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京都府京都市を本拠地とした3×3(3人制バスケットボール※)のプロチーム「ZIGExN UPDATERS.EXE(じげんアップデーターズ)」に所属する岸本翼さん(25歳)は、会社員として働く傍ら、プロバスケットボール選手として活躍しています。特徴である赤髪のインパクトさながら、翼をつけたようにシュートを決める姿はまさに「赤髪の翼」という愛称の通りです。
▶︎赤髪の翼/岸本翼さんのInstagramアカウント、Twtitterアカウント
怪我にも負けず、絶え間ない努力と生まれもったポテンシャルを武器に夢を追いかけている岸本さん。以前は会社員と選手活動に加えて、タイミーでも働いておりそのバイタリティにも驚かされます。
なぜ岸本さんは、夢へと愚直に突き進むことができるのか。諦めることなく立ち上がることができるのか。タイミー活用法を交えながら、バスケットボールへの思いについてお話を伺いました。
※3×3とは、国際バスケットボール連盟(FIBA)が世界基準を統一し、全世界で普及している新しいスタイルの3人制バスケットボールのこと。日本では、2014年に世界に先駆けてプロリーグ「3x3.EXE PREMIER」が開幕。昨年の東京2020オリンピックで初めて競技として採用され注目が集まっている。
どんなに困難でも、諦められなかった。プロバスケットボールプレイヤー選手への道
本格的に始めたのは中学2年生の頃だったと思います。もともと野球かサッカーをやろうと思っていたんですけど、親から「汚れるからやめて」と言われて(笑)。幼馴染がバスケットボール部に所属していて、「あ、室内だから汚れないじゃん」って入部しました。
でも、最初は全然やる気が起きなくて、1年ぐらい部活をサボっていました。
そんな時に、ジュニアオールスターの監督だった人がバスケ部顧問として赴任してきたんです。顧問から「岸本、一度本気でやってみたら?」と声をかけられて、何気なく練習に参加してみたんです。オールスターに関わっていたすごい人から直接教えてもらうことなんて、そうそうないですよね。そこまで言うならとボールに触れると、想像以上に面白くて、バスケットボールにのめり込んでいきました。この人に教われば自分もオールスターに出れるかも……と大成したい気持ちが出てきて。プロを目指そうと思いました。
その後、地元の商業高校に進学したものの、もっとバスケットボールに集中するために、大阪エヴェッサ(※)が運営している専門学校(エヴェッサカレッジ)に編入しました。10代はバスケ三昧の日々を送っていましたね。
※B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチームのこと
——そのまま順調にプロへの道を進まれたのですか?
実は家庭の事情もあって、バスケットボールを続けていくことができず、専門学校卒業後すぐに働き始めました。正直、プロになるために努力してきたバスケットボールは諦めたくなかった。しかし、そんなことを言ってられずに一刻も早くお金を稼がないといけない状況でした。悔しかったものの、父親の紹介で舗装工事の仕事に従事しました。
——そうだったのですね。バスケットボールに再び向き合うようになったきっかけを教えてください。
働き始めて1年ぐらい経った頃に、久しぶりに友人から「またバスケ教えてくれへん?」って連絡があったんです。生活も落ち着きはじめた時期でしたし、久しぶりにボールに触りたいなと思ってコートに立ちました。そしたら、全く体力が衰えてなかった。身体が自然に動いて、シュートを決めることが本当に心地よかったんですね。「やっぱり、自分はプロを目指したい!」という熱い想いが身体中から湧き起こったのを覚えています。
それで「もう一度挑戦してみよう」と、会社員をやりながらプロバスケットボール選手を目指すようになりました。知り合いの紹介でバスケットボールチームに所属して地道に練習に明け暮れていました。その時に雑誌で3人制バスケットボールのことを知って、転向しました。
——ちょうど2017年頃ですね。3人制バスケットボール(3×3 )に転向されたのには、どのような理由があったのでしょうか?
昔から憧れていた選手が(5人制にも在籍しつつ)3人制の日本代表に入ったことも興味を持ったきっかけでした。
実は5人制と違い3人制バスケットボールでは、コートを半面しか使用しないんですよ。僕は身長が169㎝でプロ選手の中では小さい方に入ります。でも、身長を言い訳に諦めたくないし負けたくない。半面コートであれば身長・体格差があってもスピードや技術で十分戦えるので、「大きい選手も小さい選手も関係なく輝けるんちゃうか?」と確信しました。
そう思った日には、3x3プレミア(プロリーグ)に直接電話して「どうやったら選手になれるんですか?」って聞いていましたね(笑)。
周りに支えられながら、バスケットボールに打ち込む
——3人制バスケ転向後、さまざまなチームでの経験を経て、現在はZIGEXN UPDATERS.EXEにプロとして所属されていますね。練習など相当忙しい日々を過ごされてたのではないですか?
そうですね。現在のチームと契約するまでに、兵庫や三重のチームでプレイしていました。通常、チーム練習は週2回。平日21時からと土日のどちらか1日、チーム全員で集まります。それ以外は個人練習を欠かさないようにしていて、仕事終わりはほぼジムでトレーニングを行っています。
——毎日練習なんですね。仕事との両立は大変そうです。
繊維関係の貿易業を行っているのですが、小さい会社なので営業から出荷対応、経理業務までなんでも担当しています。
採用面接時には「バスケを優先したい」「試合で全国回ることもあるし、遠征の時は仕事を休みます」とはっきり伝えました。普通「なんだこいつ」って怪訝に思いますよね(笑)。いずれ迷惑かけてしまうなら、事前に言っておこうと。
でも、社長自身が昔バスケをしていて、over50のシニアの全国大会で優勝経験がある人。だからか、すごく寛容で「頑張りや」と応援してくれました。会社近くの中学校の体育館コートを借りてくれていつでも練習できるようにしてくれて、本当にありがたかったです。
——素敵な社長さんですね。バスケットボールと仕事の両立をする中で、タイミーも利用していたとお伺いしました。それはなぜでしょうか?
