目次
労災(労働災害)について、どれくらいの知識を持っていますか? 労災に認定される条件、もらえるお金、どこに相談すればよいのかなどについてすぐに答えられる人は、少ないのではないでしょうか。確率は決して高くはないものの、運悪く仕事中に怪我や事故に巻き込まれる可能性はゼロではありません。
この記事では、労災とはどのようなものなのか、そして万が一労災に遭ってしまった場合には、どうすればよいのかについて、わかりやすく解説します。
▼こちらの記事もチェック↓
労災(労働災害)とは?
労災とは、正式には「労働災害」と呼び、労働者が業務に関係する作業をしているときに起きた怪我や事故のことを指します。業務中ではなく、業務に関係する作業となっているのは、以下のような場合も労災に含まれるためです。
- 通勤・退勤中
- 作業中断時
- 休憩時間
- 会社行事への参加中 など
労災(労働災害)に該当するのは?
ここでは、どのようケースが労災に該当するのか、具体例とともに紹介していきます。ただし、労災として認定されるかどうかの判断を自分で行うのは、非常に困難です。「これは労災に入るのかな?」と迷ったときには、下記の相談窓口を利用してみてください。
<相談窓口>
|
そのほかにも、全国にある労働局、総合労働相談コーナー、弁護士などに相談する方法もあります。自分が1番相談しやすいところへ、問い合わせましょう。
ケース①:作業中の怪我や事故
たとえば、倉庫でのピッキング作業中に、指をカッターナイフで切ってしまったとします。これは、業務(仕事)が原因で起きた怪我であるといえるので、労災として認められます。
そのほか、労災として認められるケースには、以下のようなものがあります。
- 清掃作業中に腰を痛めてしまった
- 飲食店での調理作業中にやけどを負ってしまった
上記のように、業務が原因で生じた怪我や事故に関しては、基本的には労災として認められます。
ケース②:作業中断中の怪我や事故
作業や仕事を一旦中断し、お手洗いや給水に行く途中に起こった怪我や事故も、労災として認められます。たとえば、イベントスタッフの仕事をしているときに、一旦持ち場を離れてお手洗いに行く途中、滑って足を捻挫してしまったとします。こうしたケースも労災として認められます。
お手洗いに行くことや水分補給などの生理的な行動は、業務に付随する行為として考えられているためです。
ケース③:休憩時間中の怪我や事故
休憩時間中は、基本的に「労働者が自由に行動できる時間」と見なされています。しかし、休憩時間中の怪我や事故であっても、労災として認められるケースがあります。
以下のような場合、会社や施設などの職場内で起きた怪我や事故であれば、労災として認められます。
- 倉庫作業を終え、食堂で昼食を取るために移動していたところ、階段で足を滑らせて転倒してしまった
- 上着を取るためにオフィスのクローゼットを開けたところ、中のものが崩れ落ちてきて怪我をした
労災として認定されるかどうかは、施設内(職場内)で起きた怪我や事故であるかどうかが基準となります。
ただし、休憩時間中に施設内で、仕事と関係のないスポーツなどをしていて負ってしまった怪我などについては、労災になりませんので、覚えておきましょう。
ケース④:通勤中の怪我や事故
通勤・退勤中に生じた怪我や事故も、労災として認められるケースがあります。労災として認められるのは、以下のようなケースです。
(参照:公益財団法人 労災保険情報センター『労災になりますか』)
- 出勤時にマンションのエレベーターに挟まれ、指を怪我した
- 帰宅時に乗っていたバスが事故に遭い、むち打ちになってしまった
このケースにおいて、労災として認められるかどうかの判断は、通勤に必要な工程の中で発生したものかどうかです。つまり、通勤のために使わなくてはならない電車やバス、階段などでの怪我や事故は労災となります。一方、通勤とは関係なく、自分のプライベートの用事で立ち寄ったスーパーで起きた事後や、仕事終わりに参加した飲み会の帰りに負った怪我などは、労災の対象外となります。
ケース⑤:会社行事に出席中の怪我や事故
通常の業務ではなく、歓送迎会などのイベントや、社員旅行、会社主催のパーティーなど、会社行事で怪我や事故が起きてしまった場合は、条件を満たす場合のみ労災として認められます。
賃金や交通費が支払われており、業務として参加しているイベント・行事である場合は、労災に該当します。
また、業務として参加している状況下での怪我であれば、たとえそれが休日であっても、労災認定されます。たとえば、「土曜日に会社交流を兼ねた球技大会(賃金支払いあり)が行われた際に、突き指をしてしまった」といった場合には、労災として認定してもらえる可能性が高くなります。
ケース⑥:自然災害時の怪我や事故
