私のタイミー生活

天職を見つけるにはどうしたらいい?キャリアカウンセリングのプロ 岡千尋さんに聞いてみた

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天職を見つけるにはどうしたらいい?キャリアカウンセリングのプロ 岡千尋さんに聞いてみた

目次

世の中には、数え切れないほど多くの仕事があります。その中から、「これが自分にとっての天職だ」と思える仕事を見つけられたら、とっても素敵ですよね。でも実際は、「どうすれば見つけられる?」「今の仕事は自分にとっての天職なのかな?」と迷う方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、キャリアカウンセリングのプロであり「キャリアカウンセリングは自分にとって天職」という岡千尋さんに、お話を聞いてみることにしました。

岡さんは、人材業界大手のリクルートでキャリア支援の実績を積み、そのあと2度の転職をしてから、キャリアカウンセリングを主事業とするベンチャー企業の執行役員として活躍されました。先日同社を退職されて、今は新たなキャリアに挑戦しています。

そもそも天職とはなんでしょうか。そして、岡さん自身はどのように天職を見つけてきたのか。天職と思える仕事に出会うためのヒントを教えていただきました!

天職とは、自分の「想い」を実現する最適な手段

——いきなり本題から入りたいと思いますが、岡さんは「天職」をどのようなものだと考えていますか?

天職を辞書で調べてみると「天から授かった職業。また、その人の天性に最も合った職業」などと書いてあります。きっと、世の中にある数多の仕事のなかから「運命的に出会うものであり、出会ったらそれを全うするのが正解」みたいなイメージを持たれている方も多いと思うんです。

でも、私が考える定義はちょっと違います。私は天職を、「こういう自分になりたい」「こういう社会になったら嬉しい」などの“想い”を実現するための「最適な手段」と考えているんです。

天職はあくまで手段なので、時代や自分の価値観、ライフステージの変化によって変わる可能性があります。もし「目の前の仕事が最適な手段だ」と思えているなら、それが自分にとっての「今の天職」と考えればいい。あまり重々しく考える必要はありません。

「天職にどうやったら出会えるか」よりも「自分がどんな想いを実現したいのか」を考えたほうが、天職と出会いやすいと思います。

天職と出会いやすいと思います。

自分を否定するノイズ、評価を気にする心が「想い」を見えなくする

——天職と出会うかどうかは運の要素が大きいと思っていたのですが、だいぶイメージが変わりますね。ただ、「自分が実現したい想い」を明確にするのが、そもそも難しそう......。

たしかに、簡単ではないですよね。前職でたくさんの方のキャリアカウンセリングをしてきましたが、9割くらいの方が「実現したいことがわからない」とおっしゃっていました。

でも、そうした方々も話を聞いていくうちに徐々に見えてくるんですよ。最初から想いを持っていない人はいなくて、何かしらの原因で見えづらくなっているのだと思います。

——想いが見えづらくなる原因にはどんなパターンがあるんですか?

ひとつは、「心の中のノイズ(雑音)」によってかき消されてしまうパターンです。たとえば、子どものときに「やりたい」と思ったことを、親や周りから「あなたには無理」と否定され続けたケース。そうした方は、なにかしらの自分の想いを見つけたとしても「自分にはどうせ無理」というノイズによって、なかったことにしてしまうんです。

また、「世間体や他者の評価」を気にしすぎて、想いが見えづらくなるパターンもあります。過去相談に乗った年収数千万も稼いでいる方が、まさにそうでした。自分のキャリアに不満を感じて相談に来られたのですが、その方はもっと稼げば不満が解消すると思い込んでいたんです。

でも、すでに数千万円の年収があるんですよ。それが少し増えたところで、大きく変わるとは思えません。年収や役職という「外側」のことを追い求めてきたので、自分の「内側」でなにを求めているのかが、わからなくなっていたのだと思います。

自分の「内側」でなにを求めているのか

——そうしたパターンに当てはまる人は、どう「想い」を見つけていけばいいのでしょう。キャリアカウンセリングの経験から教えていただけますか?

