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履歴書の健康状態欄の書き方に悩んだことはありませんか?とくに持病や既往歴がある場合、どこまで詳しく書くべきか、記載することで選考に不利にならないかと心配になる人もいるでしょう。この記事では、履歴書の健康状態欄の基本的な書き方をはじめ、持病や既往歴がある場合の書き方など、さまざまなケースに応じた正しい記入方法を解説します。
履歴書に健康状態を書く理由
履歴書に健康状態を書く主な理由は、応募者が希望する職種において、病気による業務への影響がないかどうかを企業が判断するためです。これは、採用後の配属先や業務内容の検討材料として重要な情報となります。
一方で、厚生労働省は「健康状態など、適性と能力に関係ない事項を応募用紙に記入させたり面接で尋ねたりすることや、合理的・客観的な必要性がないにもかかわらず選考時に健康診断を実施することは就職差別につながる恐れがある」という考え方を示しています。つまり、企業は応募者の健康状態を採用の直接的な判断材料とすることは望ましくないということです。
背景としては、健康状態による差別を防ぎ、応募者の適性や能力を重視した公正な採用選考を実現するという目的があります。そのため、健康状態欄の記入内容が直接的に採否を左右することはあってはならないことなのです。
履歴書の健康状態欄の正しい書き方
履歴書の健康状態欄は、空欄のまま提出するのは避けましょう。健康状態に問題がない場合は「良好」と記入し、持病があったり通院が必要な場合は、適切なかたちで記入します。
具体的な記入内容は、業務への影響の有無によって変わります。たとえば、定期的な通院が必要でも公休日に通院できる場合と、業務時間中の通院が必要な場合では、記入方法が異なります。
以下では、健康状態別の具体的な書き方について、例文を交えながら詳しく解説していきます。これらの例を参考に、自分の状況に合った適切な記入方法を選択しましょう。
健康状態に問題がない場合
健康状態にとくに問題がない場合は、シンプルに「良好」と記入するのが基本です。ここでいう「問題がない」とは、日常的な業務遂行に支障をきたすような症状や通院の必要がない状態を指します。
たとえば、一時的な風邪や軽い体調不良は、健康状態欄での報告は必要ありません。また、入社時までに完治が見込める一時的な怪我の場合も、「良好」と記入して問題ありません。
ただし、松葉杖の使用やギプスの装着など、面接時に明らかにわかるような怪我がある場合は、以下の括弧書きのように一言補足を加えることで、採用担当者に余計な心配をかけずに済みます。
【書き方例】
健康状態 |
良好 (現在右足を骨折していますが、1か月後には完治予定です。業務に支障はありません) |
持病や既往歴がある場合
持病がある場合、その症状が業務に与える影響の程度によって健康状態欄の書き方が変わってきます。重要なポイントは、必要以上に詳しく書く必要はないということです。
具体的な病名を記入する必要はなく、業務への影響の有無と、通院のために休暇を取得する必要があるかどうかといった配慮事項を簡潔に記入するのが望ましいです。たとえば、月1回の定期通院が必要な場合は、以下のような書き方になります。
【書き方例】
健康状態 |
通常業務に支障はありませんが、定期通院のため、月1回の頻度で午前半休の取得を希望いたします。 |
持病があり通院中でも、業務に影響がなく公休日に通院できる場合は「良好」と記入できます。
また、既往歴は「過去にかかった病気や怪我で、現在は通院などの必要がなく完治しているもの」であることから、詳細を記入する必要はないため、「良好」と記入しましょう。
業務に支障がないと判断できる健康状態とは?