地震や台風などの自然災害が原因で仕事中に怪我をした場合においても、労災として認められます。たとえば、以下のようなケースです。
- オフィスでデータ入力作業中に地震が発生。デスク上のものが頭に当たり、怪我をした
- 台風が近づいてきているなか、早めに帰宅しようとしたが、雨風が強く転倒し、足を怪我してしまった
ただし、「台風で帰宅が難しくなっている同僚をおくり届けている際に、怪我をしてしまった」といったケースでは、労災が認められない可能性が高いので、注意が必要です。
自然災害時であっても、通勤時の怪我が労災として認められるのは、あくまでも自宅と会社の行き来に最低限必要な経路上で起きた怪我や事故のみです。そのため、たとえ善意で行った行動だとしても、自身の通勤経路を外れた際に負った怪我は、労災として認められない可能性が高いのです。
ケース⑦:精神障害を発症した場合
労災の判断が難しいのが、精神障害を発症した場合です。精神障害が労災として認定されるためには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。
※「認定基準の対象となる精神障害」とは、「ICD-10(国際疾病分類)第5章 精神および行動の障害」に記載のある障害のうち、認知症や頭部の外傷による障害とアルコールや薬物による障害を除いたもの |
(引用元:厚生労働省『精神障害の労災認定』)
たとえば、「3週間のうちに120時間をこえる残業を強いられた結果、うつ病になってしまった」という場合は、労災として認められる可能性が高いです。
ただ、精神障害の場合は、一概に「このケースは労災になる」と断言できない状況がほとんどです。正常な判断ができる精神状態のうちに、医師や労働局に相談するようにしましょう。
労災保険の認定基準と給付内容
労災が認められると、怪我や事故の内容や程度に応じて、さまざまな補償が受けられます。ここからは、その労災保険について、くわしく解説していきます。
そもそも労災保険とは
労災保険とは、業務が原因で労働者が怪我や事故に遭ってしまった場合に、保険給付を行う制度のことです。正式名称は「労災保険制度」といいます。
労災保険は、正社員だけではなく、アルバイト、パートを含む全労働者に適用される保険であり、労働者を雇っている事業主は労災保険に必ず加入する義務が課せられています。
(参照:厚生労働省『労災補償』)
労災の認定基準
労災は、その災害が発生したタイミングによって、「業務災害(仕事によるもの)」と「通勤災害(通勤によるもの)」の2つに分けられます。それぞれどのような場合に労災として認定されるのか、認定条件を確認していきましょう。
労災の認定基準①:業務災害
業務災害とは、業務内容が原因で生じた怪我や事故のことです。
業務災害が労災として認定されるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 業務遂行性…業務中、または業務に付随した行動の際に起きた怪我や事故であること
- 業務起因性…業務が事故や怪我の原因になったと考えられること
たとえば、「引越しの運搬作業をしていて荷物に手を挟んでしまった」というケースでは、「業務中」かつ「業務が原因」となっているので業務災害として認められることになります。
労災の認定基準②:通勤災害
通勤災害は、出勤・退勤の際に起きた怪我や事故のことです。ただし、通勤が合理的な経路および方法で行われた場合のみ、労災の認定対象となります。
<通勤災害に認定される場合>
- 通勤のために電車を利用したところ、緊急停止で転倒してしまい捻挫した
- 駅の階段を踏み外し捻挫をしてしまった、ホームで滑って転倒し手首を骨折した
<通勤災害に認定されない場合>
- 退勤後スーパーに買い物へ行き、その帰りに自転車との接触事故に遭ってしまった
スーパーに立ち寄る、業務外の飲み会の帰りなど、私的な用事を含む場合は、通勤災害として認定されない可能性があります。
労災保険の給付内容(補償範囲)
労災が認定されれば、さまざまな給付や補償が受けられます。労災保険の給付内容(補償範囲)は、全部で8つの種類があります。補償内容については、以下の表を参考にしてください。
給付内容 | 詳細 | 補償内容 |
---|---|---|
療養(補償)等給付 |
| 治療費全額補償 |
休業(補償)等給付 |
| 働けない期間の賃金を補償 |
傷病(補償)等年⾦ |
| 障害が残った際の収入を補償 |
障害(補償)等給付 |
| 後遺障害に対する補償 |
介護(補償)等給付 |
| 介護費用の補償 |
遺族(補償)等給付 |
| 死亡した場合の遺族への補償(遺族数や亡くなった労働者の賃金により変動) |
葬祭料等(葬祭給付) |
