タイミー通信

「移住の決め手は、人のあたたかさでした」 交流の積み重ねが、地域への「愛着」につながる 

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「移住の決め手は、人のあたたかさでした」 交流の積み重ねが、地域への「愛着」につながる 

目次

タイミートラベルは、地方で「働く」体験を通じて、第二の故郷を見つけられるサービスとして、2019年10月にスタートしました。地方の関係人口*創出を目的とし、地方での仕事や生活を体験したい人と地方の事業者をマッチング。働き手は、地方での仕事や生活の体験を通じて、滞在費を賄いながら「第二の故郷」を見つけることができます。

これまでに100件以上のマッチングを成立させ、「その地域に愛着を持つようになった」「もう一度訪れたい」といった感想を寄せていただくなど、関係人口の創出に貢献してきた本サービス。そしてこの度、宮崎県 都農町(つのちょう)でのタイミートラベル体験参加者が二名、町への移住を決断されました。

今回編集部は、現地コーディネーターとして受け入れ事業者の確保や参加者サポートをしていただいた小松原さんと、スイートピー農園を営む受け入れ事業者の細野さん(Garden Works)、そして都農町に移住された入江さんのもとを訪れ、移住決断の背景を取材しました。
*地域活性化において注目されている、地域と多様に関わる人々を指す言葉

★タイミートラベルについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください

/media/ツノスポーツコミッション 小松原 駿さん
一般社団法人 ツノスポーツコミッション
小松原 駿さん

都農町の地域振興に関わる、一般社団法人 ツノスポーツコミッション所属。都農町でのタイミートラベル実施においては、コーディネーターとして、受け入れ事業者の確保や参加者のサポートにあたる。

/media/Garden Works 細野 啓志郎さん
Garden Works
細野 啓志郎さん

前職では町外の養豚場で勤務。Uターン後、実家のスイートピー農園を継ぎ、栽培から販売・加工まで幅広く事業を展開する。タイミートラベルではスイートピーの手入れ作業(摘芯作業、下葉の除去作業など)を募集。

/media/都農町移住者 入江さん
都農町 移住者(現・都農町 地域おこし協力隊)
入江 庸子さん

東京都出身。2023年中に、2回にわたって都農町でのタイミートラベルに参加。7月に移住後は、地域おこし協力隊として活動。「整理収納アドバイザー」としても活躍中。

10,000人を下回る人口...... 移住施策の推進が急務に

—— これまでの都農町における人材課題は何でしたか?

一般社団法人 ツノスポーツコミッション 小松原 駿さん(以下、小松原さん):
私が所属するツノスポーツコミッションができた2019年当時、都農町の人口は10,000人を切るか切らないかのスレスレの状況でした。当然、このまま人口が減っていけば産業の担い手が減るなど、自治体の存続に関わってきます。

役場の皆さんは、25年間で約2,000人もの人口が減少した事実を前に、移住施策や雇用施策を早急に進めなければといった危機感が芽生え、何度も議論を重ねたそうです。しかし、それまで経験の無いことですし、たくさんの自治体がある中で、目立った観光資源も無い都農町に、どうやって目を向けてもらえばいいのか答えがなかなか見つからなかったようです。

ツノスポーツコミッション 小松原 駿さんツノスポーツコミッション 小松原 駿さん

—— そこに、ツノスポーツコミッションが設立されたと。こちらの団体がどのようなことに取り組まれているのかを教えてください。

小松原さん:
ツノスポーツコミッションは、人・事業・企業を町に呼び込み、スポーツを通じて地域課題の解決を目指している組織です。サッカークラブ(ヴェロスクロノス都農)の誘致や、高校生以下の子どもたちを対象としたツノスポーツアカデミーの運営を通じて、地域における労働力不足や若者の減少といった課題解決に向けた取り組みを行っています。設立から約4年たった今、累計約150人の方が移住しました。

地域の人々との交流体験が、移住の良いきっかけになると確信

—— スポーツを通じた地域課題解決を成し遂げられてきたのですね。そんな中でタイミートラベルをご導入いただいたのには、どのような背景があったのでしょうか?