業務に支障がないと判断できる健康状態とは、日常的な業務遂行に特別な配慮や制限が必要ない状態を指します。たとえば、花粉症や軽度の肩こり、定期的な通院が公休日で済む高血圧などが該当します。
具体的には、以下のような状態が「業務に支障がない」と判断できます。
- 症状が安定しており、日常生活に支障がない
- 通院が必要でも公休日に対応可能
- 服薬管理が必要でも休憩時間内に対応できる
- 業務内容の制限や特別な配慮が不要
これらの場合は、健康状態欄には「良好」と記入しましょう。ただし、状況が変化する可能性がある場合は、面接時に詳しく説明できるよう準備しておくことをおすすめします。
業務時間中に通院などが必要な場合の書き方
業務時間中に通院が必要な場合は、その頻度と必要な休暇の取得について具体的に記入します。これは、企業側が業務のスケジュール調整や人員配置を検討するうえで必要な情報となるためです。
記入例は以下のとおりです。
- 「通常業務に支障はありませんが、3か月に1回、午後半休での通院を希望いたします」
- 「通常業務には差し支えありませんが、月1回程度の定期通院のため、1日休暇の取得を希望いたします」
このとき、以下の3点を必ず含めるようにしましょう。
- 基本的な業務遂行に支障がないこと
- 通院の頻度(3か月に1回、月1回など)
- 必要な休暇の種類(午前半休、午後半休、終日など)
病気や怪我が原因で前職を退職している場合
以前に勤めていた職場を健康上の理由で退職した場合でも、すでに回復していて業務に支障がない状態であれば、健康状態欄には「良好」と記入するかたちで問題ありません。履歴書にはあくまで「現在の健康状態」を記入すればよいからです。
もちろん、経過観察などで定期的な通院が必要で、休暇を取得する可能性がある場合は、先に説明した「健康状態に問題がない場合」の書き方例を参考に、その旨を伝えましょう。
病気や怪我が原因で前職を退職したことや、具体的な病名・症状を履歴書に記載する必要はありません。もしも面接で退職の経緯を質問された際には、「現在は問題なく業務を遂行できる」ということをしっかり説明しましょう。
履歴書の健康状態欄を書く際、病気を隠すとどうなる?
業務に影響を与える可能性がある病気を患っている場合は、履歴書の健康状態欄に必ず記載しましょう。休暇を取得して定期的に通院する必要がある病気のことを隠して「良好」と記入することは、重大な信用問題につながります。
多くの企業では、採用が決定した後に健康診断書の提出を求められます。履歴書の健康状態と健康診断書の結果に相違があると、内定が取り消される可能性があります。
また、入社後に業務に支障がある持病が発覚した場合も、履歴書の虚偽記載として処分の対象となる恐れがあります。
企業にとって、従業員の健康状態を把握することは、適切な業務配分や職場環境の整備において重要です。正直に申告することで、むしろ会社側から必要な配慮や支援を受けられる可能性が高まります。長期的な信頼関係を築くためにも、健康状態は正直に申告しましょう。
履歴書に健康状態欄がない場合は書かなくてもいい?
履歴書のフォーマットによっては、健康状態欄が設けられていない場合があります。健康状態が良好でとくに問題がなければ、あえて健康状態に関する情報を記入する必要はありません。しかし、業務に影響を与える可能性のある持病を患っていたり、休暇を取得して定期的な通院が必要だったりする場合は、別途記入することをおすすめします。
健康状態欄がない場合は、備考欄や特記事項欄に記入するとよいでしょう。必要な情報を簡潔に記載することで、企業も採用後の対応を検討しやすくなります。
まとめ
履歴書の健康状態欄は、応募者と企業の双方にとって重要な情報です。健康状態が良好な場合は「良好」と記入し、通院や業務上の配慮が必要な場合は、具体的に説明することが大切です。とくに重要なポイントは以下の3点です。
- 健康状態は正直に申告し、隠さないこと
- 業務に影響がある場合は、必要な配慮事項を明確に記入すること
- 健康状態欄がない場合でも、必要に応じて備考欄などに記入すること
これらのポイントを押さえて記入することで、企業との信頼関係を築き、安定した就業環境を確保できます。