| 31万5,000円(基本額)+給付基礎日額×30日または60日分 |
⼆次健康診断等給付 |
| 健康診断の再診を補償 |
具体的な障害や傷病の程度(等級)を知りたい人は、厚生労働省の『労災補償関係リーフレット等一覧』を確認しましょう。
労災がおきてしまったら?労災保険の給付申請の流れ
万が一労災が自分の身に起きてしまった場合、どうしたらよいのでしょうか。いざというときに困らないように、労災保険の給付申請の流れを解説します。
また、タイミーを通して働いた際に労災が起きてしまった場合においても、事業者と直接手続きなどのやりとりをすることになるため、申請の流れをしっかり確認しておきましょう。
給付申請の手順①:病院を受診する
まず、仕事中に怪我や事故に遭ったら、まずは病院を受診して診断書をもらいましょう。病院が発行する診断書がないと、労災の証明ができなくなってしまいます。
また、病院を受診する際は、以下の3点に注意しましょう。
- できるだけ労災病院・労災指定病院で診察を受ける
- 労災で受診する際は、健康保険証を使わない
- 診断書や医師の証明、領収証をもらっておく
健康保険証を使わない理由は、 労災保険と健康保険は同時に使うことができないからです。また、全国の労災指定病院は、「厚生労働省 労災保険指定医療機関検索」で探すことができるので、活用してみてください。
給付申請の手順②:会社から労災の証明を受ける
病院を受診したら、次は労災が起きてしまったことを会社に報告しましょう。会社から労災の証明を受けるためには、病院でもらった診断書に加え、労災保険給付関係請求書が必要となります。
請求書の形式は、給付の種類によって異なります。以下の表から、自分が受ける給付の種類、請求書の様式、提出先を確認しましょう。
給付の種類 | 請求書の様式 | 提出先 |
---|---|---|
療養(補償)等給付 | 療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書(5号) | 病院や薬局等を経て所轄労働基準監督署長 |
療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(7号) | 所轄労働基準監督署長 | |
休業(補償)等給付 | 休業補償給付・複数事業労働者休業給付支給請求書(8号) | |
障害(補償)等給付 | 障害補償給付・複数事業労働者障害給付支給請求書(10号)※ | |
遺族(補償)等給付 | 遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金給付支給請求書(12号)※ | |
遺族補償一時金・複数事業労働者遺族一時金給付支給請求書(15号) | ||
葬祭料等(葬祭給付) | 葬祭料又は複数事業労働者葬祭給付請求書(16号) | |
介護(補償)等給付 | 介護補償給付・複数事業労働者介護給付・介護給付支給請求書(16号の2の2) | |
二次健康診断等給付 | 二次健康診断等給付請求書(16号の10の2) | 病院または診療所を経て所轄労働局 |
※の様式には個人番号を記入する必要あり(引用元:厚生労働省『労災保険給付の概要』)
各請求書の様式は、厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」から取得できるので、必要に応じてプリントアウトしましょう。
書類によっては、会社側に「事業主証明」欄へ記入をしてもらい、病院側にも「医師又は歯科医師等の証明」欄へ記入をしてもらう必要があるため、請求書の記入箇所については、しっかり確認しておきましょう。
書類の用意ができたら、記入例などに従って必要事項を記入し、労働基準監督署に提出します。
給付申請の手順③:労働基準監督署に書類を提出
続いて、②で用意した書類を労働基準監督署に提出もしくは郵送します。労働基準監督署は全国にありますが、会社を管轄している所轄の労働基準監督署が提出先になります。労働基準監督署のくわしい所在地は、厚生労働省「全国労働基準監督署の所在案内」で確認しましょう。
提出後は、労働基準監督署によって労災認定の判断をするために、労働基準監督署により、災害の関係者や同僚、上司のほか、病院関係者、主治医などへの聞き取り調査が開始されます。
給付申請の手順④:指定口座へ振り込み
労働基準監督署が労災保険の給付の可否を決め、労災が認定されれば、給付金が指定口座へと振り込まれます。請求書の受理から給付決定までの期間は、およそ3ヵ月といわれており、申請後すぐにお金が振り込まれるわけではないことを覚えておきましょう。
【FAQ】労災にまつわるよくある質問
最後に、労災についてのよくある質問について紹介します。
Q.会社が労災を認めなかったら?
