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1日に70名以上のタイミーワーカーが働く株式会社サンクスの海老名第二センター。初めての方から150回以上リピートする方まで幅広く受け入れているにも関わらず、タイミーで働いた人がその職場に対して行う評価である「Good率」は、驚異の98%をほこります。
導入当初は80%と低めだった数値がここまで向上した背景には、ワーカーの皆さんが働きやすくなるように行ったある"投資"がありました。
今回は、猪狩高志さん(写真右)と入澤宏和さん(写真左)に、Good率向上の過程と、その秘訣をお聞きします。
- 取材ご協力先
- 株式会社サンクス 海老名第二センター
ロジスティクスコンサルティングを展開するサン インテルネットグループの一員。海老名第二センターでは、冷蔵・冷凍商品を専門に取り扱い、大手食品宅配サービス向けの業務を24時間体制で行っている。
http://www.sunx-web.jp/blog/2020/10/16/466/ワーカーからのレビュー機能は、「誰もが働きやすい」職場づくりのタネ
——最初に、タイミー導入の経緯を教えてください。
猪狩さん:
海老名第二センターの冷蔵倉庫は、扱う商品の特性上、常に5℃で保たれています。防寒服もあるため、体感温度としてはそこまで苦にならないのですが、面接時に「5℃の環境で働きます」と伝えると、躊躇してしまう方が多くいらっしゃいました。
それに加えて周辺エリアに別企業の倉庫がたくさんできるようになり、人材獲得の競争が激化。なかなか人が集まらない状況が続いていました。少しでも人材獲得のツールを増やしたく、たまたま広告でタイミーを見つけたタイミングで試しに導入してみることにしたんです。
——実際に導入してみていかがでしたか?
猪狩さん:
最初に驚いたのは、ワーカーさんの投稿したレビューが他の人からも見えてしまうことです。「正直にズバズバと書かれるんだな」と思ったのと同時に、「側からはこう見えているのか」と自分たちの会社を客観視できました。
例えば、倉庫の端から端へ大声で会話するという、私たちにとっては日常茶飯事な光景が、初めてそのシーンを目にしたワーカーさんに「怒っている」「人間関係が悪い」と捉えられてしまうことがありました。また受け入れ対応をする社員によっては、新しく入ってきたワーカーさんへ伝える情報に差があることも分かったのです。それまでの暗黙のルールや新人がしょうがなく我慢していたことが、ワーカーさんからのレビューによって可視化されていきました。
当時はGood率は80%ほどとあまり高くはない状況だったんです。同じエリアに他社の倉庫が増えている中、ワーカーさんの口コミとも言えるGood率を改善することがより多くの人に選ばれる要因になるのではないかと考え、改善を重ねていくようになりました。
——レビューをもとに、どのような改善からはじめられたのでしょうか?
猪狩さん:
まず朝礼や点呼時に全員に向けて、レビューで指摘されたものを共有することを徹底していきました。次にワーカー用のマニュアルと社員用のマニュアルを作成して、どの社員が受け入れ対応をしても必要な情報が必ず伝わる仕組みを整えていったのです。マニュアルには、業務内容に関する情報はもちろん、トイレや休憩所、喫煙所の場所などのの場所などの情報も記載しています。些細なことかもしれませんが、聞かなくても教えてくれるのと、聞かないと教えてくれないのでは、ワーカーさんからの印象に大きな差が出てくるはずです。
さらに、ワーカーさん全員に黄色の帽子を、初回〜5回目の勤務のワーカーさんにはビブスを着てもらう運用にしました。そうすることで、重点的にサポートすべき人を視覚的に判断しやすくなり、現場でのトラブルも減っていったんです。
専用ロッカーに休憩所の改装、アプリ開発。職場改善のための投資の数々
——他には具体的にどのようなことに取り組まれていったのでしょうか?