小松原さん:
スポーツを通じた事業だけでなく、農業分野などさまざまな方を都農に呼び込みたいと考えていた時にタイミーと出会いました。

移住って、言葉で説明されたり、ただ町を観光したりするだけじゃ、なかなか決意できないものだと思うんです。実は僕自身も町外から移住してきた人間でして、兵庫県に住んでいたこともあります。移住を決断した時に共通していたのは、「この町、なんか雰囲気良いな」「この人のそばで、何か面白いことをやりたい」といった、フワッとした感覚だったんです。

タイミートラベルも、「働く」だけじゃなくてその地域の人と交流やさまざまな体験ができますよね。自分自身の経験からも、タイミートラベルは移住してもらうための良いきっかけになると確信しました。

—— 都農町のことを多角的に知ってもらうきっかけになると思っていただいたんですね。では、受け入れ先事業者としてご協力いただいたスイートピー農園の細野さんにお伺いします。なぜ今回、タイミートラベルにてワーカーさんの受け入れをしていただいたのでしょうか?

Garden Works 細野 啓志郎さん(以下、細野さん):
シンプルに面白そうだなって思ったんですよね。これまでも地域の子どもたちを受け入れるイベントに参加したこともありますし、町を盛り上げられるような楽しいことが好きなんです。

1週間のタイミートラベル体験の中で、色々な繋がりを作ったり、スイートピーのことを知ってもらったりできたら嬉しいなと思って受け入れを決めました。

小松原さん:
事業者の方に受け入れをお願いする時は、面白がってくれそうかを重視しました。また、細野さんのように、一度県外に出て戻ってきた人って、外部から見た自分の町の魅力を分かっていらっしゃるんですよね。なので、移住希望者の方の気持ちもわかっていただけるのではと思い、声をかけました。

細野さん:
人手を確保したいというよりはやっぱり、町の良いところを知ってもらったり美味しいものを食べてもらったりして、都農町のことを知ってもらいたいって気持ちが大きかったですね。

Garden Works 細野 啓志郎さんGarden Works 細野 啓志郎さん

タイミートラベルを通じて感じた都農町の魅力とは

—— お二人とも、町のことを知ってもらいたい気持ちが大きかったのですね。今回、都農町に移住された入江さんは、地方への移住の意欲がもともとあったのでしょうか?

都農町移住者 入江さん:
実は、地方への移住は全く視野に入っていませんでした。都農町に来て、初めて頭をよぎったんです。

—— そうだったんですね! それではなぜ、タイミートラベルに参加しようと思ったんですか?

入江さん:
もともと旅行代理店に勤務していたこともあり旅行が大好きで、これまで全国を旅してきました。多くの場所に行くにつれて、まだ行っていない場所に行かなきゃ、主要な観光地を潰さなきゃというタスクをこなすような意識になっていったんです。いつの間にか、「行きたい」ではなく「行かなきゃ」に変わっていました。

そんな時にタイミーのアプリ上でタイミートラベルのことを知り、観光だけではなく、「働く」と「交流」も経験できる内容に興味を持ちました。47都道府県の中でほとんど唯一、宮崎県だけ行ったことがなかったということと、未知の分野である生花の栽培に興味があったこと、の2点から、都農町のスイートピー農園での募集を選びました。

失礼ながら「都農町」の読み方も、宮崎県のこともよく知らず、ヤシの木があって、マンゴーが有名で......といった漠然としたイメージしか持っていませんでした。

スイートピー農園で勤務中の入江さん(提供写真)スイートピー農園で勤務中の入江さん(提供写真)

—— その状態からタイミートラベル参加を通じて、移住までされることになりましたが、ずばり、決め手は何だったのでしょうか?

