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とあるグローバルな調査*によると、日本人は世界で一番「仕事を辛い」と感じています。国民性もありつつ、環境や時間、人間関係のプレッシャーなどさまざまな要因から仕事に対する感じ方が変わってくるようです。
今回、取材させていただいたのは職場でのストレスが原因で、長期療養を余儀なくされたワーカーKさん。休んでいる間は「家の外は戦場」「仕事は苦しいものだ」と思っていたそうです。
1年以上働いていなかったKさんですが、徐々に有償ボランティアをしてみたり、タイミーを活用してみたりするなかで、働くことへの気持ちが前向きに変わりました。そして、偶然にもこの取材日の前日に、望んでいた職場で長期パートとして働けることが決定。今まさに、止まっていた時間が動き出そうとしています。
Kさんの働くことへの気持ちはどのように変わっていったのでしょうか。療養に至った背景やその期間の過ごし方、タイミーでの経験を伺いました。
*ランスタッド社による国際的な労働者意識調査より
人間関係のストレスで体調を崩し、長期療養が必要に
——はじめに現在の状況について教えてください。
今は実家暮らしをしながら、週に2〜3回タイミーを使って働いています。仕事がない日は趣味の料理や買い物、家事などをしています。療養期間は抜けましたが、体力に不安があるので無理しないように過ごしているんです。
——どのような経緯で休職することになったのでしょうか?
もともと栄養士の学校を卒業して、学校や福祉施設で給食をつくる給食委託会社で働いていました。ただ、地元から離れた新しい環境に慣れることができず、すぐに退職してしまったんです。その後、少ししてからドラッグストアのアルバイトを始めました。
仕事は楽しく、薬の資格を取ったりするなど4年くらい働いていたのですが、とある出来事がきっかけで職場に大きな人事異動がありました。上司や一緒に働く人が変わってしまったことによる環境の変化についていけなくなり、体調を崩して辞職せざるを得なくなったんです。
それから1年くらいは仕事をせず、半分引きこもりのような状態で過ごしていました。ちょうど今から3年前くらいの話です。
——職場での人間関係が引き金になったのですか?
そうですね。人事異動によって新しく入ってきた店長さんと相性が合わなかったんです。仕事上のコミュニケーションに圧迫感があったり、冷静に話し合うことがあまり得意ではない人でした。
押し付けられるように仕事量もどんどん多くなり、ストレスが原因でリンパ腺が腫れてしまって。何をしていてもリンパの管に小石が入ってるような痛みがある状態が長く続いたため、これ以上は続けられないと辞職することにしたんです。
もともとコミュニケーションに対するつまずきもあったため、辞職をきっかけに休みをとることにしました。結果的に1年以上の長期療養となりました。
福祉センターで働き「人を大事に扱う職場」に感動
——療養期間に入られた当初はどのような心境だったのでしょうか?
当時は「仕事とはものすごく苦しいもの」だと感じていました。接客やレジ打ちの仕事をする分にはそうでもないですが、店長との間でトラブルを抱えたため、あまり人と関わる仕事はしたくなかったんです。チームワークの必要な仕事やみんなで協力してやる仕事、休憩中に従業員と雑談することすら避けたいと思っていました。
また、社会と関わること自体も億劫になっていました。社会的引きこもりと言うんでしょうか、家族やパートナーといった親密な人以外とは会えない状態が続いたんです。
身体的な面で言えば、ご飯が全然食べられなくて、お茶漬けを食べるのも精一杯。夜も眠ることができず、朝方まで起きてしまうことも多くありました。この頃は、とにかく体調を戻すのに必死でした。
——その後、現在のようにアルバイトができるようになった経緯を教えてください。
療養期間が長くなるにつれて、貯金が減っていくことや、仕事をしていないことを周りに言うのが辛かったことが原因で、何か始めないといけないと思うようになりました。求人サービスに登録してみたり、コミュニケーションにつまづきを感じる方向けの相談機関にお世話になったりして、仕事を探してみることにしたんです。
そこで福祉センターの有償ボランティアを紹介されました。地元で配るチラシの折り込みの仕事です。 労働時間は2時間で、時給は普通のアルバイトの半分程度ですが、人と関わることも少なく、調子のいいときだけ働けるということで挑戦してみることに。
——1年ぶりに仕事に復帰された感想はいかがでしたか?
