶養となる

ご自身の給与所得としての収入が年収103万円未満であり、かつ親や配偶者の扶養に入っていることで、扶養者の所得税や住民税の納税額において以下のような恩恵を受けることが可能です。

 1.扶養控除(被扶養者が配偶者以外)

親族の区分 所得から控除
できる金額

一般の控除対象扶養親族: その年の12月31日の年齢が16歳以上

38万円

特定扶養親族: その年の12月31日の年齢が19歳以上23歳未満

63万円

老人扶養親族(同居老親等以外): その年の12月31日の年齢が70歳以上

48万円

老人扶養親族(同居老親等): その年の12月31日の年齢が70歳以上

58万円

 2.配偶者控除(被扶養者が配偶者)

控除を受ける納税者本人の年収 所得から控除できる金額

一般の控除対象配偶者

老人控除対象配偶者
(年末において70歳以上)

1,095万円以下

38万円

48万円

1,095万円超1,145万円以下

26万円

32万円

1,145万円超1,195万円以下

13万円

16万円

106万円の壁

自身の勤務先で社会保険の加入義務が発生する

いわゆる106万円の壁とは、社会保険上の扶養に関する壁のことを指します。年収が約106万円(8.8万円/月)以内であれば、扶養者の社会保険に加入することができますが、これを超えると自身の勤務先の社会保険に加入する義務が生じる可能性が発生します。

ただし、あくまで可能性であって、以下の5つの条件を満たした場合のみ加入義務が発生します。

  • 1ヵ月の賃金が8.8万円以上であること
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 雇用期間が2ヶ月を超える見込みであること
  • 本業勤務先の従業員数が101人以上であること(※1)
  • 学生ではないこと

上記の条件にすべて該当するか、正社員の3/4以上の勤務日数・時間がある場合は社会保険に加入しなければなりません。

(※1)2024年10月からは、本業勤務先の従業員数が51人以上であること、に要件が改正されます。

130万円の壁

自身に納めるべき所得税が発生しない(学生)

自身が学生であり、かつ給与所得として年収130万円以上の収入がある場合、所得税の支払いが発生します。103万円の内訳は基礎控除(38万円)、給与所得控除の最低額(55万円)及び勤労学生控除(27万円)の総額です。

つまり、学生で収入が130万円以内の場合は、所得税の支払いが発生しません(なお、年収103万円を超えると税制上において親の扶養からは外れます)。

自身で国民年金や国民健康保険の加入義務が発生する

106万円の壁を越えてもなお扶養者の社会保険等に加入していた場合においても、年収130万円を超えると自身で国民年金や国民健康保険に加入する必要があります。

150万円の壁

150万円の壁は、配偶者特別控除が満額で受けられるラインです。この控除額が年収150万円を境に徐々に減額されていく仕組みであり、控除額は最大38万円です。

配偶者特別控除は、103万円の壁で記載した税制上の扶養となる配偶者のうち、年収が103万円超201.6万円以下である方が対象です。配偶者控除と同様に、控除を受ける納税者本人の年収金額が1,195万円を超えれば、配偶者特別控除を受けることはできません。

配偶者(被扶養者)の年収 納税者本人(扶養者)の年収

1,095万円以下

1,095万円超 1,145万円以下

1,145万円超 1,195万円以下

103万円超150万円以下

38万円

26万円

13万円

150万円超155万円以下

36万円

24万円

12万円

155万円超160万円以下

31万円

21万円

11万円

160万円超166.8万円未満

26万円

18万円

9万円

166.8万円以上175.2万円未満

21万円

14万円

7万円

175.2万円以上183.2万円未満

16万円

11万円

6万円

183.2万円以上190.4万円未満

11万円

8万円

4万円

190.4万円以上197.2万円未満

6万円

4万円

2万円

197.2万円以上201.6万円未満

3万円

2万円

1万円


年収の壁の全てにいえることですが、それぞれのボーダーラインに設定されている金額は年収(額面)であり手取りではありませんので注意が必要です。

さまざまな壁について解説しましたが、各家庭で経済状況が異なります。家族で相談し、年収の壁による影響が家計を圧迫しないような働き方を目指しましょう。

扶養内で働くために注意したいポイント

扶養内で働くために注意したいポイント

扶養内で働くために気をつけるポイントは以下の3つです。これらに気をつけて見込みの年収金額を計算し、扶養の範囲内で働くべきか、扶養の範囲内を超えて働くべきかを確認しましょう。

ただし壁を越えることが悪いことばかりではありません。ご自身で社会保険に加入していると、傷病手当金がもらえるようになるなどのメリットもございます。また、将来の年金受給額も被扶養者であるよりも増加するのです。

デメリットばかりではありませんが、どうしても壁を超えたくないという場合は、勤務先と勤務日数や時間を調整するなどの相談をしておきましょう。

複数の場所で働いている場合

複数の場所で働いている場合、すべて合算したものが年収として計算されます。仮に103万円の壁を超えたくない場合、ひと月あたりの収入はおよそ8万5,000円です。

この金額に収まるように働きたい場合には、それぞれの仕事の勤務日数・時間を勤務先と相談して決めましょう。

なお場合によっては確定申告が必要です。年末調整は「主たる勤務先」に設定した1社でしか受けられず、それ以外の勤務先での給与については確定申告しなければなりません。

一般的に主たる勤務先には、もっとも勤務日数・時間が多い場所を選びます。それ以外の勤め先には、事前に職場に年末調整を別の勤務先でしてもらって問題ないかを確認しましょう。


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交通費は税制上の年収に含まれないが、社会保険上の年収には含まれる

通勤のための交通費は基本的に非課税であるため、税制上の年収(壁:103万円、130万円(学生)、150万円)には含まれません。一方で、社会保険上の年収(壁:106万円、130万円)には非課税という考え方がないため、交通費も含まれます。給与明細に「交通費」として書かれている金額は、年収の壁の性質によって含まれるかどうかが変わるため注意が必要です。

特に扶養の範囲内ギリギリまで働きたいと思っている方は、確認しておいたほうがよいかもしれませんね。

2024年10月〜、社会保険の加入対象者が広がる

2020年に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立しました。これにより今後も、段階的に社会保険の対象者が拡大する予定です。

具体的には勤務先の従業員数の変更です。現在101人以上の従業員が勤めている会社が社会保険加入の義務を負っていますが、2024年10月には51人以上に基準要件が引き下げられます。

この変更はアルバイトやパートであっても同様で、106万円の壁が適用される事業者が増えることになります。

順次社会保険の加入対象者が広がるため、現在101人以上・51人以上の従業員がいるところに勤めており、かつ年収が106万円を超える場合は注意が必要です。

ほかの法律改正も行われる可能性があるため、アンテナを張っておくことをおすすめします。

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扶養内で働きたいものの、年収の壁が気になってアルバイトやパートに出られない人もいるでしょう。自身の都合で勤務先にシフト調整を相談するかもしれないと思うと、気が引けるのも当然です。そんな方におすすめなのが、スキマバイトサービス『タイミー』です。

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まとめ

扶養や年収の壁は私たちの生活に密接に関わっている制度と考え方です。これらを正しく理解することで、ご自身や家計にとって最適な収入や勤務日数で働くことが可能となります。そのような自由な働き方をデザインできる一つのサービスとして、是非ともタイミーをご検討ください。

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/media/タイミーラボ編集部
タイミーラボ編集部

タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。

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