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「この道で生きていく」と決心し、まっすぐ突き進む生き方に憧れる一方で、「一つの道に決めきれない」もしくは「そもそもやりたいことが分からない」という方も多いのではないでしょうか。
「なりたいものを、一つに絞る必要はない」と、軽やかな笑顔で話すのは、タイミーワーカーの長田さん。これまでダンスを仕事としてきましたが、今年、ある夢に向けて挑戦をはじめました。
大人になってからタイミーを通じて新たな夢を見つけた長田さんに、これまでの半生と今目指している職業について聞きました。
1本の動画が転機に。ダンスに明け暮れた学生時代
—— ダンサーとしてお仕事をされていた長田さんですが、そもそもダンスに興味をもったきっかけは何だったのでしょう?
ダンスに出会ったのは、小学生の時です。
当時、中学受験を控えていた私は、志望校を選びかねていました。そんな時、ネットサーフィンをしているとたまたま目に飛び込んできたのが、母校のストリートダンス部が踊っている動画でした。
「わたしもこの人たちのように踊りたい!!」と衝動に駆られて、その勢いのまま無事に受験も突破。念願のストリートダンス部に入部することができたんです。中高一貫校の母校は、ダンスでは全国大会の常連校だったこともあり、中学・高校は本当にダンス漬けの毎日でしたね。
—— 1本の動画が長田さんの学生生活を決めたんですね。高校を卒業後は、どのようにしてダンスをお仕事にしていったのでしょうか。
高校時代はストリートダンスの全国大会に毎年出場して、最後の年には『ADHIP 高校ストリートダンス選手権』という大会で優勝することができました。やり切った感情よりも、まだまだダンスに関わりたいという気持ちが強く、高校卒業後は、部活に指導しに来てくれていたプロダンサーさんのスタジオに通い始めたんです。
しばらくして、その方の紹介で別のダンススタジオのレッスンを任せてもらえるようになり、だんだんと仕事につながっていきました。
下積み期間さえも楽しめた
—— 好き」を仕事にするのはなかなか困難なイメージが強いですが、ダンスのお仕事は、最初から順調でしたか?
いえ、最初は順調ではなかったです。当時はレッスンの仕事が少なく、居酒屋やファーストフード店でのアルバイトで生活費をまかなっていました。ダンス1本で食べていける人は一握りだということは覚悟していましたが、やっぱり厳しかったですね......。仕事としてダンスを教える一方で、自分のスキルアップのための個別レッスンも受けていたので、金銭面ではカツカツな暮らしが続いていました。
でも、大好きなダンスに打ち込む毎日だったので、その葛藤を含め下積みのような生活を楽しめていたと思います。
—— 居酒屋やファーストフード店のアルバイトで生計を立てていた長田さんが、タイミーを利用するようになったきっかけは何でしょうか?
高校を卒業して3年程経った頃、ダンスの仕事がだんだんと軌道に乗り、複数のダンススタジオやフィットネスジムでレッスンを担当するようになったんです。レッスンが休みの日曜日も自分が所属するチームでの練習があり、相変わらずダンス漬けの日々を送っていました。
生徒の発表会や大会が近づくと、練習や準備で大忙しで......。とてもじゃないけど、固定シフトのアルバイトなんてできる状態ではありませんでした。そんな時に知り合いからタイミーをオススメされ、予定の合間を縫って働けるのがいいなと思って使いはじめたんです。
タイミーで見つけた、もうひとつのなりたい職業
——タイミーでは、どのようなお仕事をされていましたか?
