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近年、働き方の多様化によりスキマ時間に働く「スポットワーク」が浸透しています。それにともない、働き手と事業者をマッチングするスキマバイトサービスが増えており、複数のサービスを活用している事業者も多いのではないでしょうか。
日本国内の労働力不足は、年々深刻化しており、履歴書や面接、シフトなしで働けるスキマバイトサービスが、今後さらに一般化し潜在労働力を引き出す鍵になると考えられています。
また、2024年10月からは従業員数51人以上の企業で働く短時間労働者にまで社会保険の加入義務が拡大されます。短時間労働者でも要件を満たせば社保加入が可能となるので、国としても多様な働き方を前提とした制度設計を進めています。
しかし、事業者が複数のスキマバイトサービスを併用することで生じる問題点やリスクも指摘されています。本記事では、タイミーの特徴を解説するとともに、複数のスキマバイトサービスを併用する際に潜んでいる課題や留意点について解説します。事業者が、ワーカーの安心・安全を担保しながらスキマバイトサービスを併用するには、今何が求められているのでしょうか。
タイミーの労務管理負担軽減のための仕組み
タイミーでは、ワーカーと事業者に安心・安全にサービスを利用いただくために様々な機能を設けており、その中に労務管理にまつわる3種類の「ブロック機能」があります。
スキマバイトサービスでは、ワーカーの労務管理をプラットフォーム上でデジタルで行うことができるため、事業者は労務管理の負担を軽減できるメリットがあります。では、具体的にどんなブロック機能なのか見ていきましょう。
労務管理の負担を軽減するブロック機能とは
タイミーの主なブロック機能は以下の3つです。(他のスキマバイトサービスでも、同様のブロック機能があります)
①社会保険等の加入条件に該当し、所定の手続きが発生することを避けるため、同じワーカーが同じ事業者で月額88,000円以上働けないようシステム上でブロックしています。
②事業者のマイナンバーの回収および給与支払報告書・源泉徴収票(税務署提出用)の提出を不要にするため、同じワーカーが同じ事業者における年間収入が30万円を超えないようシステム上ブロックしています。
③想定されない法定労働時間を超える勤務を防止するため、タイミーのアプリ内での勤務回数を1日1回制限、週39時間制限を設けています。(なお、1回の勤務内で割増賃金(深夜分含む)が発生する場合の報酬は、タイミーにて自動計算されます)
複数のスキマバイトサービスを併用する際の留意点
このように、安心してご利用いただくためのブロック機能はありますが、これは、事業者が一つのスキマバイトサービスを利用する場合においてのみ機能します。
ワーカーが複数のスキマバイトサービスを併用し、同一事業者にて就労する場合、勤務時間や収入が一つのサービスで管理できなくなり、結果としてワーカーの安心・安全が保たれなくなるという懸念が指摘されています。そこで現状の課題について把握しておきましょう。
①サービス間で個人情報の共有ができない
それぞれのスキマバイトサービスにおいてはブロック制限内の働き方であっても、別々のスキマバイトサービスを利用しての勤務を合算すると、週40時間以上、月額88,000円以上、年額30万円超になってしまう可能性があります。
現状、各種サービス間で個人情報の共有ができないため、いつの間にか各種制限を超えた働き方ができてしまう点が懸念されています。今後、複数のサービスを併用する際、いかに適切な労務管理を行うかが課題になっています。
②労務管理の手続きが正しく行われない可能性も
複数のスキマバイトサービスを併用する事業者は、それぞれのサービスを利用したワーカーの労務実績データを統合し、ワーカーの労働時間や給与などを合算管理することが求められます。そのうえで割増賃金の支払い、社会保険等の加入手続き、給与支払報告書及び源泉徴収票の課税当局への提出といった手続きを行う義務が生じる可能性があります。
事業者サイドは、こうした管理や手続きを行わなければ法令に反している状態となる恐れもありますが、現状は事業者サイドの裁量に任されているため、正しい手続きが行われているかの確認が難しいのが実態です。
事業者が、複数のスキマバイトサービスを活用する際は、これらの課題やリスクを把握し、ワーカーが安心・安全に働けるよう労務管理を徹底しなければなりません。場合によっては、ワーカーを長期雇用に切り替えていく必要も出てくるでしょう。
長期採用ツールとしての活用も
タイミーのサービスでは、ワーカーの長期採用にも力を入れています。上記の「ブロック機能」に制限されず、ワーカーを長期雇用に切り替え、社会保険に加入できるような取り組みを実装しています。ワーカーの長期採用を支援する独自サービスを紹介します。
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①バッジ機能
事業者は、該当業務で良い働きをしたワーカーに「バッジ」を付与します。これにより、求めるスキルをもつワーカーとマッチングしやすくなったり、ワーカーごとのスキルや実績に合わせてお任せする業務を事前に考えやすくなります。現在、バッジの付与数は累計100万個を突破しています(2024年4月時点)。
また、事業者にとっては、通常よりも高い時給を設定することで、求めるスキルや実績がある即戦力となるワーカーを必要な時にピンポイントで採用することができるようになります。これにより、例えば飲食店では予約がたくさん入っている週末、スーパーでは客足の多いセールの日などに、事業者はスキルや実績を持つワーカーをピンポイントで採用でき、店舗の売上機会の損失を抑えやすくなります。バッジ機能は、即戦力確保が目的ですが、ワーカーの意欲向上、ひいては長期雇用につながる機能だと考えています。
②タイミーキャリアプラス
タイミーでの実績をもとに、事業者に正社員候補者を紹介するタイミーキャリアプラスを2024年2月より開始しています。正社員候補者は、「キャリア相談」や「資格や免許取得、スキル習得のためのリスキリング講座」を受けることができ、正社員としての長期就労やキャリア形成を支援しています。事業者は、資格やスキルを身につけた働き手が採用できるので、入社後のミスマッチの低減や人材定着などが期待できます。
スポットワークは、スキルが身に付きにくく非正規雇用からの脱却は難しいと指摘されてきました。しかし、タイミーではスキルや資格取得の機会を提供することで、ワーカーの可能性を広げるサービスや機能を積極的に提供しています。
課題を理解したうえでスキマバイトサービスを活用しよう
本記事では、複数のスキマバイトサービスを併用する際の留意点についてお伝えしてきました。スポットワークは、人手不足の事業者にとって今後ますます重要なサービスになります。
複数のサービスを併用することの課題や留意点を把握したうえで、安心・安全に働ける環境を担保し、人手不足を上手く補っていかなければなりません。さらに、これらの課題を解決し適切な労務管理ができる仕組みをスポットワーク業界全体で考えて実行していくことが重要です。
- タイミーラボ編集部
タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。
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