入江さん:
なんといっても人のあたたかさです。

事業者からすると、私みたいに短期間しか働かないような人のために作業を用意するのって大変だし、むしろ足手まといだと思うんです。でも、細野さんからは、「スイートピーのことを知ってほしい」「都農町の魅力を教えたい」といった思いを感じました。毎日のお昼ご飯を気にかけてくれたり、ご家族がお菓子を持って畑に来てくれたり、まるで家族のように接してくれたんです。ハウスの中から選ばせてもらった50本のお花を花束にして、私たちの実家に送っていただいたこともありました。

他にも、飲食店でご一緒したご夫婦にサーフィンに連れていってもらったり、コンビニの店員さんに宮崎名物について教えてもらったりなど、都農町って本当に優しくて気さくな方が多くいらっしゃるんです。都道府県別「幸福度」ランキング*でも宮崎県は上位だそうですよ。そういった町民のみなさんとの交流を通じて、まるで人と人の間に壁が無いような、”心のバリアフリー”を感じられました。
*「ブランド総合研究所」より発表:https://news.tiiki.jp/articles/4796

—— 時間の流れもゆったりしている気がしますもんね。

入江さん:
そうなんですよ!海も空気もとっても綺麗で、東京に比べて空が近いなと感じます。食べ物も美味しいし魅力的な飲食店も多くて、まだまだ回りきれていません。地元の方に「東京に比べたらなにも無いでしょう」と言われたんですけど、こう思ったんです、「なんでもあるのになぁ」って。

コーディネーターの小松原さんも、駅まで迎えに来てくれたり、移動用の自転車を用意してくれたり、とてもよく気にかけてくれました。細野さん含め、相談できる人がいる点も、移住の後押しになりました。

都農町移住者 入江さん都農町移住者 入江さん

—— 入江さんの移住を知った時、どう思われましたか?

細野さん:
受け入れの時点では、町やスイートピーのことを知ってもらえればいいなとしか思っていなかったので、びっくりしました。滞在中、自転車でどこまでも走って行っているのを見ていたのでアクティブさは知っていましたが、本当にさすがやなって思いました。

小松原さん:
事前のやり取りの時から熱心な方だなとは思っていましたが、まさか本当に移住を決めてくれるとは思っていませんでした。タイミートラベルを通じて都農町の魅力が伝わった結果だと思うので、心から嬉しかったです。

—— 弊社としても、タイミートラベルを通じて入江さんに都農町の魅力を知っていただき、移住をご決断いただいたことを心から嬉しく思っています!最後に、入江さんが都農町で実現したいことがあれば教えてください。

入江さん:
今後は地域おこし協力隊として、町民のみなさんに町の素晴らしさを再認識してもらえるようなことを、何らかの形で実現したいです。すでにある良いものをさらに魅力的にし、発信できるような人になりたいです!

編集後記

「観光」「仕事」「交流」の三本柱で関係人口を創出してきたタイミートラベル。今回初めて関係人口の「定住人口」化に至りましたが、本取材を通じてこの「観光」以外の要素がいかに重要かを思い知らされました。

実は入江さん、タイミートラベルを終えて東京に戻った後、タイミーを通じて、大田市場でお花を扱う企業に働きに行ったそうです。「細野さんの農園で働いたことで、お花が生産者のもとを離れた後の過程に興味を抱いたんです。お花屋さんの前を通るたびタイミートラベルでの経験を思い出すなど、東京に戻ってきてからも都農町のことが頭をよぎることが多かったです」と話します。

入江さんはその後もう一度、都農町のタイミートラベルに参加しています。その際には「つの未来会議」というイベントに参加し、多くの町民の方々と交流しました。町長と会話をする機会もあったとのこと。

こうした交流や体験の積み重ねが、町を離れてからも、自然と町のことを思い出すほどの愛着をもたらしたのです。

「観光資源がない」「どのように町を発信したらいいかわからない」といった悩みを抱える自治体の方は多いはず。しかしその町の魅力は、交流や体験を通じて、その人が自然と見つけてくれるものなのだと思います。タイミートラベルを通じて、より多くの方にかけがえのない「第二の故郷」を見つけてもらえることを願います。

インタビュイーのみなさん

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/media/タイミーラボ編集部
タイミーラボ編集部

タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。

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