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【教えて井上先生 Vol.01】職場の人やお客さまからハラスメントを受けたときには、どうしたらいいの?

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【教えて井上先生 Vol.01】職場の人やお客さまからハラスメントを受けたときには、どうしたらいいの?

目次

仕事において悩みはつきもの。人と接する職業ならばなおのことです。人と相対する場合にはどのようにやり取りすればいいかを思い悩む方が多いのでは?

タイミーラボでははたらくことがちょっとだけラクになるように、精神科医・産業医の井上智介さんにお悩み相談をする企画を考えました。

第一回は、職場で理不尽なお客さまからのカスハラ(カスタマーハラスメント)や、上司や先輩、同僚からのパワハラ(パワーハラスメント)を受けた場合、どうしたらいいのか。また、職場で他の人が受けている場合はどうしたらいいのかを聞きます。

ハラスメントを受けたときにどうすればいいのか。また、ハラスメントを受ける同僚を見たときにはどう対応すべきか。すぐにでも活かせるポイントを教えてもらいました。

/media/井上智介
精神科医
井上智介
SNS

大学卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動。さらに、ブログやX(旧Twitter)、書籍、講演会、コメンテーターなどでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。『おおざっぱに笑って健康に生きる』がモットー。

https://ameblo.jp/tatakau-sangyoi/

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ハラスメントを受けたら……誰かに話を聞いてもらおう

――職場でカスハラやパワハラを受けていると感じたとき、どうしたら良いのでしょうか?

井上:まずは、「一人で抱え込まないこと」です。ともすれば、「自分が悪いから」「自分の能力が低いから叱責される」「同僚に相談すると迷惑がかかるかも……」と思うかもしれません。

ですが、ちょっとでも違和感があったり、「あれ、コレってもしかしてハラスメント?」と思ったら、会社の同僚、親しい友人など周囲に相談してみてください。信頼できる方に相談するのがベスト。「まずは話を聞いてもらう」のがスタートです。

――まずは誰かに話を聞いてもらうことが第一ですね。でも、相談すること自体を躊躇したり、話すのに勇気がいる人も多いかと思います。

井上:自分が感じたことや抱えている問題をまずは「外に出す」ことが大切です。いつもと様子が違って「心身のバランスを崩している」などと感じたら無理をせず、今不安に思っている気持ちを話しましょう。

心と体のバランスを崩している状態なら、ハラスメントをする人の顔を見ただけで「動悸がする」「手汗や脂汗が止まらない」「呼吸が荒くなる」「涙が出てしまう」ということがありえます。腹痛、微熱、倦怠感、だるさなど身体的な不調だけではありません。また、「明日、その人に会うかもしれないと思うと夜も眠れない」「気になって、何度も目が覚めてしまう」という睡眠に関わる不調が出ている場合も同様です。

健康を損なっている場合には、その環境から距離を取ることが大切です。症状が続いて深く心が傷ついてしまうと、なかなか回復するのは大変ですから。話を聞いてもらって、一旦はその場を離れると少し落ち着いて客観的に見れることもあると思います。

話を聞いてもらうとき、記録があるとよい

――話を聞いてもらうとき、どのように相談するのがよいでしょうか?

井上:相談というアクション起こす場合、まずはこれまでを振り返り、「状況の具体例を記録」しておきましょう。いつ、どんなシチュエーションで、どんな事があったのか。「大声で●●と怒鳴られた」「無能、役立たずと言われた」「声をかけたのに無視された」などハラスメントは色々と種類があると思いますが、できるだけ詳細に具体例を伝えられるようにしましょう。録音などの記録があるとなおよいです。

次に、相談したい相手に「アポイントを取る」こと。これだけで、片手間ではなく「真面目な重たい相談があります」というニュアンスが伝わります。軽々しく扱って欲しくない内容ですし、しっかり時間と場所を決めて30分ほどの枠で話しましょう。

実際にカスハラ、パワハラを受けている場合には、会社にアラートを告げると、会社が組織的に解決に向けて取り組むことが必要になります。この時に1人だけの被害を受けた話しよりも、2人、3人と協力者を見つけ結束して訴えかける方が物事も進みやすくなります。直接的に、訴えかけるのが困難であれば、昨今では産業医やハラスメント窓口を設けている企業も多いですから、そちらに相談するのも手です。

――相談したあとは、一般的にどのような流れで物事は進んでいくのでしょうか? 