福祉センターの従業員の方も、 一緒に働く方々も親切だったので「人を大事に扱ってくれる職場もあるんだな」と実感できました。当たり前のことかもしれませんが、働くことに後ろ向きだった自分からしたら、大きな出来事です。
とはいえ、新しい環境で仕事をするのは結構大変でした。初日は疲れ切って、家に帰ったら倒れるように眠ってしまったほど。「フルタイムパートとして働いていた以前のように戻れるかな」という不安もありました。
タイミーで「週に何日働けるか?」を試してみた
——その後タイミーをご利用いただくようにもなりましたね。きっかけを教えてください。
タイミーは、ドラッグストアを辞めたころに友人から紹介してもらいました。使い始めた直接的なきっかけは、福祉センターの仕事に慣れたのち、ハローワークで本格的に仕事を紹介してもらおうと思ったときのこと。
担当の方から「週に何日働けますか?」と質問されたのですが、心身に負担をかけ過ぎずにどのくらい働けるのか、自分でもわからなかったんです。そこで、タイミーでどのくらい働けるのかを試してみることにしました。
初めて働いたのが、住まいから車で1時間くらいの場所にあるビジネスホテルの客室清掃の仕事でした。以前、似たような仕事の経験もありましたし、もし職場に馴染めなくても他のところを探せばいいかと思い切って応募。週に2〜3回働くことが前提のアルバイトが多いなか、タイミーはシフトが決まっていないので、週1回ペースで働けるのはとてもありがたかったです。
——そこでのお仕事はいかがでしたか?
仕事内容としては、従業員とタイミーワーカーがペアになって、1フロアずつ担当しながら清掃を進めていくというものです。はじめは「ただの労働力として扱われるのかな」という不安もありましたが、そんなことはまったくありませんでした。フランクに話しかけてくださったり、「無理をせず自分のペースで進めていいよ」と声をかけてくださったりと、私のことを人として扱ってくれたんです。
また、そのビジネスホテルはタイミーワーカーの受け入れ経験が豊富で、仕事の教え方も整理されていました。丁寧に仕事を教えてくれる職場だったので安心して働けました。
——タイミーを通じて、働くこと自体への気持ちに変化はありましたか?
繰り返しになりますが「いい職場もあるんだな」と気づけたことが大きかったです。以前のドラッグストアでは、圧迫感のある店長の顔を伺って、ご機嫌取りをしながら働いていましたから。仕事に集中できる職場があることは、私にとって嬉しい発見でした。
それに、職場の方から「仕事が早くて助かるよ。また来てくれたら嬉しい」と声をかけてもらえたことも自信になりました。 多くのタイミーワーカーが来ている職場でしたが、そのなかでもちゃんと名前を覚えてもらえるのが嬉しかったです。
あとは、働くことにはお金を稼ぐ以外のメリットがあることにも気づけました。たとえば、普段生活しているとできない経験ができることや、今後に役立つ新しいスキルを身につけられること。そして、まだ抵抗は少しあるけれど、人と一緒に働くことで得られる喜びです。
無理することなく何度も同じ場所で働けたことで、自分が週に何日くらいなら働けるかを実験することができました。「水曜日をお休みにして週4日働く」という自分にとってベストな働き方が見つかったんです。
タイミーで働いたホテルで長期採用が決定!生活の安定を取り戻したい
——素敵な職場に出会い、働くことへの前向きさを取り戻し、自分に合う働き方もわかったと。今後のお仕事や生活における目標はありますか?
実は先日、タイミーで働いていたビジネスホテルの他店舗へのパート採用が決まったんです。週に3〜4回の勤務で、業務内容は今の延長線上。客室清掃に加えて今までやったことのないベットメイキングや、大浴場の清掃などが加わります。
本当はタイミーで働いていた店舗で働きたい気持ちもありましたが、車で1時間くらいかかるので定期的に通うのは難しいな、と。ただ、そこで働いた経験は面接でアドバンテージになりました。「仕事がある程度わかってる人」と思ってもらえたんです。ちゃんと仕事を頑張ってきてよかったなと思います。
——おめでとうございます!休職されてから初めての長期のパートですね。
はい。4年ぶりです。長期的に同じ場所で働くことへの不安はまだありますが、そのビジネスホテルの仕事や働く人に対する姿勢、考え方を知っているので、なんとかやっていけるかなと思っています。
また、タイミーで不定期に働いたからこそ、安定したシフトで働けることのメリットも感じています。今後の目標としては、少しずつ仕事に慣れながら、今の自分にとって安定した仕事と生活を模索していきたいと思います。
——Kさんと似た状況にある方も少なくないと思います。この体験談は、そうした方々の背中を押せるものかもしれませんね。
そうなってくれたら嬉しいです。私は体調を崩してからずっと、働くことに対してネガティブな感情を抱いていました。もっと言えば、社会に対しての信用も失っていて、家以外の場所は「戦場」だと思っていたんです。
だから仕事に復帰することが、どれだけしんどいかはよくわかります。働く事を楽ではないと感じる人もいると思います。でも、タイミーなら、1日数時間だけ働くなど働くことへの敷居を低くすることができる。私自身は、そこで出会ったビジネスホテルのおかげで「そこまで戦いが激しくない場所もある」ということに気づけました。
少しでも何かやってみたいという方がいたら、タイミーのようなサービスを使ってみることをお勧めしたいです。 もしかしたら自分にとって思いがけない発見があるかもしれません。
- タイミーラボ編集部
タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。
https://lab.timee.co.jp/