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「志を持ち、誠を尽くす」を企業理念とするシセイ・アグリ株式会社は、大分県豊後大野市で白ネギを中心とした農産物の生産・販売を行っています。
栽培が難しいと言われている白ネギに注目し、一年を通して安定的に白ネギを生産・収穫する仕組み構築のため、試行錯誤を繰り返す日々です。
「安定的供給」実現に向けて、利用し始めたのがタイミー。収穫や出荷作業の人材確保はもちろんのこと、実は「将来、戦略を担えるような人材採用にピッタリ」だと話します。
そこで、出荷作業中の現場にお邪魔すると同時に、代表取締役社長である、衞藤 勲さんに農業経営におけるタイミーの具体的な活用法についてお話をお伺いしました。
「農業は人が来ない」そんな概念を打ち砕いたタイミー
——衛藤さんは2代目ですが、先代は元々違う事業を運営されていたと聞いています。なぜ農業をやりはじめたのでしょうか。
もともと親父の代では、堆肥屋だったんですよ。その影響もあって土づくりにはかなりこだわっていますね。自分は長男だったし「いずれ会社を継ぐんだろう」と思ったときに、土づくりのノウハウに加え、豊後大野は阿蘇山火山灰の土壌という環境もあって、農業が最適なんじゃないかと考えました。
長ネギをやろうと思ったのは、他の野菜より育てるのがめちゃくちゃ難しいから。出荷も手間取るし、作り方で姿が変わってくるんですよ。キャベツも白菜も、トマトも、スイートコーンも……。これまでたくさんの品目を作ってきた中で、難しいけどその分挑戦しがいがあるなと思って長ネギをメインに育てることに決めました。経営者として困難な環境に飛び込んでみたかったのかもしれませんね。
——挑戦心を胸に農業に飛び込まれたわけですね。なぜ御社でタイミーを導入しようと思ったのですか?
農業をやってて感じたのは「人材がやってこない」ということでした。農地はもちろん事業を拡大し続ける中で、圧倒的に人が足らないんです。これはどこの農家さんでも同じ悩みを抱えていると思います。
それまでは、農業専門の求人媒体や人材紹介サービスを利用していました。スカウトメールも試してみたけども、なかなか良い手応えを得られなかったんです。外国人派遣に頼っていた部分が多かったですね。その仕組みを活用し、一年を通じて安定した労働力を確保でき、波を作らないようにしていました。しかしそれでも足りないですし、人件費がかかります。海外留学生で言えば、期間が来れば国に帰ってしまう……。経営者として長い目線で考えたときに、会社を持続的に成長させていくためには、ここに根付いて活躍してくれる人材が大事なんですよ。
そんなとき、農業法人協会での会食に参加した際に、「うち、タイミー使ってるよ」と紹介していただきました。
——タイミーに対して最初どのような印象を持たれましたか?
どの農家さんも一緒かもしれないですけど、「農業なんて、どうせ来ないでしょ?」って半信半疑でした(笑)。でも、そこの農園さんは、タイミーからきたワーカーさんの中で良い人材がいたから事務職として採用したって言っていて。引き抜きしてもいいんだって驚きましたよ。じゃあ、とりあえずはじめてみるかと問い合わせしました。
新規事業を任せられる人材の引き抜きに成功
——タイミー導入にあたって、何か意識・工夫されたことについて教えてください。
特別に何かやったわけではないけど、まずは何事もはじめが肝心だろうと思って。「仕事内容を読んでもよくわからない」という状態は避けようと思いました。できるだけ働いてもらうイメージができるように、現場の雰囲気がわかるような写真を撮影したり、仕事内容を具体的に書くように心掛けたり。とにかく、農業って大変とか辛いとか専門的だとか想像されるだろうから、ハードルを上げないようにしました。
それにタイミーは、レビュー機能っていってお互いに評価できる機能があるじゃないですか。レビューに何を書いてもらえるかって結構大事だと思ったので、スタートダッシュはよくしておこうと思いました。
——現在も衞藤さんがタイミーで人員管理をされているんですか?
今は、現場スタッフにタイミーの管理を任せるようになりました。今月売り上げを達成させるために、どのくらい人材が必要かを見立てて募集しています。
ただね、便利だからってついついタイミーを使うのはいいんだけど、ちゃんと人件費と売り上げのバランスを意識してほしいから「経営視点をもっと身につけないとね」って言ってます。
しかし、次第に「ただ人が増えれば効率がよくなる」という考えから、人員の配置や受け入れの体制を見直すなど、スタッフの考え方も変わってきたように感じています。
——従業員の意識にも影響があったんですね。その他に、タイミーを利用してどのような感想がありますか?