自分の想いを自分で否定してしまう方には、まず自信を持ってもらえるようにします。その方が過去に実現してきたことや、その方自身の素敵なところを事実ベースで伝えていく。「あなたはやりたいことを実現できる」と、一貫して伝え続けるんです。他者からの承認は、自信を持つための土台をつくってくれます。そして、「自分には無理だ」というノイズが少しずつ消えていくことで、自分の想いが聞こえるようになっていくんです。

世間体や他者の評価を気にしすぎてしまう人には、その方の本当に求めていることを深掘りしていきます。よくキャリアカウンセリングで問いかけたのは「誰になんと言われようと、自分がやりたいことは?」という質問です。先ほどの高年収の方はその問いに向き合い、「幼少期から憧れていたエンタメの世界に携わりたい」という想いに気づきました。いまは副業でエンタメに関わるようになり、以前よりもずっと生き生きと働かれています。

「向いていること」をやり切れば、天職に変わっていく

——自分の内側に向き合うことと、土台となる自信をつけることが「想い」の発見につながる、と。天職とは「想いを実現する最適な手段」という話がありましたが、「最適な手段」を見つけるためにはどうしたらいいでしょう?

前提として、「最適」というのは、客観的な正しさのことではなく、自分にとって「これが一番いい」と感じるもののことです。「プロサッカー選手になりたい」と本気で思っている人が、プロサッカー選手としてプレーできていたら、それはその人にとって最適な手段、つまり天職と言えます。

ただ、すべての人が「やりたいこと」をいきなり仕事にできるわけではありません。プロサッカー選手のような職業になれるのは、才能と運がある一握りの人たち。だから、基本的には「向いていること」から考えるのがいいと思っています。

——岡さん自身も「向いていること」から考えていったんですか?

そうですね。今はキャリアカウンセリングの仕事が天職だと思っていますが、最初から人材業界の仕事をやりたかったわけではありません。

人材業界で、人と向き合う仕事を始めたのは、社会人2年目にリクルートへ転職してから。転職の理由は、一緒に働きたいと思える上司がいたことや、それまで地方の銀行員としてくすぶっていた自分の人生を一発逆転したい、といった想いからです。

ただ、入社後少しして、無職の方やフリーターの方へのキャリアカウンセリングを行う事業に関わるようになり、徐々にこの仕事が自分に向いているのではないかと思い始めたんです。

徐々にこの仕事が自分に向いているのではないかと

——なにかきっかけがあったんでしょうか?

学生時代から、部活で人間関係の調整役をしたり、人の気持ちに寄り添う役割をしたりしていたことを思い出したんです。たとえば、レギュラーになれなくて落ち込んでいる子たちを元気付けたり、疎外感を感じないように声をかけたりしていました。

無職やフリーターの方のなかにも、社会からの疎外感を感じている方もいます。そうした方々の就職を支援して、ある意味で「社会につなげ直す」という仕事は、自分が前からやってきたことだとリンクしたんです。

——過去の経験と結びついて「向いている仕事」だと確信したんですね。

そうです。だから私は、向いている仕事のヒントは、自分の中に必ずあると思っています。「目の前の落ち込んでいる人を励ますのが得意」なんて、社会全体から見たら、ちょっとしたことのようにも思えますよね。でも、それが私にとっては大切な軸となりました。

外側に目を向けて、人気の仕事を探したり、有名な人を真似したりするのも大事ですが、自分自身の内側や過去に目を向けることも大切だと思います。「これが向いているかもしれない」と思えることが見つかったら、あとは行動を積み重ねていくだけ。「やっぱり間違っていなかったな」と思えたら、それがあなたの今の天職だと思います。

——行動を積み重ねていく際には、どのようなことを意識するといいでしょうか?

誰になんと言われようと、気が済むまでやり切ってみることです。中途半端に始めて、中途半端に諦めていたら、後々、後悔すると思います。なにかを始めるときは、周りから反対されることもありますよね。でも、その声に惑わされず、自分の気持ちを大事にしてほしいです。

やり切れば、「向いている仕事」が「天職だった」ということに気づいたり、「やっぱり違った」と納得できたりします。冒頭で「天職とは変わるもの」と話したように、「もう十分やったから、別のことをしよう」と思えたりもするんです。

「もう十分やったから、別のことをしよう」

私自身も、リクルートから2度転職して、ベンチャー企業の執行役員としてキャリアカウンセリング事業に5年間従事したのち、先日卒業しました。そう選択できたのは、「この期間、誰よりもキャリアカウンセリングをしてきた」という自負を持つことができ、次の挑戦をしたいと思えたからなんです。

結果を気にしすぎず、挑戦すること自体を「GOOD」と捉える

——とはいえ、今やっていることを手放して、新しい可能性に挑戦するのって不安もあると思います。どういう心持ちでいれば一歩踏み出しやすくなるでしょうか?