井上:ハラスメントをしている事実が客観的に明らかになれば、その方へは注意がなされ、程度によっては処分も下されるでしょう。ただ、対応は企業によって変わるものの「従業員をどこまで大事にしているか」という企業体質が見えたりもします。ハラスメントを行っている人が、利益を生むキーパーソンだったりする場合には、隠蔽されたりしてするケースも正直あったりするものです。

また、被害をうけた人が会社側に「ハラスメントを行った人物を解雇や処分すること」を過度に期待を寄せることもありますが……。窓口に訴えたからといって「すぐに物事が解決するわけではない」というのは頭の片隅に覚えておいてもよいと思います。会社も客観的な事実を集めつつ、ハラスメントを行った人や周囲の人がどう捉えているかを調査する時間は必要ですからね。ですから、その何も変わらない時間に耐えれそうにないと思ったたときは、そのポジションや会社に「しがみつかない」のも手です。しんどい思いをするくらいならば、会社との関係性を変えるのも方法の一つです。

何よりも、あなた自身が「健康であること」が一番ですからね。辛さを共有して、「分かってくれる人」を見つけることがよいと思います。

――自分の感じたことをまずは誰かに共有して。一緒に向き合ってもらうことで道が開けるのですね。

ハラスメントを受けている人を見たら、どうすれば?

――同僚がカスハラやパワハラを受けている場合にはどのようにしたらよいのでしょうか?

井上:ハラスメントを受けている人を「一人にしないこと」です。ハラスメントを受けている人は「自分が悪いからこんなに怒られている……」といった恥ずかしさを持っていたり、「自分が無能だから仕方ない」と思いバレないように事実を隠してしまったりするものです。

辛いときに正直に周囲に「辛い」と言える人は少数でしょう。本人が「大丈夫だから」と言っているからスルーするのではなく、「今のだいぶキツくなかった? 大丈夫?」と見て見ぬふりをせず寄り添えるのが理想です。

その時には、その方の気持ちに「共感」してあげること。あからさまな状況であれば「一緒に会社に相談しようか?」と助け船を出してあげてください。

ハラスメントに当てはまるか分からない時も「会社内の秩序を守る」という気概を持って周囲も動きましょう。それによって「周囲に不快感を与えるような言動をしない」という組織文化を創ることができるはずです。

――やはり何事も一人で抱え込まないことが大切なのですね。組織で働くなかでは、「しんどい」という気持ちをみんなで共有できると良いですね。

井上:ええ。ハラスメントに対応する人事や総務の方々も、ハラスメントを受けた方の話を聞いていると自身が辛くなってくることもあるでしょう。

そんなときも、1人で対応に当たるのではなく、チームの仲間とともにお互いに支えながら進める方がよいです。誰しもテキパキとこなせる領域“だけ”が仕事になるわけではありません。周囲が興味を持って、お互いがケアできる関係だとよいですよね。調査の一貫で、ハラスメントをする人から話しを聞く時も「人」「場所」「時間」を少しずつ変えることによって、みんなでしんどさを軽減できるとよいのだと思います。

――ハラスメントを受けた人は話を聞いてもらうこと。周囲は話を聞いてあげること。その関係性を創ることがハラスメントを生まない職場づくりにつながっていくと信じたいですね。

今回のまとめ三か条

(取材・執筆:上野 智、編集:齋藤 裕美子)

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/media/タイミーラボ編集部
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