もしも、会社が労災を認めず、請求書への記入や労災の手続きに協力してくれなかった場合は、どうすればよいのでしょうか。
具体的な対処方法としては、以下の2つがあります。
- 労働基準監督署や社会保険労務士に相談する
- 会社の証明欄は無記入のまま、請求書を提出する
前提として、労災かどうかを判断するのは会社ではなく、労働基準監督署です。そのため、会社が非協力的な場合には、労働基準監督署や社会保険労務士に直接相談するとよいでしょう。
また、会社の証明欄に記入してくれない場合は、無記入のまま請求書を提出することも可能です。この場合は、申請書提出時に「会社が証明を拒否したため未記入」などコメントを付記して申請します。提出さえできれば、労働基準監督署が調査を始めてくれます。
労災保険を使うことは、労働者の権利です。会社が認めてくれない場合であっても諦めず、紹介した方法で対処してみてください。
Q.労災がおきたらいつまでに申請すればいい?
労災保険の給付には、補償の種類ごとに申請期限が決められているため、注意が必要です!
給付内容 | 申請期限 |
---|---|
療養(補償)等給付 | 治療費を払った日の翌日から2年 |
休業(補償)等給付 | 賃金を受けない日の翌日から2年 |
傷病(補償)等年⾦ | なし |
障害(補償)等給付 | 傷病が治癒(症状固定)した日の翌日から5年 |
介護(補償)等給付 | 介護を受けた月の翌月1日から2年 |
遺族(補償)等給付 | 労働者が亡くなった日の翌日から5年 |
葬祭料等(葬祭給付) | 労働者が亡くなった日の翌日から5年 |
⼆次健康診断等給付 | なし |
また、労災保険の給付は、さかのぼって請求することができません。あと回しにしたりせず、申請期限内に手続きを済ませるようにしましょう。
Q.労災が認定されたらいくらもらえる?
先ほど紹介した8つの給付内容のうち、「療養(補償)等給付」の場合は、治癒までに必要な療養や医療費を全額補償してくれるため、複雑な計算は必要ありません。
そのほかの7つについては、労災認定を受けた人がそれまでにもらっていた給与や賞与をもとに、給付額が計算されます。また、給付の種類や労災内容の程度によっても、もらえる金額が異なることを覚えておきましょう。
給付の種類ごとの給付額の詳細は、厚生労働省「労災保険給付の概要」で確認できるため、万が一自分や家族が労災に遭ってしまった場合は、参考にしてみてください。
今回は、労災保険のなかでも、「休業(補償)等給付」と「傷病(補償)等給付」でもらえる給付額について、具体例を交えて試算してみましたので、ご確認ください。
●「休業(補償)等給付」でもらえる給付額の具体例
「休業(補償)等給付」の場合は、労災が原因で休業に入った4日後から、1日につき給付基礎日額の80%相当が給付されます。給付基礎日額とは、災害が発生した日以前3ヵ月間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で割った金額のことを指します。
簡単にいえば、過去3ヵ月間の大体の日当を算出し、その8割相当が休業している間に給付されるということです。
ちなみに、80%相当の内訳は、以下の通りです。
- 休業(補償)給付として給付基礎日額の60%
- 休業特別支給金として給付基礎日額の20%
具体例をもとに、もらえる給付金額を計算してみましょう。
<被災労働者の詳細> 被災労働者:Aさん 月収:20万円 状況:労災が10月に発生し、2週間(14日間)仕事を休業した |
- 給付基礎日額を計算する
20万円×3ヵ月÷92日(7月は31日、8月は31日、9月は30日)≒6,521円73銭
(給付基礎日額に1円未満の端数がある場合は、1円に切り上げる) - 給付基礎日額をもとに休業(補償)等給付の合計額を計算する
休業(補償)給付:(6,522円×60%)=3,913円20銭・・・・・・・・・・(1)
休業特別支給金:(6,522円×20%)=1,304円40銭・・・・・・・・・・(2)
(1円未満の端数がある場合は、切り捨てる)
(1)+(2)=3,913円+1,304円=合計5,217円 - 休業(補償)等給付の合計額を休業日数分に乗じる
休業(補償)等給付は、休業4日後から給付されるので、5,217円×(14日-3日)=5万7,387円
Aさんの労災保険の給付総額は、5万7,387円となります。
●「傷病(補償)等年金」でもらえる給付額の具体例
次に、「傷病(補償)等年金」でもらえる給付額について、紹介します。