タイミーは採用ツールとしてとても有効だと思います。
まずは体験してもらって「農業ってこんな感じなんだ」と理解してもらうことは大きいですし。さらに、そこから良い動きをしている人、目の輝きがある人……など気になった人に声をかけることもできますよね。導入1か月半ほどで、新規事業を担ってもらえる人を採用することができました。
経営者として事業を拡大していくためには、作業人員ももちろん大事。でも、この人を採用したら構想していた事業が拡大するって思えたんですよ。おかげさまですでに3名引き抜きでき、意外なところに採用ツールがあったなと嬉しいですね。
「自分が必要とされている」正社員として入社を決めた理由(元ワーカーインタビュー)
——ここで、2024年6月に正社員として入社した、元ワーカーの久下さんにお話をお伺いします。タイミーで働き始めた経緯について教えてください。
前職は、水回りの設備工事の仕事をしていました。次の就職先を考えた際、いろんな業界を見てみたいなと思ってタイミーを登録したんです。例えばグランピング施設で働いたり、旅館でベッドメイキングを担当したり。新しいことに挑戦したいな、とさまざまな仕事に申し込んでいたんです。ちょうどその時に、シセイ・アグリの募集を見つけたんです。学生時代に農家さんでアルバイトをしていたこともあり、懐かしいなと思って。
——そこから就職先としてシセイ・アグリさんを選んだのはなぜだったのでしょうか?
何回か働いているうちに、課長に「うちで働かない?」って声をかけていただいたんです。そのときに、就職先として意識するようになりました。得意なことを発揮できる環境だったし、職場の雰囲気もとても良かったんですが、何よりも必要とされていることが嬉しかったんです。社長と話して経営方針にも共感して、入社を決めました。
——現在はどんなことをされているんですか?
今は調整場(作業場)をまとめるポジションを任されています。1日の生産量目標から1時間あたりの生産量を計算したり、数字を振り返って生産量が伸びた理由を分析したり。想像以上に数字と向き合う仕事で、面白いです。
頑張れば評価してもらえる会社なので、主任、課長とキャリアアップを目指しつつ「あいつなら任せられる」と思ってもらえるような人材になりたいです。
優秀な人材が「農業で働く」ことを選択する世の中へ
——再度、衞藤さんにお伺いします。シセイ・アグリさんは、白ネギ新ブランド「おもしろいねぎ」を立ち上げたりと、勢力的な活動をされていますが、今後の展望などについて教えてください。
そうですね。正直収穫量が伸びたので、それに合わせて売り上げも伸びていますね。安定的に人員を確保できるようになったことはやっぱり大きいと思います。
よく従業員には、「俺らは農家ではなく、メーカーなんだ」という話をしています。長ネギを選んだのは安定的な供給が見込めたのも大きかったんですけどね。どうしても農業は季節や気象条件に左右されて安定的な生産が見込めない業界だと言われています。出荷量が過剰になると価格は落ちる、価格が高騰しても生産が追いつかない……。それだと農家はいつまで経っても稼げません。だから、一定の価格を維持するためにも、農家はメーカー的視点を持たないといけないんです。
そのためには、安定的な供給づくりはもちろん、年間を通して長ネギを選んでいただけるようなブランディングの強化は必要ですね。また、新たにコントラクター事業も開始しました。高齢化が進む中で耕作放棄地は増加の一途をたどっており、この地方もその限りです。だから法人として体力があるうちのような会社が生産を請け負うことが大事ですし、広大な畑を持つことで機械化も促進できますし。
そのためにやはり、採用は経営戦略の要になりますね。
——最後に、衞藤さんの「今後解決したい課題」について教えてください。
優秀な人材が農業に参加したいって思ってもらえるような業界にならないといけないと思っています。別の業界でも十分に活躍できるような人材が、農業を働く場所として選択してもらうためには、他よりも稼ぎが得られるような体制にしないといけない。自戒を込めて言いますが、「どうせ無理でしょ」と現状に甘んじていたら成長は見込めないんじゃないでしょうか。
農業ってすごい面白いんですよ。だからシセイ・アグリが率先して面白い会社であり続けたいと思ってます。タイミーっていう良い人材を引き抜けるツールを手にできたので、それをどうやって有効に利用していくのか。そして、会社をどのように伸ばしていくか。次は私たちが考えていく番ですね。
- タイミーラボ編集部
タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。
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