興味があるものはとにかく色々やってみようと思い、飲食店のキッチンから倉庫でのピッキング作業、配送ドライバーまで幅広い種類の仕事をやりました。未経験の仕事も多かったのですが、そういう仕事ほど自分の向き不向きや適性が分かり、自己分析をしている感覚で面白かったですね。
——そんな中で、長田さんにとってターニングポイントになる出来事があったとか。
ある時、宿泊施設の運営代行会社の仕事を見つけたんです。珍しい会社だったので、いつものように興味本位で申し込んでみました。
仕事内容は、清掃や荷物を運ぶ仕事がメインでした。オープン前の施設だったので、他の社員さんが行なっている内装の様子を見れたことも面白かったです。ある日、社員さんに「ダンス優先でいいから、長期スタッフとして働いてみない?」と声を掛けてもらい、アルバイトとして数ヶ月、その後は正社員として雇用してもらったんです。
働くうちに色んな仕事を任せてもらえるようになりました。宿泊施設をリフォームするために壁を塗ったり、家具を組み立てたり、お部屋をリメイクしたり……。任せてもらったさまざまな業務が、どれも本当に楽しかったですね。
——好きだと思える仕事を見つけられたんですね。
以前から「大改造!!劇的ビフォーアフター(テレビ朝日系)」の番組が大好きで、建築には興味があったんです。タイミーで実際の業務を経験してみることで、「やっぱりものづくりやDIYが好きだな」って再確認できましたね。
ですが、その会社で2年ほど働いた頃、ぎっくり腰を何度か繰り返してしまい、身体のことを考慮して退職。ダンスも休止せざるを得なかったため、当時は「自分には何も残っていないんじゃないか」という喪失感に襲われていました。
——夢中になれるものを2つ同時に失ってしまった......。
ただ休むことしかできない自分に不甲斐なさを感じる日々が続いていたのですが、ある時ダンスの師匠から言われた「過去の自分が今の自分をつくり、未来の自分は今の自分がつくっていく」という言葉を思い出したんです。
それから今を起点に考えようと、改めて自分のやりたいことを見つめ直しているうちに「もっと物件の企画や設計段階から関わりたい」という気持ちが日に日に大きくなっていきました。
この分野を勉強するにはどうしたらいいだろうと自分なりに調べて、建築の基礎が学べる公共の職業訓練施設のポリテクセンター奈良に通うことを決めたんです。
いまは建築士としての就職を目指して、建築の構造や耐震診断手法などの基礎知識を学びながら、CAD図面を作成したり、実習では木材の切り出しや屋根組みを行ったりと、多くのことを経験しています。
覚えること自体は多いのですが、やりたかった建築分野の技能を身につけることができ、だんだんとできることが増えている日々にワクワクしています。
夢中になれることは、いくつあってもいい
——ずいぶん思い切った決断だと思うのですが、周りの人の反応はいかがでしたか?
ダンサー仲間や高校の恩師からも、びっくりされましたね(笑)。10年以上ダンスのことしか頭になかったので、当然と言えば当然の反応だと思います。数年前の自分では考えられない道に進んでいるなと、我ながら驚いています。
でも、個人的にはダンスも建築も「チームで作りあげるもの」「職人気質な面があること」など共通する部分もたくさんあると思っています。そういった意味では自分の中では軸が通っているかなって。こじつけですかね(笑)。
——今後は、ダンスとの関わり方も変わってくるのでしょうか?
しばらくは建築士の夢に全力で向かっていきたいので、一旦お休みしていますが、ダンスを辞めることは全く考えていません。
いまでも全日本高等学校チームダンス選手権大会 関西予選では、司会進行のMCを毎年務めていますし、ポリテクセンター奈良を修了したらまたレッスンを再開しようと考えています。
何かを目指すから別のことを諦めないといけないかというと、それは違うと思うんですよね。好きなことはいくつあってもいいじゃないですか。夢中になれることは、何個でもやったらいいと思っていますし、そういう人が増えたら楽しいなって。
——夢中になれることはいくつあってもいい、素敵な言葉ですね。最後に、これからの目標を教えてください。
まずは建築に関する勉強をしながら、設計事務所に就職することを目指しています。そこで実務経験を積みながら、2級建築士の資格を取得したいです。
もっと先のこと言うと、「長田さんに相談したらなんとなる」「この人に家を建ててもらいたい」と思われるような建築士になるのが目標です。あとは田舎に自ら設計した大きな家を建てて、隣にダンススタジオをつくることができたらいいなと。最終的には、そこでキッズたちにダンスレッスンができたら最高ですね。夢は広がるばかりです。
- タイミーラボ編集部
タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。
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