猪狩さん:
数えきれないほどいろんなことを改善したのですが、好評だったのはワーカーさん専用のロッカールームを広くしたことと休憩所の改装です。もともとは狭いスペースで着替えてもらっていたのですが、受け入れるワーカーさんの人数もどんどん増えたため、思い切って大きな部屋を用意したんです。休憩室もお昼休憩くらいはゆっくりしてもらいたいという思いから、内装から見直して机も一新、観葉植物も置いてリラックスできる空間をつくりました。
また、ワーカーさんの作業のしやすさも見直すようになりました。従来は紙の注文書を見て商品のピッキングをしていましたが、作業中にその紙を無くしてしまうことや商品を間違えてしまうことがあったんです。そこで、紙ベースの作業をスマホ端末での作業に切り替えるべく、スマホでバーコードを読み込むだけでリストが出るような専用アプリの開発を行いました。
ピッキングを間違えると、スマホからアラート音が鳴る仕組みも搭載しており、ミスをする回数も格段に減りました。音の種類が何パターンかある中で、私の声で「ダメダメダメ〜」と鳴るのが一番恥ずかしく効果があるようです(笑)。ここでもどのような機能があれば最適なのか、ワーカーさんに都度レビューをしてもらってテストと改善を繰り返しながら今の形に落ち着きました。「スマホに変わって、仕事が楽しくできるようになった」とレビューをもらった時は、ガッツポーズをしたくなるほど嬉しかったですね。
現場の声やレビューを参考にしながら、ひとつずつ改善していくとGood率も徐々に上がっていくんですよね。やはり数字が上がっていくのは嬉しいもので、「100%に近づけよう!」と、みんなで意気込んでいますよ。いまでは全員でパソコンの管理画面を見て、Good率0.1%のアップダウンで一喜一憂しています(笑)。
ワーカーの受け入れ体制への投資は、従業員全体に還元される
——どうしてここまでワーカーファーストな体制を築けているのでしょうか?
入澤さん:
実は私自身もともとタイミーのワーカーだったんです。1年ほどワーカーとして働く中で、社員の皆さんの対応を含めた職場環境の良さを感じ、社員として雇用してもらいました。
ワーカーとして働いている時から「大勢いるワーカーさんではなく、ワーカーさん一人ひとりを見ています」というこの会社のスタンスを感じていました。こういった意識があったからこそ、ワーカーファーストな体制が浸透したのではないかと思っています。
私もワーカー側だったからこそ、スタッフが「名前を覚えてくれる」「自分ができる業務を覚えてくれる」など、こうされたら嬉しいということが分かるんです。だからこそ、社内で一番ワーカーさんの気持ちが分かる人間でいようと心がけています。
猪狩さん:
私は「ワーカーさんの働きやすさ=従業員全体の働きやすさ」だと考えています。先ほどお話ししたマニュアルや休憩所の改装、アプリ開発は、すべては従業員全員の働きやすさに繋がっていますよね。
またワーカーさんを受け入れるようになってから、季節ごとに社内の装飾やイベントをスタートしたんです。ハロウィンの時期にお菓子を配ってみたり、社内をステッカーで飾ってみたりと、あらゆることを試してみました。もともとはワーカーさんがリピートして働きたくなるようにと考えた企画でしたが、お菓子や飾りつけをきっかけにスタッフ同士の会話が増え、社内からも「雰囲気が明るくなった」という声もたくさん聞くようになりました。効率化ももちろん大切ですが、こういった遊び心は社内コミュニケーションにとっても重要なことなんだと、改めて気付かされました。
会社の行動指針に「日々改善。日々進化」という項目があるのですが、多くの社員がその指針に沿って行動できているというのも、これだけ大胆に投資ができる大きな要因かもしれません。
Good率が改善したことで高まった会社の信頼
——改善を積み重ねた結果、Good率が98%にまで上がり変わったことはありましたか?
猪狩さん:
Good率が上がったことで、安定して人が集まるようになりました。現在は1日に70名以上の募集を出しているのですが、弊社をお気に入りに登録してくれるワーカーさんが多いため、すぐにマッチングできています。ワーカーさんから「募集枠をもっと増やしてほしい」「長期雇用してほしい」と直接相談される機会も非常に増えました。それだけ働きやすくリピートしたい職場をつくれているのかと思うと嬉しくなりますね。
——人手不足の解消以外の面でも何か変化はありましたか?
猪狩さん:
意外だったのは、取引先のお客様から「タイミー見てますよ、Good率98%ってすごいですね」と言われたことです。しかも1度だけではなくて何社からも同じような言葉をいただきました。私が思っている以上に、ワーカーさんの何千何万のレビューは信憑性がとても高く、会社としての信頼にも繋がっているのだなと感じられる出来事でした。
「どんなことをしたらこんなにGood率が上がるのか教えてほしい」と具体的な施策を聞かれることも増えていますが、私としては特別なことをしている意識はありません。せっかくうちを選んで働きに来てくれたのなら、所属関係なく気持ちよく働いてもらいたい。気持ちよく働く人が増えれば、結果は自ずとついてくると考えています。
- タイミーラボ編集部
タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。
https://lab.timee.co.jp/