「傷病(補償)等年金」は、労災が起きた日から1年6ヵ月を過ぎても「傷病が治っていない」かつ「傷病が傷病等級第1級~3級に当てはまる」場合においては、障害の程度に応じて給付金が支給されます。
傷病等級と給付される額面については、以下の表をご確認ください。
<傷病等級表>労働者災害補償保険法施行規則 別表第二 傷病等級表
傷病等級 | 給付内容 | 障害の状態 |
---|---|---|
第1級 | 当該障害の状態が継続している期間1年につき給付基礎日額の313日分 |
|
第2級 | 同 277日分 |
|
第3級 | 同 245日分 |
|
(引用元:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』)
<給付の内容>
傷病等級に応じて、傷病(補償)等年金、傷病特別支給金および傷病特別年金が支給されます。
傷病等級 | 傷病(補償)等年金 | 傷病特別支給金(一時金) | 傷病特別年金 |
---|---|---|---|
第1級 | 給付基礎日額の313日分 | 114万円 | 算定基礎日額の313日分 |
第2級 | 〃 277日分 | 107万円 | 〃 277日分 |
第3級 | 〃 245日分 | 100万円 | 〃 245日分 |
(引用元:厚生労働省『休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続』)
等級は、1級がもっとも障害の程度が重く、その分給付額も高額になっており、等級が下がるにつれて給付額も少なくなっていきます。
また、表にある算定基礎日額とは、労災当日以前1年間の賞与総額を365で割った額(上限150万円)のことです。
以下、具体例をもとに、試算していきましょう。
<被災労働者の詳細> 被災労働者:Bさん 月収:20万円(過去1年間の賞与総額40万) 状況:労災が10月に発生し、片目を失明。また、他眼の視力が0.05となった(等級3級に相当) |
- 給付基礎日額を計算する
20万円×3ヵ月÷92日(7月は31日、8月は31日、9月は30日)≒6,521円73銭≒6,522円 - 給付基礎日額をもとに傷病(補償)等年金を計算する
6,522円×245日(等級3級)=159万7,890円・・・・・・・・・・(1) - 算定基礎日額を計算する
40万円÷365日=1,095円89銭≒1,096円
(算定基礎日額に1円未満の端数がある場合は、1円に切り上げる) - 算定基礎日額をもとに傷病特別年金を計算する
1,096円×245日(等級3級)=26万8,520円・・・・・・・・・・(2) - 傷病(補償)等年金の合計額を計算する
(1)+傷病特別支給金(等級3級)+(2)=159万7,890円
159万7,890円+100万円+26万8,520円=286万6,480円
Bさんの労災保険の給付総額は、286万6,480円となります。
Q.タイミーでは労災保険に加入できる?
タイミーでスキマバイトをするときには、労災保険が適用されます(雇用契約の募集のみ)。
適用される場合の手続きについては、雇用主である事業者様とワーカー様でお手続きいただくことになるため、勤務先の事業者様とご相談ください。
▼ワーカー様サポートページはこちら
労災は適用される?
まとめ
今回は、どのような怪我や事故が労災になるのか、労災が起きた場合はどうすればよいのかについて紹介してきました。とくに、労災保険の申請には期限が決められているため、労災が起きてしまったときには、期限内に忘れずに申請するようにしましょう。
とはいえ、自分の身体を身体を守るためにも、仕事中や通勤途中での怪我や事故は起こさないようにすることが何より大切です(記事はこちら)。怪我を負わないように注意深く仕事に取り組むほか、注意力が散漫になるようなハードワークをしないなど、日頃から予防や対策をするように心がけていきましょう。
- 監修者
- 社会保険労務士法人スマイング 特定社会保険労務士 成澤 紀美
社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保健労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT企業関連。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生®️(商標登録済み)」を展開。
https://www.it-jinji.net/