当時はまだ2軍契約だったので、バスケ用品が自己負担だったんです。3×3は想像以上にハードな競技ですから、バスケットシューズもすぐにダメになってしまうんですね。1軍選手になるまで、非常にお金がかかるんです。
また、自宅の奈良県から当時のチームがある三重県まで車で通う際のガソリン代も負担でした。2軍選手の場合、試合に出してもらうためには練習で結果を出さないといけません。毎回参加にしていたので、多いときにはガソリン代だけで月に7万円もかかっていました。
——2軍ではスポンサーがつかず、お金がかかる、と。
正直、会社員としての給料だけでは厳しい。一方で、チーム練習や試合が不規則に入るのでシフト固定のアルバイトをするわけにもいかない……。困っていた時に、CMでタイミーのことを知りました。
空いている時間に仕事ができるのは魅力でしたし、すぐに入金されるのも嬉しかったですね。単発バイトだと人間関係などのストレスもありません。仕事も朝から夜まで幅広い時間帯の仕事が掲載されているので、ジムでトレーニングした後でも働くことができるのはありがたかったです。
——岸本さんのように「練習が終わった22時から単発バイトしたい」という人にも適した働き方だったのですね。
そうですね。僕の場合は、今月は遠征試合が多いから、バスケットシューズが壊れてしまったから……と、必要な時に必要な分だけ働けるのがよかったと思います。
アスリートって想像以上に集中力を要するため、メリハリというか、切り替えが非常に重要です。「シフト調整しなきゃ」「誰か代わりを探さなきゃ」など余計なことを考えずに、その場その場でパッとメリハリをつけられる働き方は自分に合っていましたね。
他には、タイミーで知り合った人と仲良くなったり、「仕事あるよ」って紹介してもらったりなど、バスケットボール以外の世界がどんどん広がっているように感じますね。こう見えて人見知りなんですが(笑)、コミュニケーション力がついたと思います。
——タイミーが岸本さんの生活に少しでも貢献ができて嬉しいです。
僕はタイミーでデリバリーや物流倉庫などの仕事をよくやってるのですが、物流の流れを俯瞰的に見れるようになったのは大きかったです。今勤めている会社が繊維商社なので、新たな視点で仕事を捉えられるようになったと思います。
学んだことを活かして、今勤めている会社にも恩返ししたいですね。自分が今プロバスケットボール選手としていれるのは、多くの支えや助けがあったから。試合や練習で仕事を休まないといけない中でも、社長をはじめ、先輩や同僚がサポートしてくれました。ですから、本業を疎かにせず必死に働いて売上を出して貢献したいと思っています。
バスケットボールの成績も、会社の売り上げも。反骨精神で1番を目指す
——常に夢に向かって走り続けている岸本さんですが、今後の目標について教えてください。
プロになったからには、日本代表に入りたいです。僕らのリーグはチームの勝ち負けだけではなく、個人選手の活躍度合いをポイント化していて、その点数が高ければ日本代表に選ばれる可能性があります。
現在は足を怪我してしまい練習できない状況ですが(2022年9月現在)、リハビリを頑張って一刻も早く復帰して試合で成果を出し、日本代表入りしたいです。
——バスケットボール選手としての夢はどんどん広がっているのですね。
そうですね、プロになることが夢のゴールではありません。チームを優勝に導くこと、日本代表選手になること、日本代表として世界に立ち向かうこと……など、どんどん高みを目指して常に1番でいたいと思っています。
元々1番じゃないとだめな性格なんですよ。例え友達同志の遊びだったとしても、やるからには1番を目指したいと思っていたんです。
実は自分の将来が不安になって、「バスケットボールは趣味でもいい」って思おうとしたこともありました。中学2年生と遅いスタートだったし、160㎝台でバスケ選手の中では小さいから、プロになるなんて無理だよって。
でも、こんな自分でもプロになれた。今後は勝ち続けて日本代表になれることを証明したいです。反骨精神というか。プロバスケットボール選手の中には30代40代で日本代表になった人もいますから、何事も諦めちゃもったいないって思っています。
——最後に、岸本さんのように夢を追いかけながら、本業やタイミーにも尽力している読者の方にメッセージをお願いします。
タイミーを始めた頃は、まだ2軍だったこともあり金銭面で苦しい日々を送っていました。バスケットボールに触ることができて充実していた一方で、夢を追うためにはお金がないと厳しいのを実感したんです。だけど、夢ってそう簡単に諦められるものではありません。
そんな中スキマで働くことができたタイミーには感謝しています。自分のメンタルを整える意味でも、バスケットボールや本業以外の新しい世界を知る意味でも、タイミーを今後も続けていきたいと思っています。
バスケットボールも、会社の仕事も、タイミーも、全部本気でやっていきたい。欲張りかもしれませんが、どれも中途半端に諦めたくないですからね。
取材・文・編集/齋藤 裕美子
- タイミーラボ編集部
タイミーラボは、株式会社タイミーによるオウンドメディアです。
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