手放すもののことばかり考えたら、不安になりますよね。私の場合も、転職によって年収が下がることを経験しました。でも、手放すもの以上に得られるものがたくさんある、と思えたから挑戦できたんです。

大企業からベンチャー企業へ転職できたのもそう。キャリアカウンセリングをど真ん中でできることと、転職時はまだ小さかった会社を大きく成長させる経験が、将来の自分にとって意味があると思えたから決断できました。

——不安よりも期待が大きいと挑戦できるということですね。

あとは、「挑戦していること自体を自分で認めてあげる」ことも大切だと思います。私もキャリアの中でうまくいかないことは、たくさんありました。でも、どんなに不甲斐ない時期も、結果が出せない時期も、挑戦し続けていることに対しては「GOODだよね」と言い聞かせてきたんです。

やっぱり、結果って運によるところが大きいじゃないですか。受験だって、どれだけ努力しても、他者との比較のなかで合否が決まる。だから、結果がふるわなかったとしても、自分の努力の過程まで否定する必要はありません。「挑戦する」という体験から、なにかしらの学びや気づきを得られたら、それだけで「GOOD」。そんな考え方ができれば、一歩が踏み出しやすくなると思います。

一歩が踏み出しやすくなると思います。

——「体験」から得られるものに目を向けるという考え方は、先日取材した仏教僧侶の草薙さんのお話とも重なります。キャリア支援のプロである岡さんから見て、タイミーのようなスポットワークは、挑戦の一歩を後押しすることや、天職を見つけることにどんな影響があると思いますか?

スポットワークのように、やってみたい仕事を「つまみ食い」できるのって、すごくいいことだと思います。挑戦の第一歩としてハードルが高くないし、そこで向いている仕事を見つけることもできるかもしれません。

また、「自分にあっている環境探し」にも役立ちますよね。同じ仕事をするにしても、どんな環境でどんな人たちとやるかによって、快適さは全然違います。細かく指示されるのがいいのか、放任されたほうがいいのかなど、働く際に自分が大事にしたいことがわかると思います。

タイミーをより効果的に使う方法としては、働いて気づいたことや学んだことを、なるべく次に活かす意識を持つのがおすすめです。難しく考える必要はなくて、仕事のなかで「楽しかったこと」を思い返して、「なんで楽しかったのか」を考えてみるだけ。それだけで、自分の想いや価値観を知るきっかけになるのではないでしょうか。

自分なりの小さなチャレンジから始めよう

——「つまみ食い」っていい表現ですね。もちろん働く際は真剣に、という前提で、いろんな仕事をどんどんつまみ食いできるような社会になったら、天職を見つけられる人も増えるかもしれませんね。

「つまみ食い」って、言ってみれば小さなチャレンジですよね。それを繰り返すことで、「なにが好きか、なにが向いているのか」がわかってくると思いますし、「自分ならできる」という自信にもつながると思うんです。

天職を見つけるために必要なこととして話してきた、「自分の想い」「向いている仕事」「土台となる自信」はすべて、小さなチャレンジを繰り返すことで得られるとも言えるんじゃないでしょうか。挑戦しようとしている自分に「GOOD」を出しながら、取り組んでいってほしいですね。

自分に「GOOD」を出しながら、取り組んでいってほしい

——最後に、岡さん自身の今後のチャレンジについて教えてください。

これまでは、国内で日本人を対象にキャリアカウンセリングを行ってきました。それを天職とできたのは、私自身の根底に「人の可能性を広げたい」という想いがあったからです。その想いは変わりませんが、今後は世界を見据えた挑戦をしていきたいと考えています。

前職を退職してから、仕事をお休みして15か国以上に足を運びました。そこで、海外のビジネスや働く人たちの様子を見て、日本人がグローバルに出ることの重要性を改めて感じました。何らかの形で、日本人や日本企業が世界に挑戦することを後押ししたいと思っています。

これは、日本でしか働いたことのない自分にとって大きな挑戦です。私自身が自分の可能性をさらに広げていくことで、「こんな働き方や選択肢があるんだ」ということを多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。

撮影:村井香

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/media/タイミーラボ編集部
タイミーラボ編集部

タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。

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